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Top Menue 血圧と脳卒中x9 肺高血圧の薬

プロスタサイクリン薬
ドルナープロサイリンケアロードLAベラサスLAベンテイビス(吸入)、フローラン(注射)

プロスタグランジンの仲間のプロスタサイクリン(PGI2)誘導体です。血管拡張作用と抗血小板作用の2作用を特徴とし、肺高血圧症の治療に広く使用されています。新たに発売されたケアロードとベラサスは特殊な徐放性製剤で、安定した効果が持続的に得られるのが特徴です。経口剤として比較的軽い肺動脈性肺高血圧症に適用するほか、血栓塞栓性肺高血圧症など他の肺高血圧症にも応用されています。次のベンテイビスは国内唯一の吸入製剤になります。注射治療の前段階として、中等度以上のやや重い症例(WHO機能分類V〜W)に用いられることが多いです。フローランは最後の切り札となる注射剤で、重症例(W)に携帯輸液ポンプで24時間持続的に注入する必要があります。

エンドセリン受容体拮抗薬
トラクリアオプスミットヴォリブリス

肺高血圧症の治療には、狭くなった血管を広げる薬を使います。これらは、血管収縮をもたらす体内物質エンドセリンに対抗して肺動脈を広げます。トラクリアとオプスミットは、エンドセリンA受容体とB受容体の両方を阻害するのに対し、ヴォリブリスは肺高血圧により深く関与するA受容体を選択的に阻害するのが特徴です。この系統は、中等度からやや重い肺動脈性肺高血圧症(U〜V)に対して推奨度の高い治療薬として位置付けられます。

トラクリアは使用実績が豊富で有用性が確立されているのですが、重い副作用として肝障害が多いのが難点です。オプスミットとヴォリブリスは肝障害のリスクが比較的低く、トラクリアで禁忌にあたる中等度の肝障害例においても注意深く用いることができます。ヴォリブリスは、選択的エンドセリンA受容体拮抗薬として高い効果が期待でき、また飲み合わせによる相互作用が少ないのも利点です。一方で、浮腫や肺水腫を起こしやすく注意を要します。新薬のオプスミットは有効性と安全性に取り組み独自の創薬プロセスで開発された新世代のエンドセリン受容体拮抗薬です。

PDE5阻害薬
レバチオアドシルカ

PDE5阻害薬ことホスホジエステラーゼ5阻害薬に分類される肺高血圧症治療薬です。肺高血圧症の発現機序とのひとつ一酸化窒素経路(NO-sGC-cGMP)に着目して開発されました。血管拡張物質のcGMP(サイクリックGMP)を分解する酵素ホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害することで血管拡張作用を発揮します。この系統も、中等度からやや重い肺動脈性肺高血圧症(U〜V)に適します。レバチオの服用回数は1日3回、持続性があるアドシルカは1日1回です。なお、それぞれの成分を含有するバイアグラ、シアリスがED治療薬としても販売されています。

sGC刺激薬
アデムパス

可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬という新しい作用の肺高血圧症治療薬です。既存のPDE5阻害薬と同様に一酸化窒素経路(NO-sGC-cGMP)に作用しますが、PDE5阻害薬がcGMPの分解を抑制するのに対し、こちらはcGMPの産生を促進します。血栓塞栓性肺高血圧症を適応症とする唯一の薬剤として承認され、その後 肺動脈性肺高血圧症に対しても効能が拡大されました。肺動脈性肺高血圧症においては、エンドセリン受容体拮抗薬やPDE5阻害薬と同様に中等度からやや重い症状(U〜V)に推奨されます。

その他
※Ca拮抗薬(ノルバスクアダラート)、抗血栓薬(ワーファリンアスピリン)、利尿薬(ラシックス)、強心薬(ジゴシンラニラピッド)、ステロイド薬(プレドニン)、免疫抑制薬(シクロスポリン

汎用降圧薬のCa拮抗薬がときに有効です。また、病状によりますが、少量の抗血栓薬は予後の改善につながる可能性があります。浮腫と心不全に対しては、利尿薬や強心薬で対処します。膠原病性では、早期にステロイド薬や免疫抑制薬による免疫抑制療法が試みられます。


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<メモ>
  • 肺高血圧症:PH(Pulmonary Hypertension)は、肺動脈の血圧が高くなる病気の総称です。肺動脈性肺高血圧症(PAH)のほか、血栓塞栓に起因する慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)、左心性疾患によるPH、肺疾患や低酸素血症にともなうPHなどがあります。症状は必ずしも一様ではありませんが、息切れ、呼吸困難、めまい、疲労、運動能力低下などを起こしやすく、日常生活にも支障がでてきます。まれな病気ですが、進行すると心不全を引き起こし予後は好ましくありません。治療方法や治療薬はそれぞれで異なります。

  • このうち肺動脈性肺高血圧:PAH(Pulmonary Arterial Hypertension)は、肺循環の再構築による血管内皮の形態変化と血管拡張障害を特徴とします。さらに原因の違いから、原因が特定できない特発性(原発性)/遺伝性(家族性)PAHと、別の病気から続発する二次性PAHに大別されます。二次性の基礎疾患として膠原病(結合組織病)、先天性心疾患、感染症(エイズ)などがあり、さらにはある種の薬剤(チロシンキナーゼ阻害薬、食欲減退薬等)から引き起こされることがあります。

  • 肺動脈性肺高血圧の発現機序としてエンドセリン(ET)経路、プロスタサイクリン(PGI2)経路、一酸化窒素(NO)経路の3つが重要な役割をしています。この3経路に対する薬剤として、それぞれエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)、プロスタサイクリン薬(PGI2誘導体、IP受容体刺激薬)、PDE5阻害薬とsGC刺激薬が開発されています。病態や重症度から適切な薬剤を選び、単薬治療で効果不十分な場合は異なる系統を組み合わせる併用療法をおこないます。

    
    

 
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