PR 人気の薬系書籍ベスト30 「くすり本NAVI 」 おくすり 110番

成分(一般名) ワルファリン カリウム
製品例 ワーファリン錠0.5mg~1mg~5mg、ワーファリン顆粒0.2% ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 血液凝固阻止剤/ジクマロール/経口抗凝固剤

スポンサード リンク 投げ銭コ-ナ-
概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血液を固まりにくくするお薬です。血栓症の治療に用います。
作用

【働き】

血管内で血液が固まり、血流を止めてしまう状態を“血栓症”といいます。また、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが“塞栓”です。虚血性脳卒中(脳梗塞)や心筋梗塞がその代表です。血管が詰まってしまうので、その先の組織が障害を受け機能を失ってしまいます。

このお薬は「抗凝固薬」です。血管内で血液が固まるのをおさえる強い作用があります。このため、脳卒中や心筋梗塞の治療に用いられています。とくに、心房細動という不整脈により生じる脳卒中‘心原性脳塞栓症’や全身性塞栓症(心筋梗塞、腎梗塞、腸梗塞など)の予防効果が高いことがわかっています。

そのほか、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症、末梢動脈疾患、さらには腎炎など、血栓や塞栓に起因するいろいろな病気に広く用いられています。ただ、効果発現までに1〜2日かかるので、急性の静脈血栓塞栓症の治療では、当初ヘパリン皮下注射などと併用する必要があります。

【薬理】

作用機序から、ビタミンK拮抗薬と呼ばれています。その名のように、プロトロンビンなど血液凝固因子の合成に欠かせないビタミンKの働きをじゃまします。その結果として、凝固系の働きが抑制され、抗血栓効果を発揮するわけです。広く抗血栓薬の部類に入りますが、その作用面から抗凝固薬もしくは抗凝血薬、または血液凝固阻止薬などと細分類されることがあります。
特徴
  • 抗凝固療法として用いられる代表的な抗凝固薬です。長年にわたり、血栓や塞栓の治療薬として、標準的に用いられてきました。ただし、できてしまった血栓を溶かす作用はありません。おもに静脈系の血栓の予防あるいは進行の抑制を目的に使用するものです。アスピリンなど抗血小板薬とは作用のしかたが違うので、適切に使い分ける必要があります。
  • とくに心房細動に起因する各種の塞栓症に有用です。上手に用いれば心原性脳塞栓症のリスクを3分の2ほど低減させるといわれています。そのほか、いわゆるエコノミークラス症候群と呼ばれる深部静脈血栓症や肺塞栓症の治療にも適します。
  • 一方で、治療域がたいへん狭く、用量設定に細心の注意を払わなければなりません。少ないと効きませんし、多すぎると出血を起こしてしまうのです。他の薬剤や食物との相互作用を起こしやすいのも難点です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 他の薬と相互作用を起こしやすい性質があります。市販薬を含め、別に薬を飲んでいる場合は、その薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある人は申し出てください。妊娠中は服用禁止です。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解しておくことが大切です。
  • 手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。出血が止まりにくくなることがあります。

【注意する人】

血が止まりにくくなるので、出血している人や、出血のおそれのある人は使用できません。たとえば、血友病など血液の病気、重い胃潰瘍や大腸炎、重い肝臓病や腎臓病、重症高血圧症、重症糖尿病、尿路出血や喀血、内臓のがん、手術時、外傷後まもない人などです。

歯科治療においても十分な注意が必要です。とくに抜歯のさいは、直前に血液凝固能検査をおこない、止血に問題ないか確認しておくようにします。また、激しい運動や危険な作業のさいはケガをしないように注意しましょう。妊娠中は禁止されています。

  • 適さないケース..出血をともなう病気(紫斑病、血友病、消化管潰瘍、尿路出血、喀血など)、出血のおそれのある人(内臓がん、大腸炎、重症高血圧症、重症糖尿病、重い肝障害・腎障害など)、手術時、外傷直後、脊椎・硬膜外カテーテルを留置している人、月経期間中、流早産・分娩直後、妊娠中の人など
  • 注意が必要なケース..肝炎、下痢、アルコール中毒、心不全、敗血症、がん、甲状腺機能亢進症または低下症のある人、新生児のビタミンK欠乏時、産後、抜歯、手術後、激しい運動時など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

多くの薬と相互作用を起こす可能性があります。飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり出血を起こしやすくなります。逆に効力が落ちてしまうこともあります。他の病院や他の診療科にかかる場合は、この薬を飲んでいることを忘れずに医師に伝えてください。

  • 抗真菌薬のミコナゾール(フロリード、オラビ)と抗リウマチ薬のイグラチモド(コルベット、ケアラム)は禁止です。併用により出血の危険性が高まるためです。原則、ワルファリン(この薬)による治療を優先します。
  • 骨粗鬆症の薬のビタミンK製剤(グラケー)とは併用できません。ワルファリン(この薬)による血栓症の治療を優先するようにします。ほかにも、注意が必要な薬剤がたくさんありますから、飲み合わせのさいは十分な注意が必要です。
  • 納豆とクロレラ、それと青汁の飲食は避けてください。これらの食品はビタミンKが非常に豊富なので、薬の効力がなくなってしまいます。また、緑黄色野菜の急な大量摂取は控えましょう。
  • セイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は避けてください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。
  • 多量のアルコールも、この薬の作用に影響します。できるだけ控えましょう。

【使用にあたり】
  • 効き方には個人差があり、症状や体質によって飲む量が違います。また、同じ人でも、そのときどきの状態により用量を慎重に調整する必要があります。少ないと効きませんし、多すぎると出血を起こします。指示された用法用量を厳守してください。
  • 出血が続くときは、直ちに医師に連絡してください。たとえば、歯ぐき出血、血痰、鼻血、皮下出血、血尿、血便などです。とくに飲み始めに要注意です。
  • 飲み忘れや、飲み間違いにも十分注意しましょう。万一飲み忘れても、2回分を一度に飲んではいけません。
  • 手術や抜歯のさいは5日くらい前から一時中止したほうが無難です。早めに医師と相談し指示をあおいでください。

【検査】

血液の固まり具合を調べるため、定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間、トロンボテスト)を実施します。結果によっては用量の調節が必要です。

【妊娠・授乳】

妊娠中は絶対に飲んではいけません。お腹の赤ちゃんに悪い影響をおよぼすおそれがあります。妊娠を希望されるときは、事前に医師と相談しておきましょう。

【食生活】
  • わずかな傷や打ち身でも、血が止まりにくくなるかもしれません。創傷を受けやすい激しい運動や危険な作業は避けてください。
  • 運動をおこなう場合は、ケガをしないように十分注意しましょう。もしも、ひどいケガをしたときは、直ちに受診してください。
効能 血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防
用法 本剤は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤である。

初回投与量を1日1回経口投与した後、数日間かけて血液凝固能検査で目標治療域に入るように用量調節し、維持投与量を決定する。

ワルファリンに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるため、定期的に血液凝固能検査を行い、維持投与量を必要に応じて調節すること。

抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリン等の併用を考慮する。

成人における初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、通常1〜5mg1日1回である(成人における維持投与量は1日1回1〜5mg程度となることが多い)。

小児における維持服用量(mg/kg/日)の目安を以下に示す。
  • 12ヵ月未満:0.16mg/kg/日
  • 1歳以上15歳未満:0.04〜0.10mg/kg/日

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 出血したり、血が止まりにくくなることがあります。もしも、出血がみられたら、医師と連絡をとり指示を受けてください。たとえば、歯ぐきの出血、血痰、鼻血、皮下出血、血尿などです。重症化することはまれですが、消化管出血や脳出血など重い出血を起こす危険性がないとはいえません。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い出血(消化管出血、肺出血、脳出血、眼底出血)..歯ぐき出血、鼻血、血痰、皮下出血(血豆・青あざ)、血尿、吐血、血便(赤〜黒い便)、息苦しい、頭痛、めまい、しびれ、うまく話せない。
  • 皮膚壊死..班状の出血、皮膚の痛み
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。

【その他】
  • 発疹、じんま疹
  • 食欲不振、吐き気、脱毛

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
スポンサード リンク 投げ銭してネ !
おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。