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Top Menue がんの薬x18 肺がんの薬

代謝拮抗薬
ユーエフティ(UFT)、ティーエスワン(TS-1)

肺がんに適応をもつ飲み薬です。ことに、非小細胞肺がんのうち肺腺がんに対する術後補助療法の有用性が示されており、より長生きにつながる可能性があります。単独で用いるほか、注射薬の白金系薬剤やタキサン系薬剤、あるいは分子標的治療薬などとの併用療法も盛んにおこなわれています。

分子標的薬
イレッサタルセバジオトリフザーコリアレセンサ

一般的な抗がん薬とは異なる“分子標的薬”の部類です。がん細胞の増殖過程における指令系統を分子レベルでブロックします。代謝拮抗薬など昔からの抗がん薬とは効きかたが違います。イレッサとタルセバ、ジオトリフの標的は上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ(TK)。略して「EGFR-TK阻害薬(EGFR-TKI)」。ザーコリとアレセンサは未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)のチロシンキナーゼ(TK)を標的とする「ALK-TK阻害薬(ALK-TKI)」になります。適応症はどれも非小細胞肺がんで、がん遺伝子の違いなどにより使い分けられます。

イレッサについては、がん細胞のEGFR遺伝子変異別の有効性が検討され、2011年に効能・効果が見直されました。改定後の適応症は「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」に限定されます。よい効果が望めるのは、EGFR遺伝子に特定の変異がある場合で、変異のない陰性症例は適用外です。腫瘍縮小効果や生存期間など有効性にかかわる背景因子として、EGFR遺伝子変異陽性であることを第一に、腺がん、女性、東洋人、非喫煙などがあげられます。特異な副作用として肺障害の発現に十分な注意が必要です。

同系のタルセバは、非小細胞肺がんに対する二次治療において、生存期間の延長が認められています。すなわち、一次治療として注射による標準的な化学療法を実施後、その効果がうすれ病状が悪化した場合でも、次の有望な切り札として用いることができるのです。この場合、EGFR遺伝子変異の有無を問いません。また、EGFR遺伝子変異陽性の場合は、一次治療薬としてはじめから選ぶことも可能です。実際に、EGFR遺伝子変異陽性の患者さんを対象とした臨床試験でも、一次治療における無増悪生存期間の延長効果が示されています。

第二世代とされる新薬ジオトリフも、イレッサやタルセバと同様に作用しますが、特徴的なのは複数のチロシンキナーゼを不可逆的、持続的に阻害する点です(イレッサとタルセバは可逆的)。このような特性から、不可逆的ErbBファミリー阻害薬と呼ばれることがあります。臨床試験では、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する一次治療として、標準的化学療法(CDDP+PEM)を上回る無増悪生存期間(11ヶ月 vs 7ヶ月)が示されています。ただし、全生存期間はほぼ同様で優越性は認められませんでした。また、第一世代のEGFR阻害薬と直接比較した試験においては、進行のリスクを30%近く低下させました。さらに、治療開始後2年時点で、2倍あまりの患者さんが進行を認めませんでした(18% vs 8%)。

標的が異なるザーコリとアレセンサは、ALK融合遺伝子陽性症例に最適です。非小細胞肺がんのうち5%くらいの人が該当します。そのよう患者さんを対象にした試験で、ザーコリで約60%、アレセンサでは90%以上という高い奏効率が得られています。また、無増悪生存期間中央値は、ザーコリの10カ月に対しアレセンサでは26カ月と有意な延長が認められました。よく効くと、がん細胞の増殖が止まり、がんが小さくなります。そして 呼吸困難や痛みが軽減し、より長生きできる可能性もあるのです。とくに若い人の肺腺がんでは劇的な治療効果が得られるようです。ALK融合遺伝子陽性の進行性の非小細胞肺がんに対する一次治療薬として期待されるところですが、重篤な副作用として間質性肺疾患に注意が必要です。なお、ザーコリは希少肺がんのROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対する効能も追加されました。

植物アルカロイド
ベプシド・ラステット(VP、ETP)

メギ科の植物のアルカロイド成分に由来する抗がん薬です。肺がんのうち、小細胞肺がんに適応します。飲み薬もありますが、同成分の注射薬を白金系薬剤など他の抗がん薬といっしょに用いることが多いです。

白金系薬剤、その他注射薬
※ブリプラチン・ランダ(CDDP)、パラプラチン(CBDC)、ベプシド・ラステット(VP、ETP)、トポテシン・カンプト(CPT)、タキソテール(DTX)、タキソール(PTX)、ジェムザール(GEM)、アリムタ(PEM)、アバスチン、オプジーボ

一般的に、肺がんに対する化学療法は注射でおこないます。白金系薬剤のブリプラチンもしくはパラプラチンをベースに、植物アルカロイドのベプシドやトポテシン、タキサン系のタキソテールあるいはタキソールなどを組み合わせる2剤併用療法が試みられます。白金系薬剤が不応なら、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボも選択枝です。


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<メモ>
  • 肺がんは、細胞の型あるいは薬の効き具合など治療上の観点から、“小細胞肺がん”と、“非小細胞肺がん”に大別されます。小細胞肺がんは、従来からの抗がん薬が効きやすく、ブリプラチン(CDDP)やベプシド(VP)などによる化学療法が重要です。一方、抗がん薬に対する感受性が低い非小細胞肺がんにおいては、手術による切除あるいは放射線療法を第一に考えなければなりません。切除不能な場合は、白金系薬剤もしくは分子標的薬が下記のように用いられます。

  • 非小細胞肺がんは肺がん全体の8割以上を占め、組織学的にさらに腺がん、大細胞がん、扁平上皮がんの3種類に分類されます。また、がん遺伝子の変異別に‘EGFR遺伝子変異陽性’、‘ALK融合遺伝子陽性’、‘ROS1融合遺伝子陽性’、そのような変異がない‘野生型’などに分けられます。切除が困難な場合は、組織型や遺伝子変異をふまえ、適切な化学療法が検討されます。野生型に対しては、白金系薬剤を中心とする併用療法をおこなうのが基本です。日本人に多いEGFR遺伝子変異は非小細胞肺がんの4割くらいにみられ、この場合はイレッサ、タルセバもしくはジオトリフなど分子標的薬が選択肢に加わります。5%くらいとされるALK陽性非小細胞肺がんに対してはザーコリまたはアレセンサを個別化治療薬として用います。さらに、1%ほどの希少肺がんROS1陽性非小細胞肺がんに唯一保険適用するのがザーコリです。

    
    

 
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