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Top Menue がんの薬x18 前立腺がんの薬

抗男性ホルモン薬(非ステロイド系)
オダインカソデックスイクスタンジ

前立腺がんは、男性ホルモンに依存して増殖します。抗男性ホルモン薬(抗アンドロゲン薬)は、男性ホルモンの働きを抑えることにより、抗腫瘍効果を発揮する薬剤です。このため、前立腺がんに対するホルモン療法として汎用されています。期待される効果は、腫瘍縮小、PSA値改善、骨の痛みの軽減、さらには生存期間の延長などです。単独で用いるほか、内科的去勢術との併用療法(CAB療法)も広くおこなわれるようになりました。実際の臨床試験でも併用療法による延命効果が認められています。

安全性が高く、高齢の人でも長く続けやすいです。一般的な抗がん薬のように重い副作用が頻発することはなく、また従来のステロイド系薬剤(女性ホルモン薬)で心配される血栓症のリスクもありません。重大な副作用として一つあげるとすれば肝障害です。とくにオダインは、重症例が報告されており、肝臓病のある人は使用できません。カソデックスは、オダインに比べ肝障害の発現率が低くく、誰でも使いやすい薬剤です。新薬のイクスタンジは、男性ホルモン受容体に対する親和性がとくに高く、第二世代の抗男性ホルモン薬とされます。

男性ホルモン合成阻害薬(CYP17阻害薬)
ザイティガ

男性ホルモンの生合成自体を阻害する薬剤です。その作用は、精巣だけでなく、微量の男性ホルモンが産生される副腎や前立腺内にも及び、すべての男性ホルモンを制御できます。第一の適応症は「去勢抵抗性前立腺がん」になります。去勢術のあと病勢が進行した場合でも、二次ホルモン療法として用いれば、腫瘍の増殖抑制、化学療法実施までの期間延長、さらには生存期間の延長が期待できるのです。原則、単独ではなく去勢術のもとステロイド薬のプレドニゾロンと併用します。プレドニゾロンと併用するのは、この薬の副作用(高血圧、低カリウム血症、浮腫)を軽減するためです。その後、第二の適応症として「内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌」の効能が加わりました。骨病変や内臓転移があるなど予後が心配される場合には、ホルモン療法未実施であっても使うことができます。

女性ホルモン薬(ステロイド系)
プロスタールエストラサイト

プロスタールは、合成黄体ホルモン薬の高用量製剤です。抗男性ホルモン作用にくわえ、男性ホルモンの分泌を抑える作用を持ち合わせています。このため、ホルモン療法薬として前立腺肥大症や前立腺がんの治療に古くから使われています。

エストラサイトは、卵胞ホルモン薬のエストラジオールとアルキル化薬のナイトロジェンマスタードを化学的に結合させた化合物を有効成分とします。エストラジオールは男性ホルモンの分泌をおさえ、ナイトロジェンマスタードは殺細胞作用を示します。これらの相乗作用により、抗がん作用が増強されるわけです。

女性ホルモン薬の副作用として、女性化乳房、性機能障害、浮腫(むくみ)、肝機能障害、血栓塞栓症などがあげられます。心血管系に病気のある人には使いにくいなど安全性の問題や、他の優れた新薬が開発されたこともあり、昔ほどは処方されなくなりました。

その他の注射薬
※リュープリン、ゾラデックス、ゴナックス、タキソテール、ジェブタナ

進行した前立腺がんでは、ホルモン療法(内分泌療法)が治療の中心です。がんを完全に切除できない場合、男性ホルモン除去療法として内科的または外科的去勢術がおこなわれます。内科的去勢術で使用されるのが、GnRH(LH-RH)アゴニストまたはアンタゴニストと呼ばれる注射薬のリュープリン、ゾラデックスまたはゴナックスです。これらは、性腺刺激ホルモンの分泌を抑制し、精巣からの男性ホルモン(テストステロン)の分泌を止める作用をします。1ヶ月ないし3ヶ月に1回の皮下注射ですむので、体の負担が少なく治療が楽なのがよいところです。

去勢術は単独でおこなうほか、抗男性ホルモン薬と併用することがあります。併用目的は、GnRHアゴニストの初回注射後の一過性の男性ホルモン上昇への対処と、その後は残存する男性ホルモンの影響を最小化するためです。副作用としては、ほてりや熱感、乳房のふくらみ、性欲減退などがみられます。また、初めの注射のあと、骨の痛みや関節痛、尿がでにくいなど、かえって具合が悪くなることがあります。これらは一時的で心配ないと思いますが、ひどいときは医師とよく相談してください。痛みに対しては鎮痛薬などで対処可能です。去勢術のあとに病勢が進行した場合、タキソテールやジェブタナなどによる化学療法も試みられますが、一般的な抗がん薬の効き目はそれほどよくありません。


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<メモ>
  • 前立腺がんは高齢の男性に多いがんです。切除を基本としますが、前立腺の外に浸潤している進行がんに対しては、ホルモン療法や放射線療法がおこなわれます。ホルモン療法とは、男性ホルモンの影響を低減させることにより、前立腺がんの増殖を抑制しようとする治療法です。これには大きく2つの方法があります。男性ホルモンそのものの分泌を抑える「去勢術」と、男性ホルモンの働きを抑える「抗男性ホルモン療法」です。前者は精巣からの男性ホルモンを抑制し、後者はさらに副腎由来の男性ホルモン作用を抑制することができます。

  • 単に去勢術といえば、外科的精巣摘除術(除睾術)を指すことが多いのですが、内科的な薬物療法でも同等の治療効果が得られます。このため、外科的去勢術に対して、後者を内科的去勢術とすることがあります。内科的去勢術に用いる注射薬が、GnRH(LH-RH)アゴニストまたはアンタゴニストの部類です。GnRHとは性腺刺激ホルモン放出ホルモンのことで、このホルモンの働きを阻止する薬剤です。

  • 一方、抗男性ホルモン療法として用いられるのは、抗男性ホルモン薬(抗アンドロゲン薬)のオダインやカソデックス、イクスタンジなどす。去勢術と抗男性ホルモン療法はそれぞれ単独でもおこないますが、男性ホルモンの影響を最小化するために両者の併用療法(CAB、MAB)も広くおこなわれています。さらに、男性ホルモンの生合成そのものを阻害するザイティガが開発され、前立がんに対する新たな治療選択肢として期待されています。

    
    

 
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