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成分(一般名) テガフール・ウラシル
製品例 ユーエフティ配合カプセルT100、ユーエフティE配合顆粒T100~150~200 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 代謝拮抗剤/配合剤/代謝拮抗剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 がんを抑えるお薬です。がんの治療に用います。
作用

【働き】

細胞の遺伝情報を持つ核酸(DNA、RNA)の合成をじゃまして、がん細胞の増殖をおさえます。胃がんや大腸がん(結腸・直腸がん)など消化器がんに広く用いられるほか、乳がんや肺がん、肝臓がん、前立腺がんなどに対する幅広い適応があります。また、手術後の補助療法として、再発予防目的に用いることも多いです。

【薬理】

テガフールとウラシルの2成分から成る配合剤です。主成分のテガフールは、体内に吸収されたあと、徐々に抗腫瘍作用をもつフルオロウラシル(5FU)に変換されます。もう一つのウラシルは脇役です。フルオロウラシルが肝臓で分解されるのを抑え作用時間を長くする役目をします。

フルオロウラシルは、核酸(DNA、RNA)の合成に必要なウラシルとよく似た構造をしているため、がん細胞が誤って取り込んでしまい、その結果として核酸の生合成を阻害したり、機能障害を起こすことにより抗腫瘍効果を発揮します。がん細胞の代謝を阻害する作用から広く「代謝拮抗薬」と呼ばれています。

【臨床試験】
  • この薬の複数の臨床成績を集計した結果、奏効率(腫瘍縮小など一定の効果がみられる割合)は23.3%(163/699例)と報告されています。がん種別の奏効率は、胃がん25.4%(58/228例)、大腸がん(結腸・直腸がん)18.3%(15/82例)、肝臓がん16.7%(6/36例)、胆のう・胆管がん18.8%(3/16例)、膵臓がん17.4%(4/23例)、肺がん8.7%(4/46例)、乳がん30.2%(29/96例)、膀胱がん30.6%(11/36例)、前立腺がん14.7%(5/34例)、子宮頸がん19.4%(6/31例)、頭頸部がん31.0%(22/71例)となっています。ただし奏効率は参考までです。症例数が十分とはいえませんし、病状、治療歴、あるいは効果判定基準によって大きく変わる可能性があります。
  • 肺がんの術後補助化学療法における有効性を検証する長期大規模比較試験がおこなわれています。参加したのは外科的切除が実施された非小細胞肺がん(I期完全切除例)の患者さん約1000人です。そして、この薬を飲む人と、経過観察だけの人に分かれ、それぞれの生存期間を調べます。その結果、この薬により死亡リスクが30%ほど低下し、より長生きできる可能性が高いことがわかりました。そのほか、大腸がんや乳がんの術後補助化学療法においても死亡リスクの低下や生存期間の延長が示されています。
  • 大腸がんに対すする有効性を検証する試験がおこなわれています。大腸がんの患者さん約800人が参加し、従来からの注射剤を用いるホリナート・フルオロウラシル療法(5FU/LV)を受けるグループと、この薬を含む飲み薬による併用療法ホリナート・テガフール・ウラシル療法(UFT/LV)を受けるグループに分かれ生存期間を比べる試験です。その結果、生存期間の中央値は、ホリナート・フルオロウラシル療法の人達で13.4ヶ月、この薬を含む併用療法で12.4ヶ月でした。標準的なホリナート・フルオロウラシル療法とほとんど差がなく、同等の有効性が確認できたわけです。
特徴
  • よく処方されている代表的な内用抗がん薬です。略号はUFT。主成分のテガフール(FT)は、フッ化ピリミジン系の代謝拮抗薬に分類されます。いわゆるプロドラッグでもあり、肝臓で徐々にフルオロウラシル(5FU)に変化してから効果を発揮します。さらに、フルオロウラシルの分解を抑えるウラシルの配合により、作用時間が長く続くのが特徴です。
  • 胃がんや大腸がんなど消化器がんに高い有効率を示します。また、肺がんや乳がんの術後補助化学療法においても一定の有効性が示されています。
  • 大腸がん(結腸・直腸がん)に対しては、活性型葉酸製剤のホリナート(ロイコボリン)との併用療法が正式に承認されました。このホリナート・テガフール・ウラシル療法(UFT/LV)は、従来の注射剤による標準治療の1つホリナート・フルオロウラシル療法(5FU/LV)と同等の有効性が示されています。副作用も比較的少ないことから外来治療に適します。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。
  • 事前に医師から、起こるかもしれない副作用や注意事項について十分説明を受けてください。

【注意する人】

病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。また、腎臓病や肝臓病のある人は、用量に注意するなど慎重に用いるようにします。

  • 適さないケース..重い骨髄抑制、重い下痢、重い感染症、妊娠中。
  • 注意が必要なケース..骨髄抑制、腎臓病、肝臓病、感染症、水痘(水ぼうそう)、心臓病、消化管潰瘍、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

別の抗がん薬のテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合薬(ティーエスワン)との併用は禁止です。ほかにも抗血栓薬のワルファリンや抗けいれん薬のフェニトインなど注意が必要な飲み合わせがあります。過去1週間をふくめ服用中の薬を必ず医師に報告してください。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えておきましょう。

  • 飲み合わせの悪い薬..テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン)
  • 飲み合わせに注意..ワルファリン(ワーファリン)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、トリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)など。

【使用にあたり】
  • 用法・用量は治療目的や体の大きさにあわせて決められます。副作用によっては減量も必要です。指示された用法・用量を厳守してください。
  • 顆粒剤は腸溶性なので、かまずに飲みましょう。
  • 万一飲み忘れた場合は、その分は抜かし、次の通常の時間に1回分を服用してください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
  • 吐き気や嘔吐、下痢、ふらつき、口内炎、また、発熱やかぜ症状を含め、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と相談してください。

【使用にあたり】
  • 病状や治療方針によって飲み方が違います。決められた飲み方を厳守してください。
  • 顆粒はかまずに飲みましょう。
  • 吐き気や嘔吐、下痢、ふらつき、口内炎、また、発熱やかぜ症状を含め、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と相談してください。

【検査】

副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。
効能

【テガフール・ウラシル通常療法】

次の疾患の自覚的並びに他覚的症状の寛解:頭頸部癌、胃癌、結腸・直腸癌、肝臓癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮頸癌

【ホリナート・テガフール・ウラシル療法】

結腸・直腸癌
用法

【テガフール・ウラシル通常療法】

通常、1日量として、テガフール300〜600mg相当量を1日2〜3回に分割経口服用する。子宮頸癌については通常、1日量として、テガフール600mg相当量を1日2〜3回に分割経口服用する。他の抗悪性腫瘍剤との併用の場合は上記に準じて服用する。

【ホリナート・テガフール・ウラシル療法】

結腸・直腸癌に対して通常、1日量として、テガフール300〜600mg相当量(300mg/m2を基準)を1日3回に分けて(約8時間ごとに)、食事の前後1時間を避けて経口服用する。ホリナートの服用量は通常、成人はホリナートとして75mgを、1日3回に分けて(約8時間ごとに)、テガフール・ウラシル配合剤と同時に経口服用する。以上を28日間連日経口服用し、その後7日間休薬する。これを1クールとして服用を繰り返す。

※[注意1]ホリナート・テガフール・ウラシル療法は食事の影響を受けるので、食事の前後1時間を避けて投与すること

※[注意2]ホリナート・テガフール・ウラシル療法における1日の投与スケジュールは以下を参考とする。

  • 体表面積<1.17(m2):UFT300(mg)/日(午前100、午後100、夜間100)
  • 体表面積 1.17~1.49(m2):UFT400(mg)/日(午前200、午後100、夜間100)
  • 体表面積 1.50~1.83(m2):UFT500(mg)/日(午前200、午後200、夜間100)
  • 体表面積>1.83(m2):UFT600(mg)/日(午前200、午後200、夜間200)

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 吐き気や嘔吐、下痢、口内炎など、いろいろな副作用がでやすいです。あわてないよう、事前に医師から十分説明を受けておきましょう。軽い副作用の場合、治療を優先しなければならないことも多いです。

抗がん薬に特有な「骨髄抑制」は比較的軽いほうですが、それでも それにともなう血球減少や感染症に十分な注意が必要です。白血球が異常に減少すると、体の抵抗力がひどく落ちて感染症にかかりやすくなります。また、血小板減少により出血しやすくなることもあります。発熱やのどの痛み、あるいは歯茎出血・皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。

そのほか、とくに注意が必要なのは、激しい下痢と脱水症状をともなう重い腸炎、肝障害、それと長期服用時の白質脳症です。脳症はまれな副作用ですが、初期症状として、歩行時のふらつき、手足のしびれ、舌のもつれ、物忘れなどが現れますので、そのような場合は医師に報告してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 骨髄抑制(血球減少)..発熱、ひどい疲労感、のどの痛み、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向、息切れ、動悸。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 腸炎..激しい腹痛、下痢、下血(血液便、黒いタール状の便)。
  • 白質脳症..頭痛、もの忘れ、ボーとする、歩行時のふらつき、手足のしびれ・まひ、うまく話せない、動作がにぶる、けいれん、二重に見える、見えにくい。
  • 狭心症、心筋梗塞、不整脈..胸の痛み、息切れ、動悸、めまい、気を失う。
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 膵炎..吐き気、吐く、上腹部〜背中の激しい痛み。
  • 重い口内炎、消化管潰瘍・出血..ひどい口内炎、胃痛、下血(黒いタール状の血液便)、吐血(コーヒー色のものを吐く)。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。

【その他】
  • 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
  • 口内炎、味覚異常
  • 発疹、かゆみ、色素沈着、脱毛

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。