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Top Menue 血液と血管x4 血栓の薬

抗血小板薬
※アスピリン(バイアスピリンバファリン81mgタケルダ)、パナルジンプラビックスプレタールアンプラーグエパデール

アスピリンに代表されるお薬です。血小板の働きを抑えて血液を固まりにくくし、血栓で血管がつまるのを防ぎます。血栓そのものを溶かす作用はないので、発症や再発の予防もしくは進行を抑制するために用いられます。具体的な適応症はそれぞれで異なりますが、動脈硬化にともなうアテローム血栓症に効果が高いため、動脈血栓症の部類たとえば一過性脳虚血発作や脳梗塞、心筋梗塞、あるいは慢性動脈閉塞症などに広く適応します。副作用は少ないほうですが、出血傾向がみられることがあります。また、アスピリンでは、胃炎や胃潰瘍にも注意が必要です。パナルジンの飲み始めは、2週に1回必ず血液と肝臓の検査をおこなうようにします。

抗凝固薬
ワーファリンプラザキサリクシアナイグザレルトエリキュース、ヘパリン(注射)、フォンダパリヌクス(注射)

凝固系に作用し血液を固まりにくくします。凝固系とは、血液の止血のための機能の流れです。出血のさい、トロンビンをはじめとする血液を固めるためのさまざまな血液凝固因子が働きだし、最終的に止血にいたるわけです。この凝固系に対し阻害的に作用するのが抗凝固薬の仲間です。抗凝固薬は、抗凝固療法として、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症、心房細動に起因する心原性脳塞栓症などの治療に用いられています。古くからのワーファリンやヘパリンにくわえ、最近、直接トロンビン阻害薬のプラザキサやFXa阻害薬のリクシアナなど新しい作用機序をもつ新薬が次々と開発されています。

ワーファリンは昔からの古典的薬剤で、静脈血栓塞栓症や心原性脳塞栓症の治療に長く用いられてきました。作用のしかたは、プロトロンビンなど血液凝固因子の合成に欠かせないビタミンKの働きをじゃますることです。高い有効性が期待できるのですが、使い勝手はよくありません。安全域が狭く、量が少ないと効きませんし、多すぎると重大な出血を起こしやすいのです。このため、こまめに検査をおこない用量を慎重にコントロールする必要があります。効果発現に1〜2日かかるのも難点で、急を要する場合はヘパリン注射などによる初期治療と併用しなければなりません(ヘパリンブリッジ)。また、相互作用を起こしやすく、薬や食物(納豆やクロレラ)との飲み合わせにも注意が必要です。

次のプラザキサは、直接トロンビン阻害薬と呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬です。ビタミンK拮抗薬のワーファリンとは、作用メカニズムが違います。血液凝固因子のトロンビンの働きを直接じゃますることで、血液を固まりにくくし血栓ができるのを防ぎます。心原性脳塞栓症において、ワーファリンよりも高い有効性を示し、また効きすぎによる出血リスクも低減しています。こまめに血液凝固能を検査したり、用量調節に神経をそそぐ必要がありません。また、食物との相互作用の心配がなく、薬物間相互作用が少ない点もよい特性です。ワーファリンより使いやすい薬剤として処方機会が増えてきましたが、抗凝固薬の裏腹の副作用として出血の危険性があることは同じです。

新薬のリクシアナとイグザレルト、エリキュースもワーファリンとは異なる作用をもつ抗凝固薬です。こちらは、プロトロンビンからトロンビンへの生成過程にかかわる血液凝固第X因子(FXa)を阻害します。ワーファリンに比べすばやく安定した効果が得られ、治療効果もワーファリンに劣りません。用量設定も比較的簡単です。共通の適応症は、心房細動による虚血性脳卒中と全身性塞栓症の発症抑制です。リクシアナは、症候性の静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症)にくわえ、下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症に対する効能も取得しています。イグザレルトとエリキュースも、静脈血栓塞栓症に使用できるようになり、ヘパリン注射などによる初期併用療法(ヘパリンブリッジ)を必須としない「シングル・ドラッグ・アプローチ」が可能な薬剤として注目されます。いずれも使い勝手のよい抗凝固薬として期待されるところですが、効きすぎによる出血について最大限の注意が必要なことに変わりありません。


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<メモ>
  • ‘血栓’は血流障害を起こす血の塊りです。さらに、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが‘塞栓’です。血液が固まってしまう原因として、血液成分の異常、血管壁の病的変化、血流の停滞、血圧の変動、ホルモン剤など薬剤の影響などが考えられます。起こる場所はいろいろですが、血管の種類により、動脈血栓症と静脈血栓症に大別されます。

  • 動脈血栓症には、一般的な心筋梗塞や脳梗塞、手足に生じる動脈閉塞症などが含まれます。動脈硬化をともなうことが多く、アテローム血栓症と総称されることもあります。この場合、血小板主体の血栓が形成されるため、アスピリンなどによる抗血小板療法が有益です。大規模臨床試験でも、アスピリンによる再発予防効果が実証されています。

  • ‘深部静脈血栓症’では、手足とくにふくらはぎや大腿あるいは骨盤などの深部静脈に血栓が形成されます。さらに、その血栓が肺に流れ、肺動脈を閉塞してしまうのが命にかかわる‘肺血栓塞栓症’です。深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を総称し‘静脈血栓塞栓症’と呼んでいます。症候性のほか、外傷や手術による血管壁の損傷が引き金になることがあります。リスクを高める要因として、長期不動状態による血流うっ滞、喫煙、ホルモン剤の服用などがあげられます。静脈系においては血小板の関与は少ないとされ、凝固系の亢進とともにフィブリン主体の血栓が形成されます。このため、静脈血栓塞栓症に対しては、ワーファリンなど抗凝固薬による抗凝固療法が効果的です。

  • 抗血小板薬や抗凝固薬は血栓を予防しますが、血栓を溶かす作用はありません。超急性期の血栓症に対しては、別の血栓溶解薬を早急に注射し、血流を再開してやる必要があります。かつてはウロキナーゼが多用されましたが、その後、より強力なt-PA製剤(組織プラスミノゲン アクチベータ)が開発され主流となっています。何より早期使用がポイントです。6時間を越えると、よい効果が得られません。

    
    

 
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