概説 |
血管内で血液が固まるのを防ぎ、血流をよくするお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 手足の動脈に病変を生じ細くなったり詰まったりすると血のめぐりが悪くなります。すると、それより先が異常に冷えて、しびれや痛みを生じたり、歩きにくくなったり、さらに悪化すると皮膚に潰瘍ができたりします。
このお薬は、そのような末梢動脈疾患にともなう諸症状に有効です。血管内で血液が固まるのをおさえ、また血管の収縮を抑制して手足の血流を改善します。慢性動脈閉塞症のほか、いろいろな病気が原因の血行障害に用いることがあります。血管が悪くなる糖尿病においてもよく処方されます。

- 【薬理】

- 血小板や血管平滑筋にあるセロトニン受容体(5-HT2)において、セロトニンと拮抗しその働きを阻害することで、抗血小板作用や血管収縮抑制作用を発揮します。その結果として、足の血流が改善し、慢性動脈閉塞症にともなう諸症状が軽減するのです。
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特徴 | 抗血小板薬の一種です。抗血小板薬のうちのセロトニン受容体拮抗薬の部類になります。抗血小板作用はそれほど強くありませんが、セロトニン拮抗作用にもとづく血管収縮抑制作用をあわせもつ点が特徴的です。アスピリン(バイアスピリン)やチクロピジン(パナルジン)とは作用機序が違います。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中や、その可能性のある人は申し出てください。妊娠中は服用禁止です。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。出血が止まりにくくなることがあります。

- 【注意する人】

- 血が止まりにくくなるので、出血をともなう病気のある人は使用できません。たとえば、血友病、消化管出血、尿路出血、喀血、眼底出血などです。
- 適さないケース..出血をともなう病気、妊娠中
- 注意が必要なケース..出血しやすい病気、重い腎臓病、生理中など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- アスピリンやワルファリンなど他の抗血栓薬といっしょに飲むと、出血しやすくなるかもしれません。併用する場合は、用量に注意するなど慎重に用います。
 【使用にあたり】
- 指示された用法用量を守ってください。
- 手術や抜歯のさいは2日くらい前から一時中止したほうが無難です。早めに医師と相談し指示をあおいでください。
- 細粒は、開封後すぐに飲んでください(長時間放置すると固まってきます)。また、口のなかに含んでいると、舌に苦味が残ります。多めの水で直ちに飲み下してください。
- しばらく飲み続けても少しもよくならないときは、医師に相談してみましょう。別の治療法に変えたほうがよいかもしれません。

- 【食生活】

- タバコは病状を悪化させますし、この薬の作用を弱めます。タバコを吸っている人は、禁煙に挑戦してみましょう。
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効能 |
慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善。 |
用法 |
サルポグレラート塩酸塩として、通常成人1回100mgを1日3回食後経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。人によっては、胃の不快感や吐き気をもよおすことがあるかもしれません。そのほか、動悸や頭痛もみられます。ひどいときは早めに受診してください。
もしも、皮下出血や歯ぐきの出血など出血傾向がみられたら、すぐに受診してください。重症化することはまれですが、消化管出血や脳出血など重い出血を起こす危険性がないとはいえません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重い出血(消化管出血、肺出血、脳出血、眼底出血)..出血傾向、血便(赤〜黒い便)、吐血、血痰、息苦しい、頭痛、めまい、しびれ、片側の麻痺、うまく話せない。
- 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
- 無顆粒球症..発熱、のどの痛み、口内炎、咳、だるい。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
- 歯ぐきの出血、鼻血、皮下出血(青あざ)、血尿、生理の出血が多い
- 吐き気、胸やけ、腹痛
- 頭痛、動悸
- 発疹、発赤
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