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成分(一般名) ダビガトラン エテキシラート メタンスルホン酸塩
製品例 プラザキサカプセル75mg~110mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 血液凝固阻止剤/トロンビン阻害剤/直接トロンビン阻害剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血液を固まりにくくするお薬です。おもに、心原性脳塞栓症の予防に用います。
作用

【働き】

心房細動では、脈拍が無秩序に速く細かくなります。いわば心臓がけいれんし震えているような状態です。このため、心臓内の血流がよどみ、血の固まり‘血栓’ができやすくなります。こわいのは、血栓がはがれて脳動脈に流れ込み、脳卒中(虚血性脳卒中、脳梗塞)を起こすことです。このタイプの脳卒中は‘心原性脳塞栓症’とも呼ばれ、しばしば重症化します。また、血栓が脳以外に運ばれ、まれに全身性塞栓症(腎梗塞、腸梗塞、心筋梗塞など)を起こすこともあります。

このお薬は、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」です。心臓の内部とくに左心房内で血液が固まるのを抑えることにより、心房細動に起因する脳卒中や全身性塞栓症の発症を抑制します。従来から標準的に用いられてきたワルファリン(ワーファリン)よりも効果の発現が早く、同等もしくはそれ以上の有効性が期待できます。効きすぎによる出血のリスクも、ワルファリンより低いことが示されています。

【薬理】

血液を固める重要な役目をするのがトロンビンという酵素の一種です。このお薬は、そのトロンビンの働きをじゃますることで、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぎます。このような作用から直接トロンビン阻害薬と呼ばれています。

【臨床試験】

心房細動(非弁膜症性)をもつ患者さん18113人(うち日本人326人)を対象に、従来の標準薬のワルファリン(ワーファリン)と効果を比較する大規模臨床試験が行われています。ワルファリンに劣らない脳卒中の予防効果があるのかを確かめるのが目的です。

その結果、脳卒中または全身性塞栓症を起こしてしまった人は、この薬を飲んでいた人達で2.3%(133人/6076人)、ワルファリンを飲んでいた人達で3.3%(198人/6022人)でした。この薬を飲んでいた人達のほうが、脳卒中または全身性塞栓症を起こす割合が30%以上少なく、ワルファリンにまさる効果が確認できたわけです。また、出血の副作用もワルファリンより少ないことが示されました。
特徴
  • 直接トロンビン阻害薬と呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬です。古くから、心原性脳塞栓症の予防薬として用いられてきたワルファリン(ワーファリン)とは、作用メカニズムが違います。ワルファリンよりも高い有効性を示し、また効きすぎによる出血リスクも低減しています。
  • ワルファリンのように、こまめに血液凝固能を検査したり、用量調節に神経をそそぐ必要がありません。食物との相互作用の心配がほとんどなく、薬物間相互作用も比較的少ないです。このようなメリットから、今後 心房細動に起因する心原性脳塞栓症の予防薬として広く用いられることでしょう。
  • 頻回な血液凝固能検査が不要なのは出血の危険性がないからではなく、正確な薬効モニタリングの指標にならないからです(的確な指標がありません)。ワーファリンにくらべ使いやすい薬剤とはいえ、出血に対する注意が必要なことに変わりありません。なお、2016年に重大な出血に対処するための特異的中和剤イダルシズマブ(プリズバインド静注液)が発売されました。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は申し出てください。
  • 市販薬を含め、別に薬を使用している場合は、その薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解しておくことが大切です。
  • 手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。出血が止まりにくくなるおそれがあります。

【注意する人】

血が止まりにくくなるので、出血している人、あるいは、その危険性が高い人は使用できません。たとえば、血友病など血液の病気、出血をともなう重い胃潰瘍、脳出血、尿路出血や喀血、手術時・手術直後、外傷後まもない人などです。歯科治療、とくに抜歯のさいにも十分な注意が必要です。また、腎臓病のある人は、症状により使用できないことがあります。腎臓の働きが落ちている高齢の人も、少量から開始するなど慎重に用いる必要があります。

  • 適さないケース..出血をともなう病気(紫斑病、血友病、消化管出血、脳出血、尿路出血、喀血など)、手術時、外傷直後、分娩直後、脊椎・硬膜外カテーテルを留置している場合、透析を受けている人、重い腎臓病のあ人など。
  • 注意が必要なケース..出血のおそれのある人(内臓がん、大腸炎、消化管潰瘍、消化管出血既往、重症高血圧症、重症糖尿病、重い肝臓病など)、産後、抜歯、手術前後、腎臓病のある人、高齢の人、激しい運動時など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり出血を起こしやすくなります。逆に効力が落ちてしまうこともあります。他の病院や他の診療科にかかる場合は、この薬を飲んでいることを忘れずに医師に伝えてください。

  • 飲み合わせが禁止されている薬に、抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)があります。併用により、この薬(ダビガトラン)の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増すためです。また、他の抗血栓薬と併用する場合も、効きすぎによる出血に注意が必要です。
  • 不整脈の薬のベラパミル(ワソラン)との併用でも、血中濃度が上昇する可能性があります。併用するなら、この薬(ダビガトラン)の用量を少なめにし、当初は服用時間をあけるなどの配慮が必要です。抗不整脈薬のアミオダロン(アンカロン)、免疫抑制薬のタクロリムス(プログラフ)やシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、エイズの薬のリトナビル(ノービア)、肝炎の薬のグレカプレビル・ピブレンタスビル(マヴィレット)などと併用する場合も減量を考慮します。
  • 一方、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)や抗けいれん薬のカルバマゼピン(テグレトール)と併用すると、この薬の血中濃度が低下し作用が弱まる可能性があります。
  • 抗うつ薬(SSRI、SNRI)との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあります。
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品はとらないでください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。

【使用にあたり】
  • 症状や体質によって、飲む量が違います。決められた飲み方を厳守してください。腎臓病のある人や高齢の人は、少なめになることがあります。飲む時間は、通常1日2回朝夕食後です。コップ1杯くらいの十分量の水とともに服用してください。
  • 出血に気付いたら、直ちに医師に連絡してください。たとえば、鼻血、歯ぐき出血、血痰、皮下出血、血尿、血便などです。とくに飲み始めは要注意です。
  • 自分だけの判断で飲むのを止めてはいけません。また、飲み忘れや、飲み間違いにも十分注意しましょう。もし飲み忘れた場合、その日のうちにできるだけ早く飲んでください。ただし、次の服用まで6時間以上あける必要があります。絶対に2回分を同時に飲んではいけません。

【検査】

処方に先立ち、腎機能を確認しておく必要があります。また、必要に応じて血液検査や血圧測定をおこない、出血や貧血の兆候がないか確かめます。なお、血液凝固能検査は薬効モニタリングの指標になりませんので、特に必要としません(薬効の過不足を判断する的確な指標がありません)。

【食生活】

わずかな傷や打ち身でも、血が止まりにくくなるかもしれません。運動や危険な作業をおこなう場合は、ケガをしないように十分注意しましょう。もしも、ひどいケガをしたときは、直ちに受診してください。
効能 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
用法 通常、成人はダビガトランエテキシラートとして1回150mg(75mgカプセルを2カプセル)を1日2回経口服用する。なお、必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mg(110mgカプセルを1カプセル)を1日2回服用へ減量すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 出血したり、血が止まりにくくなることがあります。同効薬のワルファリンよりも少ないとされますが、決して油断できません。もしも、出血がみられたら、医師と連絡をとり指示をうけてください。たとえば、鼻血、歯ぐきの出血、血痰、皮下出血、血尿、血便などです。重症化することはまれですが、消化管出血や脳出血など重い出血を起こす危険性がないとはいえません。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い出血(消化管出血、肺出血、脳出血、眼底出血)..鼻血、歯ぐき出血、血痰、皮下出血(血豆・青あざ)、血尿、吐血、血便(赤〜黒い便)、息苦しい、頭痛、めまい、しびれ、うまく話せない。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。

【その他】
  • 消化不良、吐き気、下痢、腹痛
  • 鼻血、皮下出血(血豆・青あざ)、血尿

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。