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成分(一般名) アピキサバン
製品例 エリキュース錠2.5mg~5mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 血液凝固阻止剤/Fxa阻害薬/経口FXa阻害剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血液を固まりにくくするお薬です。心房細動による脳卒中や静脈血栓塞栓症の治療に用います。
作用

【働き-1】

心房細動では、脈拍が無秩序に速く細かくなります。いわば心臓がけいれんし震えているような状態です。このため、心臓内の血流がよどみ、血の塊り‘血栓’ができやすくなります。こわいのは、血栓がはがれて脳動脈に流れ込み、脳卒中(虚血性脳卒中、脳梗塞)を起こすことです。このタイプの脳卒中は‘心原性脳塞栓症’とも呼ばれ、しばしば重症化します。また、血栓が脳以外に運ばれ、まれに全身性塞栓症(腎梗塞、腸梗塞、心筋梗塞など)を起こすこともあります。

このお薬は、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」です。心臓の内部とくに左心房内で血液が固まるのを抑えることにより、心房細動に起因する脳卒中や全身性塞栓症の発症を抑制します。従来から標準的に用いられてきたワルファリン(ワーファリン)よりも効果の発現が早く、同等もしくはそれ以上の有効性が期待できます。効きすぎによる出血のリスクも、ワルファリンより低いことが示されています。

【働き-2】

血管内で血液が固まり、血流が悪くなるのが‘血栓症’です。また、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが‘塞栓症’です。このうち‘深部静脈血栓症’では、手足とくにふくらはぎや大腿あるいは骨盤などの深部静脈に血栓が形成されます。さらに、その血栓が肺に流れ、肺動脈を閉塞してしまうのが命にかかわる‘肺血栓塞栓症’です。深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を総称し‘静脈血栓塞栓症’と呼んでいます。

このお薬は、そのような静脈血栓塞栓症に有効な「抗凝固薬」です。静脈での血栓形成を抑えることにより、静脈血栓塞栓症の悪化や再発を防ぎます。特徴の一つとしてあげられるのが、古くからの標準薬ワルファリンに比べ効果発現が早いことです。このため、必ずしもヘパリン注射などによる初期治療(ヘパリンブリッジ)を必要としません。すばやく安定した効果が期待できるうえ、効きすぎによる大出血のリスクもワルファリンより低いことが示されています。

【薬理】

血液を固める重要な役目をするのがトロンビンという酵素です。この薬は、トロンビンの生成過程にかかわる血液凝固因子のひとつ「活性型血液凝固第X因子(FXa)」を阻害することで、血液を固まりにくくします。このような作用から活性型血液凝固第]因子阻害薬(FXa阻害薬)と呼ばれています。

【臨床試験-1】

心房細動(非弁膜症性)のある18201人の患者さんを対象に、従来の標準薬のワルファリン(ワーファリン)と効果を比較する大規模臨床試験がおこなわれています。ワルファリンに劣らない脳卒中の予防効果があるのかを確かめるのが目的です。試験期間(服用期間)は平均で約1.7年と長期にわたるものです。

その結果、脳卒中または全身性塞栓症を起こしてしまった人の割合は、この薬を飲んでいた人達で年率1.27%(212人/9120人)、ワルファリンを飲んでいた人達で1.6%(265人/9081人)でした。この薬を飲んでいた人達のほうが、脳卒中を起こす人が少なく、ワルファリンにまさるとも劣らない効果が確認できたわけです。また、大出血発現率についてはワルファリンに比べ約31%低下、全死亡率は11%低下することが示されました。

【臨床試験-2】

静脈血栓塞栓症に対する有効性を従来の標準的治療法のヘパリン注射/ワルファリン内服併用療法と比較する試験が海外でおこなわれています。参加したのは、急性深部静脈血栓症の患者さん5244人です。そして、この薬を飲む人と、従来の標準治療を受ける人に分かれ、6カ月間の静脈血栓塞栓症の再発率(関連死を含む)を調べます。

その結果、 この薬を飲んでいた人達の再発率は2.3%(59/2609人)、標準療法の人達で3.7%(71/2635人)でした。明らかな差はなく、この薬の有効性が従来からの標準療法と変わらないことが証明されたわけです。また、大出血の発現率は、この薬で0.6%(15/2676人)、標準療法の人達で1.8%(49/2689人)と この薬のほうが低く安全性についても問題ないことが分かりました。なお、少人数になりますが、国内でおこなわれた日本人を対象とした試験でも有効性、安全性とも同様の結果が得られています。
特徴
  • エドキサバン(リクシアナ)とリバーロキサバン(イグザレルト)に次ぐ国内3番目の経口FXa阻害薬です。効能面からは、広く抗血栓薬の部類に入り、さらに抗凝固薬もしくは抗凝血薬、または血液凝固阻止薬などと細分類されます。同系の注射薬としてフォンダパリヌクス(アリクストラ)が販売されています。
  • 抗凝固薬として古くから用いられてきたワルファリン(ワーファリン)とは作用メカニズムが違います。ワルファリンに比べ効果発現がすみやかで、より安定した効果が期待できます。また、食事の影響を受けにくく、薬物相互作用の心配もそれほどありません。したがって、ワルファリンのように こまめに血液凝固能を検査したり、用量調節に神経をそそぐ必要がないのです。このようなメリットから、抗凝固療法における新たな選択肢として有望視されています。
  • 静脈血栓塞栓症に対する効能が追加承認されました。発症直後の治療で重要となる抗凝固状態に速やかに達成可能なため、ヘパリン注射などによる初期併用療法(ヘパリンブリッジ)を必須としません。急性期における強化療法から再発抑制のための維持療法までを1剤でカバーできる「シングル・ドラッグ・アプローチ」が可能な薬剤として期待されます。
  • ワルファリンにくらべ使いやすい薬剤とはいえ、出血に注意が必要なことに変わりありません。頻回な血液凝固能検査が不要なのは出血の危険性がないからではなく、正確な薬効モニタリングの指標にならないからです(的確な指標がない)。また、効きすぎに対処する中和剤もありません。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は申し出てください。
  • 市販薬を含め、別に薬を使用している場合は、その薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解しておくことが大切です。
  • 手術や抜歯、内視鏡検査の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。

【注意する人】

血が止まりにくくなるので、出血がひどい場合は使用できません。出血を起こしやすい病気、たとえば血友病など血液の病気、重症の高血圧症、重い胃潰瘍のある人も慎重に用いるようにします。また、出血や血腫を生じるおそれがある内視鏡検査、脊椎・硬膜外麻酔、腰椎穿刺、あるいは抜歯などにおいても十分な注意が必要です。大きな手術のさいは、少なくとも1〜2日前に一時休薬し、ヘパリン注射薬などで代用することがあります。肝臓病や腎臓病のある人も、症状により使用できないことがあります。

  • 適さないケース..重大な出血を起こしている場合(消化管出血、脳出血など)、出血リスクが高い重い肝臓病、重い腎臓病(腎不全)のある人。
  • 注意が必要なケース..出血のおそれがある場合(血友病、紫斑病、重症高血圧症、動脈瘤、内臓がん、大腸炎、消化管潰瘍、血管性網膜症、気管支拡張症または肺出血既往、抜歯、内視鏡検査、脊椎・硬膜外麻酔、腰椎穿刺、手術の予定のある人、手術直後、外傷後など)、腎臓病のある人、高齢の人、低体重の人。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり出血を起こしやすくなります。逆に効力が落ちてしまうこともあります。他の病院や他の診療科にかかる場合は、この薬を飲んでいることを必ず医師に伝えてください。

  • 抗凝固薬のワルファリンとの併用は原則おこないません。どちらかへの切り替えは、薬効の発現時間または消失時間を考慮のうえ慎重におこないます。この薬からワルファリンに切り替えるさい一時併用することになります。
  • 抗血小板薬と併用する場合は、効きすぎによる出血に十分な注意が必要です。抗血小板薬には、アスピリン(バイアスピリン、バファリン、タケルダ)、チクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)、EPA(エパデール、ロトリガ)などがあります。
  • 抗血小板作用をあわせ持つロキソプロフェン(ロキソニン)やジクロフェナク(ボルタレン)などある種の鎮痛薬(NSAIDs)も出血の危険性を高めます。市販の鎮痛薬や解熱薬をふくめ併用のさいは医師もしくは薬剤師とよく相談してください。
  • この薬の血中濃度が上昇し、出血リスクが増大する飲み合わせに、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)とボリコナゾール(ブイフェンド)、エイズの治療に用いるHIVプロテアーゼ阻害薬(ノービア、カレトラ、レクシヴァ、レイアタッツ、プリジスタ等)などがあります。これらと併用する場合は、この薬の減量を考慮する必要があります。
  • マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)やエリスロマイシン(エリスシン)、抗真菌薬のフルコナゾール(ジフルカン)との併用においても、この薬の血中濃度が上昇する可能性があります。
  • 一方、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)は、この薬の血中濃度を低下させ抗血栓作用を弱めます。抗けいれん薬のフェニトイン(ヒダントール、アレビアチン)やカルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール)、さらには健康食品のセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)などにも同様の性質があります。とくに静脈血栓塞栓症においては、これらとの併用を避けることが望ましいです。

【使用にあたり】
  • 決められた飲み方を厳守してください。心房細動では、通常、1日2回朝夕食後に1回1錠(5mg)服用します。80歳以上の人や体重60kg以下の人、または腎臓の働きが落ちている場合など少なめ(2.5mg)になることがあります。ワルファリンなど他の薬剤から切り替えるさいは、決められた服薬スケジュールにしたがい正確に服用してください。
  • 静脈血栓塞栓症の場合、発症後1週間は初期強化療法として1回2錠(5mgx2)、1日2回服用します。その後は1回1錠(5mg)に減らし1日2回服用します。初めの1週間は高用量になりますので、効きすぎによる出血に十分注意してください。
  • 自分だけの判断で飲むのを止めてはいけません。また、飲み忘れや、飲み間違いにも十分注意しましょう。もし飲み忘れた場合は、気づいたときにすぐに1回量を服用し、その後通常どおりに服用してださい。ただし、絶対に2回分を同時に飲んではいけません。
  • 出血に気付いたら、すみやかに医師に連絡してください。たとえば、鼻血、歯ぐき出血、血痰、皮下出血、血尿、血便などです。とくに飲み始めは要注意です。

【検査】

処方に先立ち、腎機能を確認しておく必要があります。また、必要に応じて血液検査や便潜血検査をおこない、出血や貧血の兆候がないか確かめます。なお、用量調節のための定期的な血液凝固能検査は必要ありません。

【食生活】
  • わずかな傷や打ち身でも、血が止まりにくくなるかもしれません。歯磨きや鼻かみは、あまり力を入れないでやさしくしてください。また、運動や危険な作業をおこなう場合は、ケガをしないように十分注意しましょう。もしも、ひどいケガをしたときは、直ちに受診してください。
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)の飲食は避けたほうがよいでしょう。飲み合わせにより、この薬の効果が減弱するおそれがあるためてす。
効能

【効能A】

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

【効能B】

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

  • [注意1]ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な肺血栓塞栓症患者又は血栓溶解剤の使用や肺塞栓摘出術が必要な肺血栓塞栓症患者における有効性及び安全性は確立していないため、これらの患者に対してヘパリンの代替療法として本剤を投与しないこと。
  • [注意2]下大静脈フィルターが留置された患者における本剤の使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること。
用法

【効能A】

通常、成人はアピキサバンとして1回5mgを1日2回経口服用する。なお、年齢、体重、腎機能に応じて、アピキサバンとして1回2.5mg1日2回服用へ減量する。

  • [注意]次の基準の2つ以上に該当する患者は、出血のリスクが高く、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、1回2.5mg1日2回経口服用する。

    ・80歳以上

    ・体重60kg以下

    ・血清クレアチニン1.5mg/dL以上

【効能B】

通常、成人はアピキサバンとして1回10mgを1日2回、7日間経口服用した後、1回5mgを1日2回経口服用する。

  • [注意1]特に静脈血栓塞栓症発症後の初期7日間の1回10mg1日2回服用中は、出血のリスクに十分注意すること。
  • [注意2]本剤の服用期間については、症例ごとの静脈血栓塞栓症の再発リスク及び出血リスクを評価した上で決定し、漫然と継続服用しないこと。[国内臨床試験において、本剤を6ヵ月以上服用した経験はない。]

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 出血したり、血が止まりにくくなることがあります。もしも、出血がみられたら、医師と連絡をとり指示をうけてください。たとえば、鼻血、歯ぐきの出血、血痰、皮下出血、血尿、血便などです。重症化することはまれですが、消化管出血や脳出血など重い出血を起こす危険性がないともいえません。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い出血(消化管出血、肺出血、脳出血、眼底出血)..鼻血、歯ぐき出血、血痰、皮下出血(血豆・青あざ)、血尿、吐血、血便(赤〜黒い便)、視覚異常、息苦しい、頭痛、めまい、片側の手足のしびれ・まひ、うまく話せない。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。

【その他】
  • 鼻血、歯肉出血、皮下出血(血豆・青あざ)、血尿、結膜出血、便潜血
  • 貧血

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。