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妊娠とくすり Top4.おもな薬の危険度 Sub / 抗ウィルス薬


抗ウィルス薬
区分 一般名 製 品 例 添付文書 米FDA オ4版 虎 '92
抗ヘルペス ウィルス薬 アシクロビル※ ゾビラックス B(C?) B3  
バラシクロビル バルトレックス B  
抗インフルエンザ ウィルス薬 オセルタミビル タミフル C    
ザナミビル リレンザ B    
アマンタジン シンメトレル 禁忌・警 C B3  
抗肝炎 ウィルス薬 ラミブジン ゼフィックス ◇△[*1] C B3  
エンテカビル バラクルード ◇避    
リバビリン レベトール 禁忌・警・避・男 X X
抗サイトメガロ ウィルス薬 ガンシクロビル デノシン 禁忌・警・避・男 C D  
バルガンシクロビル バリキサ 禁忌・警・避・男 C D
抗エイズ ウィルス薬 ジドブジン レトロビル C B3   
ラミブジン エピビル C B3
ジドブジン・ラミブジン コンビビル C B3
ジダノシン ヴァイデックス 原則禁忌 B  
ザルシタビン ハイビッド C D
サニルブジン ゼリット 原則禁忌 C  
ネビラピン ビラミューン ◇[*2] C B3
エファビレンツ ストックリン ◇[*2] C  
インジナビル クリキシバン ◇[*2] C  
サキナビル インビラーゼ
フォートベイス
B B1
リトナビル ノービア B  
ネルフィナビル ビラセプト B B2
アタザナビル レイアタッツ 原則禁忌    
<添付文書> 添付文書の記載要領と解釈について
禁忌 〜投与しないこと(妊婦禁忌)
〜投与しないことが望ま しい
〜治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与すること
妊娠にかかわる「重要な基本的注意」あり
妊娠にかかわる「警告」あり
処方にさいしての事前の避妊指示(事後の対応ではありません)
処方にさいしての男性の避妊指示
<米FDA> FDA薬剤胎児危険度分類基準
<オ4版> オーストラリア基準 第4次改訂版(妊娠中の投薬とそのリスク, 医薬品・治療研究会より)
<虎 '92> 虎ノ門病院の基準(実践 妊娠と薬'92より)
・・・・・・・・
<註釈> [*1] 妊娠3ヵ月以内の婦人には投与しないことが望ましい。
[*2] 〜場合に限定すること。


【備考】

●妊娠中のウイルス感染で もっとも日常的なのが風邪とインフルエンザです。とくにインフルエンザにおいては、普段より重症化するおそれがありますので油断できません。また母体のインフルエンザ感染と発熱によって胎児も先天性障害や早産の危険性にさらされることになります。このようなリスクを回避するために、抗インフルエンザウィルス薬による治療が行われることがあります。

●オセルタミビル(タミフル)とザナミビル(リレンザ)は、抗インフルエンザウィルス薬の新薬です。動物実験で特段の催奇形性作用は認められていませんし、人での催奇形にかかわる報告も今のところないようです。はっきりしたことは分かっていませんが、危険性は低いと考えられています。そのため、治療上の有益性が高いと判断されれば、妊娠中においても使用可能です。

●アメリカ(CDC)では、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスに感染した妊婦に対し 発症から48時間以内に抗ウイルス薬による治療を開始することとし、また感染者と接触した妊婦に対しては10日間の予防的投薬を勧めています。(2009/05)

●A型インフルエンザウイルス感染症に適応するアマンタジン(シンメトレル)は、人での催奇形を疑わせる報告があり、妊娠中は禁忌となります。安全性の高い上記新薬が発売されたこともあり、適齢期の女性に安易に処方されることはないでしょう。

●その他の抗ウィルス薬が、若い女性に処方される頻度は多くありません。ときたま処方されるは、単純疱疹(ヘルペス)に用いるアシクロビル(ゾビラックス)です。この薬はとくべつ危険ではないので、症状がひどければ妊娠中でも処方されることがあるかもしれません。比較的規模の大きい疫学調査でも、先天奇形などの危険性は示されませんでした。

●リバビリン(レベトール)は、C型慢性肝炎の治療にたいへん有用な新薬です。ただ、すべての動物実験でごく微量にもかかわらず強力な催奇形性が認められています。おそらく人間でも同様なので、FDA基準、オーストラリア基準ともに、絶対禁忌の"X"としています。日本でも、投与直前の妊娠検査、投与中と投与終了後6ヵ月間の避妊、毎月1回の妊娠検査など、使用上の注意がきびしく決められています。また、男性の避妊が必要な数少ない薬の一つにもなっています。


【myメモ】
※Novel Influenza A (H1N1) Virus Infections in Three Pregnant Women --- United States, April--May 2009
〜Pregnant women with confirmed, probable, or suspected novel influenza A (H1N1) virus infection should receive antiviral treatment for 5 days. Oseltamivir is the preferred treatment for pregnant women, and the drug regimen should be initiated within 48 hours of symptom onset, if possible. Pregnant women who are in close contact with a person with confirmed, probable, or suspected novel influenza A (H1N1) infection should receive a 10-day course of chemoprophylaxis with zanamivir or oseltamivir. [CDC MMWR website 2009/5/15]
新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスに感染した3人の妊婦についての報告..〜新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染が確認 もしくは疑われる妊婦は、抗インフルエンザウィルス薬による治療を5日間 受けるべきである。オセルタミビル(タミフル)は妊婦にも好ましく、できるだけ発症から48時間以内に治療を開始する必要がある。また、新型インフルエンザ患者あるいは疑われる人と濃厚に接触した妊婦に対しては、発症予防のためにザナミビル(リレンザ)またはオセルタミビル(タミフル)による薬物治療を10日間おこなうようにする。
※Acyclovir(アシクロビル)
In a prospective epidemiological registry 1st trimester exposure to acyclovir in 749 pregnancies resulted in no increase in major or minor fetal anomalies. However, the manufacturer cautions, the small size of the registry is insufficient to evaluate the risk for less common defects or to permit reliable or definitive conclusions regarding the safety of acyclovir in pregnant women and their developing fetuses.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Physicians' Desk Reference. 54th ed. Montvale, NJ: Medical Economics Company,2000 )]
ある前向きな疫学調査によると、妊娠初期にアシクロビルを使用した749人の妊婦において、胎児奇形等の増加は認められなかった。けれども、これをもって安全であると結論づけることはできない・・)
※アシクロビル(ゾビラックス)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている。][添付文書2006/03]
※Amantadine(シンメトレル)
In a surveillance study of Michigan Medicaid patients 1st trimester exposure in 64 infants resulted in 5 birth defects (3.1 expected)[1]. The sample size is too small to draw firm conclusions.
ある研究によると、妊娠初期にアマンタジンに曝露した64例において、5例の先天奇形がみられた(3.1倍)。ただ、結論づけるには症例数が少なすぎる。[Drugs in Pregnancy and Lactation(1.Rosa F: Amantadine pregnancy experience. Reprod Toxicol. 1994 Nov-Dec;8(6):531. MEDLINE)]
※リバビリン
ヒトでの適切なデータはないが、これまでにテストしたほとんどすべての動物でリバビリンには催奇形性や胎児致死性の作用があることが分かっている。動物実験で、頭蓋骨、口蓋、眼、顎、骨格、消化管の奇形が生じることが知られている。胎児や仔の生存率が減少する。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会 Medicines in Pregnancy)]
※リバビリン
新型肺炎 感染の妊婦中絶へ。投薬で胎児に影響【香港・成沢健一】..5日付けの香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は、香港中文大学の医師の話しとして、SARS感染した妊婦が、投薬による胎児への影響を考慮し、中絶することを決めたと報じた。SARSへの効果が報告される合成抗ウイルス薬「リバビリン」は、胎児に奇形を起こす可能性があるためだという。この妊婦は、100人以上が院内感染した新界地区の「プリンス・オブ・ウェールズ病院」に勤める看護師で、妊娠12週以内とみられる。[毎日新聞 2003/04/07]

    
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