【備考】
●抗ウィルス薬が、若い女性に処方される頻度は多くありません。ときたま処方されるは、単純疱疹(ヘルペス)に用いるアシクロビル(ゾビラックス)です。この薬はとくべつ危険ではないので、症状がひどければ妊娠中でも処方されることがあるかもしれません。比較的規模の多い疫学調査でも、先天奇形などの危険性は示されませんでした。
●インフルエンザに用いるアマンタジン(シンメトレル)は、人での催奇形を疑わせる報告があり、妊娠中は禁忌となります。適齢期の女性に安易に処方されることはないでしょう。
●ザナミビル(リレンザ)とオセルタミビル(タミフル)は、抗インフルエンザウィルス薬の新薬です。動物実験では、催奇形は認められなかったようです。禁忌ではありませんが、人での安全性についてはまだよく分かっていません。
●リバビリン(レベトール)は、C型慢性肝炎の治療にたいへん有用な新薬です。ただ、すべての動物実験でごく微量にもかかわらず強力な催奇形性が認められています。おそらく人間でも同様なので、FDA基準、オーストラリア基準ともに、絶対禁忌の"X"としています。日本でも、投与直前の妊娠検査、投与中と投与終了後6ヵ月間の避妊、毎月1回の妊娠検査など、使用上の注意がきびしく決められています。また、男性の避妊が必要な数少ない薬の一つにもなっています。
【myメモ】
- ※Acyclovir(アシクロビル)
- In a prospective epidemiological registry
1st trimester exposure to acyclovir in 749
pregnancies resulted in no increase in major
or minor fetal anomalies. However, the manufacturer
cautions, the small size of the registry
is insufficient to evaluate the risk for
less common defects or to permit reliable
or definitive conclusions regarding the safety
of acyclovir in pregnant women and their
developing fetuses.[Perinatology.com/Drugs
in Pregnancy and Lactation(Physicians' Desk
Reference. 54th ed. Montvale, NJ: Medical
Economics Company,2000 )]
ある前向きな疫学調査によると、妊娠初期にアシクロビルを使用した749人の妊婦において、胎児奇形等の増加は認められなかった。けれども、これをもって安全であると結論づけることはできない・・)
- ※アシクロビル(ゾビラックス)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎児に頭部及び尾の異常が認められたと報告されている。][添付文書2006/03]
- ※Amantadine(シンメトレル)
- In a surveillance study of Michigan Medicaid
patients 1st trimester exposure in 64 infants
resulted in 5 birth defects (3.1 expected)[1].
The sample size is too small to draw firm
conclusions.
ある研究によると、妊娠初期にアマンタジンに曝露した64例において、5例の先天奇形がみられた(3.1倍)。ただ、結論づけるには症例数が少なすぎる。[Drugs
in Pregnancy and Lactation(1.Rosa F: Amantadine
pregnancy experience. Reprod Toxicol. 1994
Nov-Dec;8(6):531. MEDLINE)]
- ※リバビリン
- ヒトでの適切なデータはないが、これまでにテストしたほとんどすべての動物でリバビリンには催奇形性や胎児致死性の作用があることが分かっている。動物実験で、頭蓋骨、口蓋、眼、顎、骨格、消化管の奇形が生じることが知られている。胎児や仔の生存率が減少する。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会
Medicines in Pregnancy)]
- ※リバビリン
- 新型肺炎 感染の妊婦中絶へ。投薬で胎児に影響【香港・成沢健一】..5日付けの香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は、香港中文大学の医師の話しとして、SARS感染した妊婦が、投薬による胎児への影響を考慮し、中絶することを決めたと報じた。SARSへの効果が報告される合成抗ウイルス薬「リバビリン」は、胎児に奇形を起こす可能性があるためだという。この妊婦は、100人以上が院内感染した新界地区の「プリンス・オブ・ウェールズ病院」に勤める看護師で、妊娠12週以内とみられる。[毎日新聞
2003/04/07]
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