【備考】
●水虫やカンジダ症に代表される真菌症は、抗真菌薬で治療します。ツメの水虫など外用薬で治りにくい場合、飲み薬も使われます。ただ、服用期間が長くなるので、ふつう、妊娠の予定のある女性には処方されません。外用の塗り薬でしたら、妊娠中でも問題なく使用できます。
●水虫治療薬のグリセオフルビンは、女性だけでなく男性においても服用中の避妊が必要です。さらに男性では、服用中止後6ヵ月間避妊することになっています。男性の精子に対する影響は、実際には問題とならないという考え方が大勢なのですが、きちんとした疫学調査がされていないので、本当のところはよく分かっていません。グリセオフルビンの添付文書では、あまり目立たない「その他の注意」の項目でちょっと触れられているだけです。メーカーもそれほどは重視していないようです。
●抗トリコモナス薬のフラジール腟錠は、妊娠中でも処方されることがあります。
【myメモ】
- ※グリセオフルビン
- *FDAの奇形情報システムにより、第1三半期に何らかの薬剤を服用して発生した先天性奇形20,000例以上のうち2例にシャム双生児が発生していることが判明した。この2例とも本剤のみを服用していた。シャム双生児の発生頻度は5万分の1であるが、この調査での発生頻度は1万分の1と高くなっている。・・・中略・・・シャム双生児が発生した例では母親が本剤以外の薬を服用していないので、本剤と奇形に因果関係があるということを示唆している。[佐藤孝道ら:実践
妊娠と薬'92(Rosa,F.W.:Griseofulvin teratorogy,including
two thoracopagus conjoined,Lancet,1,171,1984)]
*300万例以上の出産中47例にシャム双生児が発生したが、本剤に曝露された母親は1人もいなかったという報告を根拠に、本剤とシャム双生児は関係がないという上記論文に対する反対論文がある。[佐藤孝道ら:実践
妊娠と薬'92(Kundesen,L.B.:No association
between griseofulvin and conjoined twinning,Lancet,2,1097,1987)]
*本剤を服用した143名の妊婦に関する調査では、19名に妊娠2、3、4ヵ月の流産、ダウン症候群、胎児奇形が生じたが、流産、奇形発生は本剤投与によるものと結論することは不可能であった。[佐藤孝道ら:実践
妊娠と薬'92(高橋 久:グリセオフルビンの催奇性、皮膚臨床、25、938、1983)]
- ※Fluconazole(ジフルカン)
- More than 250 pregnancies exposed to one
or several doses of less than 150 mg showed
no increase in malformation.However, Antley-Bixler
syndrome(craniosynostosis,choanal atresia,radiohumareal
syostosis)was seen with doses of > 400
mg/day.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy
and Lactation]
150mg/day以下の使用量の250例以上においては、奇形の増加は認められなかった。けれど、400mg/day以上では、Antley-Bixler症候群がみられた。
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