【備考】
●かぜに用いる薬に危険度の高い薬はありません。妊娠に気づかず偶発的に服用していたとしても、後から思い悩むほどの危険性はありません。ただし、かぜ薬には解熱・鎮痛薬や抗ヒスタミン薬が配合されているので長期連用は控えなければなりません。妊娠と分かったなら、市販のカゼ薬も含め医師の指示のもとで服用するようにしましょう。
●喘息では、ごく軽いケースを除き、妊娠中でも薬による治療を続けることが多いものです。激しい発作は、血液中の酸素不足を招き、赤ちゃんの脳の働きを悪くしてしまうおそれがあるのです。このようなことがないよう、発作を予防する薬を続ける必要があります。喘息の薬の多くは、妊娠中でも安全に使えます。
【myメモ】
- ※Dextromethorphan(デキストロメトルファン)
- Retrospective data from the Collaborative
Perinatal Project showed no increased rate
of major or minor anomalies after exposure
to dextromethorphan during the first four
months of pregnancy in 300 women [*1]. Similarly,
in a study which included one hundred twenty-eight
women exposed to the drug during the first
trimester dextromethorphan use during pregnancy
did not appear to increase the rate of major
malformations above the expected baseline
rate[*2]
妊娠初期4ヶ月間にデキストロメトルファンを使用していた女性300人を、後ろ向きに調査したデータによると、奇形発生率の増加はみられなかった。同様に、妊娠初期に曝露した128人を調査したある研究においても、奇形の平均的発現率を上回ることはなかった。[Perinatology.com/Drugs
in Pregnancy and Lactation(*1.Heinonen OP,
Slone D, Shapiro S: Birth defects and drugs
in pregnancy. Littleton:Publishing Sciences
Group, 1977 )(*2.Einarson A, Lyszkiewicz
D, Koren G.The safety of dextromethorphan
in pregnancy : results of a controlled study.
Chest. 2001 Feb;119(2):466-9. MEDLINE)]
- ※リン酸コデイン
- *分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
*分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれるとの報告がある。[添付文書]
- ※テオフィリン(テオドール)
- 動物実験(マウス、ラット、ウサギ)で催奇形作用等の生殖毒性が報告されている。また、ヒトで胎盤を通過して胎児に移行し、新生児に嘔吐、神経過敏等の症状があらわれることがある。[添付文書]
- ※クレンブテロール(スピロペント)
- 動物実験(ラット)で、妊娠後期に投与すると子宮筋の収縮を抑制して分娩遅延をおこすこと及び胎盤通過性を有することが報告されている。[添付文書]
- ※フルチカゾン
- 本薬は皮下投与による動物実験(ラット、ウサギ)で副腎皮質ステロイド剤に共通した奇形発生、胎児の発育抑制がみられ、これらの所見はウサギにおいて低い用量で出現することが報告されている。[添付文書]
- ※妊娠および授乳中の喘息および吸入ステロイド薬について
- 米国での女性の喘息罹患率は8〜9%で、喘息は妊婦にも発症しうる疾患の一つです。それに加えて42%の女性が産後に喘息の増悪を経験しているという報告もあることから、持続型喘息の女性は、妊娠中・授乳中も継続して治療を受ける必要があります。米国喘息教育・予防プログラム(National
Asthma Education and Prevention Program)では、妊娠中には喘息症状やその増悪に苦しむより、喘息治療薬を継続的に使用するほうが妊婦にとってリスクが低いことが示されています。吸入ステロイド薬(ICS)は、妊娠中の喘息増悪リスクを低下させることが示されており、成人および小児における持続型喘息の第一選択薬となっています。また、3ヶ所の出生登録所のデータを検討したスウェーデンの大規模な疫学調査では、妊娠中のブデソニド(Pulmicort)の使用には先天性奇形のリスクがないことが示されています。以上のことから吸入ステロイド薬ブデソニドは妊娠中・授乳中の女性の喘息治療薬に適した薬剤であると考えられます。[アストラゼネカHP
http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2007/07_11_09.html
2007/11/09]
- ※Asthma and Pregnancy(喘息と妊娠)
- In conclusion, aggressive treatment of maternal
asthma during pregnancy is often appropriate.
The goal of this treatment is to avoid asthma
attacks throughout pregnancy. Since maintenance
of a mother's health is crucial for optimal
pregnancy outcome, good control of asthmatic
symptoms, and avoidance of asthmatic emergencies
is essential. Women with controlled asthma
can expect to have the same pregnancy outcomes
as non-asthmatic women. [Illinois Teratogen
Information Service/Asthma and Pregnancy
Vol. 9, Issue 2 February 2002(Greenberger
PA, Patterson R , 1988 The outcome of pregnancy
complicated by severe asthma. Allergy Proc
9:539-543.)]
結論として、妊娠中でも積極的に喘息の治療をおこなうことが大切。治療の最終目標は、妊娠全期間をとおして喘息発作を避けること。最良な妊娠には母親の健康の維持がきわめて重要、それには喘息症状のコントロールと緊急事態の回避が必須となる。喘息の治療をきちんとしていれば、ふつうの人と変わらない安全な妊娠が期待できる。
- ※気管支喘患と妊娠
- *薬物療法としては、まず安全性の確立されていない新薬の使用を控える。妊娠が期待される、または予想される時期から安全な薬剤に切りかえる。妊婦にほぼ安全に使用できる薬剤を以下にあげる。吸入ステロイドのプロピオン酸ベクロメサゾン、吸入β2刺激薬は安全といえる。経口ステロイド薬のプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンは安全といえる。テオフイリン薬は血中濃度を測定し、通常よりやや低めの8〜12μg/mLを維持量とする。
*第3トリメスターではテオフイリンクリアランスは減少する。テオフイリンは速やかに胎盤を通過するので胎児に毒性を示す可能性がある。周産期にキサンチン薬を投与されている母体の新生児に、たとえ治療域であっても一過性の頻脈、神経過敏症、嘔吐が観察されている。同薬は妊娠時慢性高血圧を生ずることがある。
*吸入ベータ刺激薬は一般に妊娠中は安全であると考えられている。ベータ刺激薬の全身投与は出産を抑制したり遅延させたりするので、分娩近くには避けるべきである。 [新薬と治療No.424/伊藤幸治:特集 妊娠と疾患]
- ※経口 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
- 内用の副腎皮質ホルモン(ステロイド)の詳細は、こちらのページ。
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