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Top Menue 肝・胆・膵x7 肝臓の薬(抗C)

抗ウイルス薬-1
レベトールコペガス

C型慢性肝炎に有効な抗ウイルス薬です。どちらもリバビリンを有効成分とします。リバビリンだけでは効かないのですが、インターフェロンの注射と併用することで格段に治療効果が上がります。すなわち、ウイルス陰性化率が高まるとともに、治療終了後の再燃率も大幅に低下するのです。このリバビリンとインターフェロンによる2剤併用療法は、遺伝子1型難治例やウイルス量が多い場合のかつての標準治療法です。

2型においては飲み薬だけで治療できます。ソホスブビル(ソバルディ)またはオムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル(ヴィキラックス)との併用療法です。副作用が多いインターフェロンを用いることなく、90%以上という高いウイルス陰性化率が示されています。さらに少数例の遺伝子3〜6型に対しても、ソホスブビルとの併用療法として適応が拡大されました。

難治性C型肝炎に対して新たな治療選択肢となるのが、ソホスブビル・ベルパタスビル配合剤(エプクルーサ)との併用療法です。遺伝子型を問わず、前治療歴(DAA前治療不成功)があるC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変に対し適用可能です。

リバビリンの副作用として注意しておきたいのは貧血です。ヘモグロビンの検査で貧血の兆候があるときは、減量もしくは休薬しそれ以上悪化しないようにします。強い催奇形性があるため、妊娠中は絶対に避けなければなりません。

抗ウイルス薬-2
ソブリアード

第二世代のNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬に分類される直接作用型抗ウイルス薬です。インターフェロンと前記のリバビリン(レベトール、コペガス)に、ソブリアードを加えた3剤併用療法は、C型慢性肝炎の難治例や再治療例に対しても高い有効率を示します。C型のうちもっとも難治な1型・高ウイルス量におけるウイルス陰性化率は、かつてのインターフェロン単独療法では5%たらずでしたが、この3剤併用療法により90%に迫る高い陰性化率が得られています。

抗ウイルス薬-3
スンベプラダクルインザエレルサグラジナヴィキラックスマヴィレットハーボニージメンシーエプクルーサ

飲み薬だけで遺伝子1型のC型慢性肝炎が治せます。副作用が強いインターフェロンの注射を必要としません。これらの直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により、かつて難治とされたC型慢性肝炎の治療が容易になりました。今後、1型の一次治療における第一選択薬として、また従来のインターフェロン療法で治癒できなかった患者さんの二次治療に広く用いられることでしょう。

スンベプラは第二世代のNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、ダクルインザは世界初のNS5A阻害薬になります。この2剤をいっしょに用いると、抗ウイルス活性が相加的・相乗的に強まり、C型肝炎ウイルスを排除できる可能性が高まるのです。実際の臨床試験でも、インターフェロンの前治療歴を問わず、遺伝子1型において80%以上という高いウイルス陰性化率が示されています。ただし、一部の変異ウイルスにおいて有効率の低下がみられるようです。また、まれに肝機能値が悪化することがあるので、頻回に検査をおこなわなければなりません。腎障害があっても使用可能です。治療期間は6カ月間(24週)になります。なお、この組み合わせに、NS5Bポリメラーゼ阻害薬を加えた3成分配合剤のジメンシーが新たに発売されました(後記)。

エレルサとグラジナによる2剤併用療法も、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬とNS5A阻害薬の組み合わせです。ウイルス陰性化率は、未治療のC型慢性肝炎の患者さんで約97%、治療歴がある患者さんで96%(75/78人)に達しました。代償性肝硬変の有無、治療歴、年齢、耐性変異にかかわらず高い有効性が示されたのです。安全性も高く、重い腎機能障害あるいは透析治療を受けている場合でも使用可能です。服用回数は1日1回、1回にエレルサ1錠、グラジナ2錠を服用します。治療期間はさらに短く3カ月間(12週)で完結します。

同様の併用療法が、一種類の配合剤でおこなえるのがヴィキラックス配合錠です。NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬とNS5A阻害薬にくわえ、作用増強剤のリトナビルを配合することにより、1日1回2錠服用、3カ月間で終了できます。有効性も高く、治療歴や代償性肝硬変の有無にかかわらず、おおむね90%以上のウイルス陰性化率が得られています。副作用として注意しておきたいのは浮腫と肝機能障害、それと急性腎不全です。また、相互作用を起こしやすいので、併用薬に留意する必要があります。なお、ヴィキラックスは2型に対する効能も追加取得しました(次項)。

新薬のマヴィレット配合錠もNS3-4Aプロテアーゼ阻害薬とNS5A阻害薬の組み合わせです。1型をふくめ、すべての遺伝子型(1〜6型)に有効なパンジェノ型になります。治療も簡便で、1日1回3錠服用、国内最短2カ月間で終了できます(3〜6型、代償性肝硬変では3カ月)。強力かつ広範な抗ウイルス活性を示し、その優れた治療効果と安全性、適応の広さから第3世代のC型慢性肝炎治療薬とされることがあります。遺伝子型を問わず、C型慢性肝炎とC型代償性肝硬変に対する第一選択薬として期待されるところです。

ハーボニー配合錠は組み合わせが違います。NS5A阻害薬のレジパスビルと、NS5Bポリメラーゼ阻害薬のソホスブビル(ソバルディ)を含有し、それぞれがウイルス増殖にかかわる特定の蛋白を阻害します。この相加的な抗ウイルス作用により、非常に優れた治療効果を発揮します。1型の157人による臨床試験で、治療歴、年齢、代償性肝硬変の有無、NS5Aの耐性変異にかかわらず、100%の著効率(SVR12)を達成しているのです。飲みかたも簡単で、1日1回1錠を3カ月間服用し終了します。

次のジメンシー配合錠は3成分の配合剤です。前記のNS5A阻害薬のダクラタスビル(ダクルインザ)とNS3-4Aプロテアーゼ阻害薬のアスナプレビル(スンベプラ)に加え、NS5Bポリメラーゼ阻害薬のベクラブビルが配合されます。3薬により、抗ウイルス作用がいっそう増強し、また薬が効きにくくなる耐性出現も抑制されるのです。実際の臨床試験でも、治療歴や代償性肝硬変の有無にかかわらず、95%以上という高いウイルス陰性化率が示されています。用法・用量は1回2錠を1日2回食後服用、治療期間は12週間と簡便です。ただし、2成分配合剤に比べ肝機能障害と高ビリルビン血症のリスクが高いため、肝機能検査を毎週実施しなければなりません。

最後のエプクルーサ配合錠は、ソホスブビル(ソバルディ)とNS5A阻害薬のベルパタスビルを有効成分とします。ハーボニー配合錠と同様、交差耐性がなく、相加的な抗ウイルス作用が期待できる組み合わせです。遺伝子型を問わず、前治療歴(DAA前治療不成功)があるC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変にくわえ、C型非代償性肝硬変に使用可能です。これまで、C型非代償性肝硬変に対して承認された治療薬はなく、この薬が初めてです。実際、そのような難治例を対象とした臨床試験でも、90%以上の高いウイルス陰性化率が得られています。C型慢性肝炎・代償性肝硬変においてはリバビリンと併用する必要があります。

抗ウイルス薬-4
ソバルディヴィキラックスマヴィレットハーボニーエプクルーサ

遺伝子2型のC型慢性肝炎を中心に、広くC型慢性肝炎ウイルス感染症に用いられる直接作用型抗ウイルス薬(DAA)です。飲み薬だけで治療可能で、やっかいなインターフェロンの注射を必要としません。治療成績にも優れ、2型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変において80〜90%以上という高いウイルス陰性化率が示されています。このため、インターフェロンに代わり、2型に対する一次治療または二次治療薬として標準的に用いられるようになりました。

ソバルディの有効成分は核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬のソホスブビルで、後述のハーボニーやエプクルーサの配合成分の一つです。おもに2型に用いられますが、少数例となる3〜6型にも使用可能です。1日1回1錠ですみ、服用期間は2型で3カ月(12週)、3〜6型は6カ月間(24週間)です。単独療法ではなく、別系統の抗ウイルス薬リバビリン(レベトール、コペガス)との併用療法を行います。

ヴィキラックスは、1型にくわえ2型にも適用可能です。2型においては、やはりリバビリンと併用する必要があります。ウイルス陰性化率は、未治療の場合で90%以上と高率です。ただ、インターフェロンなどによる治療歴がある場合や2型の代償性肝硬変、あるいはサブタイプ2b型(下記参照)に対する有効率はやや劣るようです。服用期間は4カ月(16週)と、ソバルディより少し長くなります。

マヴィレット配合錠は、2型をふくめ すべての遺伝子型(1〜6型)に適用可能なパンジェノ型になります。また、併用薬としてリバビリンを必要としない、いわゆるリバビリンフリーということになります。腎障害時に使いにくいリバビリンを併用せずに 2型の治療が可能であり、腎機能障害や貧血を合併する患者さん、あるいは妊娠の可能性のある患者さんにたいへん有用です。治療期間は、C型慢性肝炎で2カ月間と国内最短です。ただし、従来の抗ウイルス薬で治癒できず、再治療をおこなうさいは3カ月間投与を考慮します。また、遺伝子3〜6型の場合、あるいは代償性肝硬変に至っている患者さんでは3カ月を要します。

ハーボニー配合錠は、当初 1型にだけ用いられましたが、その後 2型に対しても使用できるようになりました。2型に対しても96%以上という高いウイルス陰性化率が示されています。インターフェロンの使用歴、年齢、代償性肝硬変の有無を問わず使用可能で、処方制限の多いリバビリンとの併用も必要ありません。治療も簡便で、1日1回1錠服用、3カ月間という短期間で完結します。

難治例に用いられるのがエプクルーサ配合錠です。遺伝子型を問わず、以前の治療で治癒できなかった場合や非代償性肝硬変を伴うなど難治性のC型慢性肝炎ウイルス感染症に用いることができます。C型非代償性肝硬変を適応症とする治療薬はほかになく、新たな治療選択枝として期待されるところです。前治療歴があるC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変の場合は、リバビリン(レベトール)と併用します。


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<メモ>
  • C型肝炎ウイルスは遺伝子配列の違いから、1型〜6型の遺伝子型(ジェノタイプ1〜6)に分かれます。1型はさらに1aと1bに、2型は2aと2bに細分類(サブタイプ)されます。日本では1b、2a、2bがほとんどを占め、おおよそ70%、20%、10%の割合です。それぞれでインターフェロン感受性が異なり、インターフェロン療法の効きやすさは2a、2b、1bの順です。日本人に多い1型はかつて難治とされ、インターフェロン単独療法による治療効果は限定的でした。けれども、その後に新型のペグインターフェロンや直接作用型抗ウイルス薬による併用療法が次々と開発され、1型をふくめC型慢性肝炎の治療成績は飛躍的に向上しました。

    
    

 
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