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成分(一般名) アスナプレビル
製品例 スンベプラカプセル100mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤/抗ウイルス剤/HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 C型慢性肝炎の1型を治療するお薬です。ダクラタスビルと併用し、原因ウイルスを排除します。
作用

【働き】

肝臓病の多くはウイルス性です。とくにB型とC型ウイルスによる慢性肝炎が問題となります。慢性肝炎になると、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、長いあいだに一部が肝硬変へと進み、さらに肝臓がんに至ることもあります。この流れを絶つこと、あるいは遅らせるための治療が重要です。C型ではウイルスを排除し感染症の治癒を目指します。C型は遺伝子配列の違いから1〜6型に分かれますが、日本人の大部分は1型と2型です。

このお薬は、C型肝炎ウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬です。適応となるのは、遺伝子1型のC型慢性肝炎です。治療にあたっては、単独ではなく、別の抗ウイルス薬のダクラタスビル(ダクルインザ)といっしょに用いる必要があります。併用により、抗ウイルス活性が相加的・相乗的に強まり、C型肝炎ウイルスを排除できる可能性が高まるのです。実際の臨床試験でも、この2剤併用療法により80%以上の人のウイルスが消滅し治癒につながりました。

【薬理】

C型肝炎ウイルス(HCV)の複製にかかわるNS3/4Aプロテアーゼという酵素を阻害することで、ウイルスの増殖を強力に抑制します。このような作用機序から、「HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬」と呼ばれています。

【臨床試験-1】

この薬とダクラタスビルによる2剤併用療法と、従来の標準的治療法である注射薬のインターフェロンをふくむ3剤併用療法を比較する試験が行われています。参加したのは、1型(1b)のC型慢性肝炎でインターフェロン治療が可能な未治療の患者さん230人です。このうち119人はこの薬とダクラタスビルの2剤併用療法を、別の111人はインターフェロンをふくむ3剤併用療法(ペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビル)をおこないます。有効性を判定する主要評価項目は服用3ヵ月後の持続的ウイルス陰性化率(SVR12)です。ウイルスの陰性化は、ウイルスが排除されC型肝炎ウイルス感染症が治癒したとみなされます。

その結果、この薬とダクラタスビルの2剤併用療法の人達のウイルス陰性化率は89.1%(106/119人)でした。一方、インターフェロンをふくむ3剤併用療法の人達の陰性化率は62.2%(69/111人)にとどまりました。この薬とダクラタスビルの2剤併用療法のほうが、有効率が明らかに高く、従来の標準的治療法の3剤併用療法を上回る有効性が確認できたわけです。さらに、インターフェロンを含む治療後に再燃した患者をさんを対象とした別の臨床試験でも、95.5%(21/22人)という高い有効率が示されています。

【臨床試験-2】

インターフェロン治療が不適格、または無効だった患者さんを対象にした試験もおこなわれています。参加したのは、難治な1型(1b)のC型慢性肝炎で、持病や副作用のためインターフェロンをふくむ従来の治療を受けることができない患者さん135人と、インターフェロンをふくむ既存の標準治療で効果が得られなかった患者さん87人の合計222人です。有効性の判定は、この薬とダクラタスビルによる2剤併用療法6ヵ月後の持続的ウイルス陰性化率(SVR24)でおこないます。

その結果、インターフェロン治療が受けられない患者さんのウイルス陰性化率は87.4%(118/135人)、既存治療で効果が得られなかった患者さんの陰性化率は80.5%(70/87人)、両者の合計で84.7%(188/222人)でした。残念ながら、プラセボ(にせ薬)や類似薬との比較試験ではないのですが、C型肝炎ウイルスの自然排除は非常にまれなことから、80%以上という高いウイルス陰性化率は この薬の有効性を示す十分な証拠となるわけです。安全性については、大きな問題はないものの、肝機能異常が比較的多くみられたことから、頻回な肝機能検査が求められることになりました。
特徴
  • 第2世代のNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬に分類される新しい抗ウイルス薬です。画期的なのは、インターフェロンの注射を必要とせず、飲み薬だけでC型慢性肝炎の治療が可能な点です。ただし、単独では効果不十分なので、別系統(NS5A複製複合体阻害薬)の抗ウイルス薬ダクラタスビル(ダクルインザ)と必ず併用しなければなりません。なお、インターフェロンがよく効き、比較的治療が容易な遺伝子2型には適応しません。
  • インターフェロンの前治療歴を問わず、すべての遺伝子1型のC型慢性肝炎とC型代償性肝硬変が治療対象になります。また、既存の類似薬(ハーボニー)が禁忌となる重い腎障害あるいは透析をおこなっている場でも使用可能です。実際、透析患者を対象とした臨床試験で優れた有効性と安全性が示されています。
  • 80〜90%以上という高いウイルス陰性化率が得られますが、一部のウイルスにおいて薬剤耐性変異(NS5A-Y93位)による奏効率の低下がみられます。副作用として、肝機能障害に注意が必要です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 使用中の薬を医師に教えてください。飲み合わせの悪い薬がたくさんあります。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。併用薬をふくめ薬の性質をよく理解しておくことが大切です。

【注意する人】
  • 妊婦中またはその可能性のある女性は使用できません。
  • 肝機能障害がひどいときや肝硬変が進んでいる場合、使用を控えることがあります。また、B型肝炎ウイルスに重複感染している人、あるいは既往歴のある人は、その再活性化に注意が必要です。
  • 重い腎臓病のある人は、血中濃度が上昇しやすいので慎重に用います。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

いろいろな薬と相互作用を起こしやすい性質があります。飲み合わせによっては、この薬の効果がなくなってしまいます。逆に作用が増強し、副作用が強まるおそれもあります。使用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • 飲み合わせの悪い薬に、結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)とリファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)やフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(テグレトール)、ステロイド薬のデキサメタゾン(デカドロン)、睡眠障害治療薬のモダフィニル(モディオダール)、抗エイズウイルス薬のエファビレンツ(ストックリン)やエトラビリン(インテレンス)、ネビラピン(ビラミューン)、肺高血圧症治療薬のボセンタン(トラクリア)、免疫抑制薬のシクロスポリン(ネオーラル)、健康食品のセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)などがあります。これらといっしょに飲むと、この薬(スンベプラ)の血中濃度が低下するなどして効果が減弱するおそれがあります。
  • 逆に、この薬の血中濃度が上昇し、肝障害など副作用がでやすくなる飲み合わせもあります。この理由で禁止されるのは、抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)とエリスロマイシン(エリスロシン)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、フルコナゾール(ジフルカン)、ボリコナゾール(ブイフェンド)、ミコナゾール(フロリード)、高血圧・狭心症・不整脈治療薬のジルチアゼム(ヘルベッサー)とベラパミル(ワソラン)、C型慢性肝炎治療薬のテラプレビル(テラビック)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ、ヴィキラックス)、アタザナビル(レイアタッツ)、サキナビル(インビラーゼ)、ダルナル(プリジスタ)、ネルフィナビル(ビラセプト)、ホスアンプレナビル(レクシヴァ)やコビシスタット(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)などです。
  • 併用薬の血中濃度を上昇させる飲み合わせとして、抗不整脈薬のフレカイニド(タンボコール)とプロパフェノン(プロノン)が禁止されています。危険な不整脈薬のおそれがあるためです。咳止めのデキストロメトルファン(メジコン)、β遮断薬のメトプロロール(セロケン)または強心薬のジゴキシン(ジゴシン)と併用する場合は、これらの減量を考慮します。スタチン系コレステロール低下薬のロスバスタチン(クレストール)やシンバスタチン(リポバス)、アトルバスタチン(リピトール、カデュエット)なども注意が必要です。
  • 経口避妊薬の血中濃度が低下し、避妊効果が弱まるかもしれません。ダクルインザ・スンベプラ(この薬)2剤併用療法のさいは、避妊する必要があるのですが、経口避妊薬を使用している場合は その点にも留意する必要があります。

【使用にあたり】
  • 通常、1日2回、1回に1カプセルを飲みます。服用時間は医師の指示どおりにしてください。服用期間は6ヵ月間(24週間)です。
  • この薬とは別に、ダクラタスビル(ダクルインザ)という抗ウイルス薬をいっしょに使います。ダクラタスビルは1日1回1錠です。
  • 薬の血中濃度を常に一定に保つと、ウイルスのダメージが大きくなります。無用な中断は薬の効き目を悪くしますので、飲み忘れなく毎日規則正しく飲むことが大事です。もし飲み忘れた場合、次の服用時間まで4時間以上あいていたら、直ちに服用し、その後は予定通り服用してください。次の服用時間まで4時間未満の場合は、飲み忘れの分は抜かし、次の服用時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。

【検査】

定期的に検査をおこない、効果や副作用をチェックする必要があります。とくに重要なのが肝機能検査です。飲み始めの3ヵ月間は少なくとも2週ごとに、それ以降は4週ごとに実施しなければなりません。腎機能検査も大事です。

【妊娠・授乳】
  • 併用薬のダクラタスビル(ダクルインザ)に胎児毒性や催奇形性作用が疑われています。このため、妊娠する可能性のある女性は、事前に妊娠検査をおこない、妊娠していないことを確認したうえで治療を開始します。また、治療中および治療終了後5週間は、妊娠しないように適切な方法で避妊してください。
  • 授乳中は使用を控えるべきですが、やむを得ず使用する場合は、授乳を中止する必要があります。
効能 セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
用法 通常、成人はアスナプレビルとして1回100mgを1日2回経口服用する。本剤はダクラタスビル塩酸塩と併用し、服用期間は24週間とする。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 頭痛、発熱、下痢や吐き気などが現れますが、多くは軽症で治療の継続が可能です。検査でよく見つかるのは肝機能値の悪化と好酸球増加症です。肝機能障害から肝不全に至った例も報告されているので、重症化しないように肝機能検査を頻回におこない、早い段階で対処するようにします。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 多形紅斑..円形の紅斑、発熱、関節の痛み。
  • 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 腎障害..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。

【その他】
  • 頭痛、発熱、倦怠感、鼻咽頭炎
  • 下痢、吐き気、食欲減退
  • 肝機能値の異常、好酸球増加症

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。