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妊娠とくすり Top4.おもな薬の危険度 Sub / 安定剤、睡眠・鎮静薬・・


安定剤、睡眠・鎮静薬、抗うつ薬、アルコール、タバコ
区分 一般名 製 品 例 添付文書 米FDA オ4版 虎 '92
抗不安薬(BZD作動薬) 抗不安薬 全般 D C 4
ジアゼパム セルシン D C 4
クロルジアゼポキシド バランス
コントール
D C 4
ロラゼパム ワイパックス D C 4
アルプラゾラム コンスタン
ソラナックス
D C  
オキサゾラム セレナール   C 4
クロチアゼパム リーゼ   C 4
エチゾラム デパス   C 4
ブロマゼパム レキソタン   C 4
(クロナゼパム) (リボトリール) D C 4
睡眠・鎮静薬 BZD作動薬 トリアゾラム ハルシオン X C 4
エスタゾラム ユーロジン X   4
クアゼパム ドラール X    
ゾピクロン アモバン   C  
ゾルピデム マイスリー B    
バルビタール系 フェノバルビタール フェノバール
(ベゲタミン)
(アストモリジン)
◇[*1] D D 4
アモバルビタール イソミタール (◇) D    
ペントバルビタール ラボナ D C  
その他 ブロムワレリル尿素 ブロバリン D   1
ヒドロキシジン アタラックス 禁忌 C B1 2
抗精神病薬 フェノチアジン系 クロルプロマジン ウィンタミン
コントミン
(C) C 3
レボメプロマジン ヒルナミン C    
チオリダジン メレリル C C 3
フルフェナジン フルメジン C C  
ペルフェナジン ピーゼットシー C C  
ブチロフェノン系 ハロペリドール セレネース 禁忌 C C 3
SDA リスペリドン リスパダール C B3  
オランザピン ジプレキサ C B3  
クエチアピン セロクエル C    
その他 ピモジド オーラップ C B1  
リチウム リーマス 禁忌 D D 4
カルバマゼピン テグレトール D D 4
抗うつ薬 三環系 アミトリプチリン トリプタノール (D) C 3
イミプラミン トフラニール D C 3
クロミプラミン アナフラニール D C  
ノルトリプチリン ノリトレン D?    
アモキサピン アモキサン C    
四環系 マプロチリン ルジオミール B   1
ミアンセリン テトラミド   B2  
SSRIs パロキセチン パキシル D D  
フルボキサミン デプロメール
ルボックス
C C  
Fluoxetine Prozac(未承認)   B C  
SNRIs ミルナシプラン トレドミン      
その他 トラゾドン レスリン
デジレル
C    
中枢神経刺激薬 カフェイン カフェイン [*2] B A 2
(1:<0.3g)
(3:>1g)
メチルフェニデート リタリン C B2  
その他 アルコール(エタノール)   D    
ニコチン ニコチネルTTS
ニコレット
禁忌      
<添付文書> 添付文書の記載要領と解釈について
禁忌 〜投与しないこと(妊婦禁忌)
〜投与しないことが望ま しい
〜治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与すること
妊娠にかかわる「重要な基本的注意」あり
妊娠にかかわる「警告」あり
処方にさいしての事前の避妊指示(事後の対応ではありません)
処方にさいしての男性の避妊指示
<米FDA> FDA薬剤胎児危険度分類基準
<オ4版> オーストラリア基準 第4次改訂版(妊娠中の投薬とそのリスク, 医薬品・治療研究会より)
<虎 '92> 虎ノ門病院の基準(実践 妊娠と薬'92より)
・・・・・・・・
<註釈> [*1] フェノバルビタール/妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[*2] 長期連用を避けること。


【備考】

●精神神経系の多くの薬は、十分に安全性が確立されていません。さまざま報告があるようですが、催奇形性については、仮にあったとしてもその発生率が著しく増えるような危険性はないようです。一方、妊娠末期のベンゾジアゼピン系(BZ作動薬)の連日使用においては、新生児の離脱症状や筋緊張低下、傾眠などを生じる可能性があり注意を要します。

●心の病気を治療中で、妊娠を予定されている方は、事前に医師に伝えておいてください。軽い神経症や、心身症、不眠症では、ただ漫然と薬を続けるのではなく、生活や職場の環境調整、さらに心理療法や自律神経訓練法などを合わせておこない、そのうえで徐々に減らしていくことは可能と思います。妊娠してから、あわてて減量したり中止するのはつらいものがあります。処方される機会は多くありませんが、催奇形性が強く疑われている気分安定薬のカルバマゼピンとリチウムについては、可能であればより安全な薬に変更しておいたほうが安心です(カルバマゼピンは、てんかんなどやむおえない場合を除き、妊娠中、ことに初期は控えるべき)。

●ベンゾジアゼピン系の安定剤や睡眠薬は各科で多用されています。妊娠に気づかずに服用を続けてしまうことがあると思いますし、医師の判断によっては妊娠を承知のうえで処方されることもあるでしょう。できるだけ控えたいところですが、妊娠初期にこの系統を服用していたからといって、奇形の危険度がとりたてて高いわけではありません。虎の門病院の相談事例では、妊娠中にこの系統を服用していた133人全員が障害のない健康な赤ちゃんを出産されています(妊娠と薬'92)。妊娠中でも、ときどき頓服する程度なら、影響は少ないと考えられています。

一方、FDA基準ではベンゾジアゼピン系の不眠症治療薬を絶対禁忌の"X"に分類しています。きびしい評価には、治療上の有用性も考慮されています。不眠症は命に直接かかわる病気ではないので、胎児のリスク回避を優先した結果といえるでしょう。薬そのものの危険度が特別に高いわけではありません。

●抗うつ薬のSSRIも、特別に危険性が高いわけではありません。ただ、パロキセチン(パキシル)の最近のいくつかの疫学研究から、わずかとはいえ、先天性奇形のリスク上昇の可能性が示されています。特に心臓奇形のリスクが高まるようです。このことから、米国FDAでは、2005年12月、パロキセチンの妊娠分類基準をCからD に変更し、警告の項に注意事項を追記するなど、より慎重な対応を求めています。さらにその後、海外の疫学調査において、妊娠20週以降のSSRI投与において新生児遷延性肺高血圧症のリスクが高まるとの報告がされています。妊娠中または妊娠を希望している女性で、現在SSRI、ことにパロキセチンを服用中の場合は、継続の可否を含め医師とよく相談してください。


【myメモ】
※マイナートランキライザー(ベンゾジアゼピン系)
中央薬事審議会の副作用調査会の検討では、下記の疫学調査報告(省略)に基づいて、妊娠中のマイナートランキライザーの使用と奇形児出産との因果関係は必ずしも明確ではないが、催奇形の危険性を否定することができないので、妊娠初期における適用は、有用性と安全性を十分考慮のえう使用されるべきであると勧告している。また、妊娠後期の本剤使用によって起こった筋緊張低下児および新生児離脱症状に関する報告がある。[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92]
※マイナートランキライザー(ベンゾジアゼピン系)
行動奇形学と呼ばれる分野が最近注目を集めている。問題の中心は、胎児期に投与された薬剤が出生後の精神神経発達にどのような影響を及ぼすかということである。ヒトでは1日60mL以上のエタノールを母親が摂取すると明らかに新生児に異常な精神神経発達のみられることが報告されているが、これが良い例であ。しかし、この問題の詳細を含め、薬剤が胎児の機能的成熟にどのような影響を及ぼすかはよくわかっていない。トランキライザーや抗ヒスタミン剤のような薬剤を妊娠中長期にわたり不用意に投与するのは賛成できない。[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92]
※benzodiazepines(ベンゾジアゼピン系)
*Most recently, Ornoy et al. (1998) prospectively reported 460 pregnancies exposed to BZDs in the first trimester and found no increase in birth weight, gestational age or malformations, but more cardiac defects were present in the exposed versus control group; a slight increase in miscarriage and induced abortions was also observed.
妊娠初期にベンゾジアゼピン系薬剤に曝露した460例の前向き研究が最近おこなわれている。これによると、新生児の体重や奇形などの異常の発現率が増えることはなかった。けれど、コントロール群に比べ心臓奇形が多くみられた。また、わずかに流産と中絶が多かった。
*While no long term studies have been performed to assess neurodevelopment in exposed children, the potential exists for neurobehavioral teratogenicity after exposure to BZDs, and this has been noted in animal studies (Schardein, 1993). [Illinois Teratogen Information Service/Benzodiazepines in Pregnancy Vol. 7., No. 4 June 1999]
精神神経系の発育を評価する長期的な研究はおこなわれていないが、ベンゾジアゼピン系薬剤に曝露した場合、出生後に精神神経系の異常(行動奇形)を生じる可能性も考えられる。このことは、動物実験で示されている。
※benzodiazepines(ベンゾジアゼピン系)
・・・This has, however, been contradicted by several recent prospective and case-controlled studies and a meta-analysis that all uniformly found no association between diazepam use and clefting (Altshuler et al., 1996; Bracken, 1986; Czeizel, 1988; Ornoy et al., 1998; Pastuszak et al., 1994; Rosenberg et al., 1983; Shiono and Mills, 1984). In recent years, several prospective studies have addressed the potential teratogenicity of multiple BZDs. The association between BZDs and clefting, and birth defects in general, remains unclear, ・・・[Illinois Teratogen Information Service/Benzodiazepines in Pregnancy Vol. 7., No. 4 June 1999]
・・・ジアゼパムと口蓋裂との関連性は、その後の研究やメタ分析においては否定的。一方で、近年いくつかの前向き研究において、ベンゾジアゼピン系薬剤の催奇形性の可能性も示唆される。いまだに、ベンゾジアゼピン系薬剤と、口蓋裂、先天性欠損の因果関係は明確ではない・・・。
※benzodiazepines(ベンゾジアゼピン系)
Use of benzodiazepines, specifically diazepam, was previously thought to be associated with an increased frequency of cleft lip and/or palate; this finding has not been supported by the majority of recent studies. Although the balance of evidence from human studies of the benzodiazepines (chiefly, diazepam) does not show first trimester usage to be teratogenic, animal studies have shown an increase in abnormal behavioral patterns after in utero exposures at levels comparable to the usual human doses. At this point, there is still no conclusive data regarding the possible behavioral teratogenicity of benzodiazepine use during pregnancy. Withdrawal symptoms can occur after fetal exposure late in pregnancy. [Illinois Teratogen Information Service/Benzodiazepines in Pregnancy Vol. 7., No. 4 June 1999]
ベンゾジアゼピン系薬剤、ことにジアゼパムは、以前、口唇裂あるいは口蓋裂との関連性が考えられていたが、最近の大部分の研究においては否定的。人の臨床研究では全般的に催奇形性は示されないものの、動物実験では、通常の人用量で異常行動が増えることが示されている。ただこの点に関し、人における妊娠中のベンゾジアゼピン系薬剤の使用と行動異常(行動奇形)を関連づける決定的なデータはない。妊娠末期の曝露により、退薬症状(神経過敏等)を生じる可能性がある。
※エチゾラム(デパス)
虎の門病院・薬剤部長 妊娠中のエチゾラム「出生児異常に差ない」/虎の門病院薬剤部の林昌洋部長は、このほど東京都内で講演し、エチゾラムやロキソプロフェンナトリウムを妊娠中に服用した女性の出生児に異常が見られた症例数を調査したところ、服用時の出生児の異常は全体の1〜2%で、自然発生的な異常(2〜3%程度)と際立った差は見られないとする結果を発表した。林氏は、服用中の薬が乳胎児に与える影響に過剰反応しがちな妊娠女性に対し、医学的根拠に基づき慎重に、分かりやすく説明する重要性を訴えた。国立成育医療センター・妊娠と薬情報センターが主催したシンポジウムの中で述べた。[日刊薬業 2008/12/03]
※ジアゼパム
妊娠中の本剤使用により、口蓋裂などの奇形発生が増加したとのレトロスペクティブな疫学調査が複数報告されている。しかし、これらの疫学調査には、調査方法などの偏りに関する考慮が十分でないと指摘した報告がある。規模のより大きい疫学調査および最近の報告では口蓋裂などの奇形発生や胎児死亡などについて本剤使用との因果関係は認められなかった。一方、別のレトロスペクティブな疫学調査は、鼠徑ヘルニア、心臓血管系の奇形との関連性を指摘している。[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92]
※Alprazolam(アルプラゾラム:コンスタン)
*Several human studies exist on alprazolam exposure in pregnancy.Postmarketing research of 411 women with first trimester exposure to alprazolam did not suggest an increased frequency of malformations (St. Clair et al., 1992).
妊娠中の使用に関するいくつかの臨床研究がある。妊娠初期にアルプラゾラムに曝露した411人の女性の調査において奇形発現率が増えることはなかった。
*Separate prospective studies of 133 and 149 women, respectively, found no increased risk of malformations nor any pattern to the malformations described (Johnson et al., 1995; Ornoy, 1998).
133人と149人の女性による別の前向き研究においても、奇形発現率の増加はみられず、特別な奇形パターンも認められなかった。
*Neonatal withdrawal symptoms have been noted after exposure to alprazolam in late pregnancy (Barry and St.Clair, 1987) and breast-feeding (Anderson and McGuire, 1989). [Illinois Teratogen Information Service/Benzodiazepines in Pregnancy]
妊娠後半期のアルプラゾラム曝露例および授乳において新生児退薬症状が報告される。
※Triazolam(トリアゾラム:ハルシオン)
Data on triazolam is limited to manufacturers data and a retrospective study on 138 women exposed in the first trimester; neither showed any significant increase in malformations or pattern to these malformations (Briggs, 1998), although withdrawal symptoms have been noted (Barry and St. Clair, 1987; Sakai et al. 1996). [Illinois Teratogen Information Service/Benzodiazepines in Pregnancy Vol. 7., No. 4 June 1999]
トリアゾラムのデータは限られる。妊娠初期に曝露した138人の女性を後ろ向きに調査した研究では、とくに奇形の増加はみられなかった。一方で、退薬症状が指摘されている。
※ジアゼパム(セルシン)
*1.妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に本剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。〕
*2.妊娠後期の婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。〔ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(武田)]
*3.分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。
*4.授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことがあり、また、黄疸を増強する可能性がある。〕
※エチゾラム(デパス)
*1.妊婦(3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験により催奇形作用が報告されており、また、妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。〕
*2.妊娠後期の婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。なお、妊娠後期に本剤を連用していた患者から出生した新生児に血清CK(CPK)上昇があらわれることがある。〕
*3.分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
*4.授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中へ移行し、新生児に体重増加不良があらわれることがある。また、他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で嗜眠、体重減少等を起こすことが報告されており、また黄疸を増強する可能性がある。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(田辺三菱)]
※アルプラゾラム(コンスタン)
*1.妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤を動物(ラット、ウサギ)に大量投与したとき、骨格異常、胎児の死亡、出産児の発育遅延の増加が報告されている。〕
*2.妊娠後期の婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。〔ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。〕
*3.分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。
*4.授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中に移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが、他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されており、また、黄疸を増強する可能性がある。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(武田)]
※ブロマゼパム(レキソタン)
*1妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム、クロルジアゼポキシド等)を服用していた患者が出産した新生児において、口唇裂、口蓋裂等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。〕
*2.妊娠後期の婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。〕
*3.分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。(2010/09改定前の旧文言:分娩前に連用した場合、出産後新生児に禁断症状(神経過敏、振戦、過緊張等)があらわれることが報告されている。)
*4授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されている。また、黄疸を増強する可能性がある。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(中外-エーザイ)]
※トリアゾラム(ハルシオン)
*1.妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。〕
*2.妊娠後期の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。〕
*3.分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。
*4.授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されており、また黄疸を増強する可能性がある。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(ファイザー)]
※ゾピクロン(アモバン)
*1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中及び授乳中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に本剤を投与された患者より出生した児に呼吸抑制、痙攣、振戦、易刺激性、哺乳困難等の離脱症状があらわれることがある。なお、これらの症状は、新生児仮死として報告される場合もある。〕
*2.授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中に移行し、新生児に嗜眠を起こす可能性がある。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(サノフィ・アベンティス)]
※ゾルピデム(マイスリー)
*1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に本剤を投与された患者より出生した児に呼吸抑制、痙攣、振戦、易刺激性、哺乳困難等の離脱症状があらわれることがある。なお、これらの症状は、新生児仮死として報告される場合もある。〕
*2.授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。〔母乳中へ移行することが報告されており、新生児に嗜眠を起こすおそれがある。〕[添付文書/妊婦、産婦、授乳婦等への投与(アステラス)]
※Chlorpromazine(クロルプロマジン)
Presently carries the following precautions: Safety for the use of chlorpromazine during pregnancy has not been established. Therefore, it is not recommended that the drug be given to pregnant patients except when, in the judgment of the physician, it is essential. The potential benefits should clearly outweigh possible hazards. [Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
今だ、クロルプロマジの妊娠中の使用についての安全性は確立されていない。したがって、医師が治療上必須と判断した場合を除き、妊娠中の使用はすすめられない。その有用性が、明らかに危険性を上回らなければならない。
※クロルプロマジン
奇形発生頻度が上昇するという研究結果と奇肢症の報告が1例ずつあるが、ほとんどの研究は、クロルプロマジンは、低用量でときどき使用するならば母親と胎児に対し安全であると判断している。このほかの総説者も、フェノチアジンには催奇形性はないと結論している。ただし分娩近くでの使用は、母親が低血圧を起こすことと、新生児に副作用を起こす危険があるため使用を避ける方がよい[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92(Brggs, G. G.:Drugs in pregnancy and lactation, 118~120, 1990)]。
※ハロペリドール
*ハロペリドールの催奇形性を示唆した症例報告がいくつかあるが、因果関係は確認されていない。妊娠中のハロペリドールの使用は長期療養が必要な精神病患者に限定されるべきである。
*第1三半期あるいは第2三半期に数日から数週間本剤を1.2mg/日投与された100例では奇形、死産、早産、新生児死亡の頻度は増加しなかった[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92(Drugdex)]。
※ハロペリドール
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔催奇形性を疑う症例がある。動物実験で口蓋裂(マウス)、脳奇形(ハムスター)等の催奇形性および着床数の減少、胎児吸収の増加(マウス)、流産率の上昇(ラット)等の胎児毒性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。〕[添付文書2011/04]
※Olanzapine(オランザピン)
23 olanzapine-exposed pregnancies resulted in no increase in major or minor anomalies. However, the sample size is too small to draw firm conclusions [Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Goldstein DJ, Corbin LA, Fung MC. Olanzapine-exposed pregnancies and lactation: early experience. J Clin Psychopharmacol. 2000 Aug;20(4):399-403. MEDLINE)]
妊娠中に オランザピンに曝露した23例において、奇形等の増加は認められなかった。ただ、結論づけるには症例数が少なすぎる。
※リスペリドン(リスパダール)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。〕[添付文書2011/04]
※妊娠中のうつ病治療の課題
妊婦におけるうつ病の治療法についての判断は難しく、患者と医師は、妊娠中の抗うつ剤投与のベネフィットとリスクの可能性について、注意深く検討し話し合う必要がある。判断の際に検討されるべき重要な情報が、2件の新規の研究により示された。研究では、主に選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を投与された女性が対象で、その他の抗うつ剤を投与された女性もわずかに含まれた。SSRIは、米国ではうつ病の治療に対し最も一般的に使用される薬剤である。
 1件目は、2006年2月1日のJAMA 誌に発表されたLee Cohenらによる研究で、妊娠中の抗うつ剤投与中止後のうつ病再発のリスクを示している。著者らは、過去に大うつ病を患った妊婦を追跡した。妊娠中、抑うつ状態にならず抗うつ剤服用を中止した女性もいたが、その他の女性は、妊娠中も抗うつ剤服用を継続した。抗うつ剤服用を中止した女性は、妊娠中に抗うつ剤服用を継続した女性と比較して、妊娠中のうつ病の再発率は5倍であった。
 2件目は、2006年2月9日にN Engl J Med.誌に発表されたChristina Chambersらによる研究である。妊娠中のSSRIについて、まれであるが別のリスクの可能性が示された。研究は新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の新生児を対象とした。PPHN は、出生直後に生じる重篤な生命を脅かす肺疾患で、罹患すると肺血管が高血圧になり、血流中に十分な酸素を取り込むことができない。米国では1,000人の新生児のうち約1〜2人が出生直後にPPHNを発症し、集中的な治療が必要となる。この研究では、SSRIを服用しなかった母親の新生児と比較して、妊娠第20週目以降にSSRIを服用した母親の新生児で、PPHNの発生率が6倍多かった。研究が小規模であるため、特定の薬剤のリスクを他の薬剤のリスクと比較することは難しく、また現在のところこのようなリスクについて他に調査研究は行われていない。
 すでにSSRIを服用した女性の乳児が易刺激性、授乳困難やごくまれに呼吸困難等を起こすという報告があった。またparoxetine[‘Paxil’]のラベリングは最近変更され、妊娠第1三半期での投与が心先天異常のリスク増大に関連するおそれがあるという疫学的研究の知見が追加された(2005年12月8日のPublic Health Advisory for Paxil)。
 新生児でのまれなPPHN発生のリスクについては、その他の研究では確認されていない。妊娠中または妊娠を計画している女性は、医師への相談なしに抗うつ剤治療を中止すべきではない。服用を継続するか中止するかは、それぞれの妊娠患者に対する薬剤のベネフィットやリスクの可能性を注意深く検討した後に判断すべきである。
 FDAは妊娠時にSSRIを服用した母親の新生児におけるPPHN発生のリスクについてさらに詳しい情報を求めている。当面の間、FDAはすべてのSSRIのスポンサーに対し、処方情報を改訂しPPHN発生のリスクを記載するよう要請した。本件に関する情報が入手され次第、処方情報を改訂する予定である。Treatment Challenges of Depression in Pregnancy FDA Public Health Advisory 2006/07/19[国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)2006/08/10]
※妊娠直後に抗うつ剤の服用中止の妊婦のうつ病再発のリスク
妊娠直後に抗うつ剤の服用中止の妊婦のうつ病再発のリスクを、抗うつ剤の投与を継続した妊婦と比較した前向きの観察研究である。1999〜2003年にかけて参加者の登録を行い、妊娠前に大うつ病の既往があること、妊娠16週未満であること、最終月経の前最低3ヶ月間は寛解状態であったこと、および抗うつ剤を現在服用または最近(最終月経の前12週以内)服用していたこと等の条件にあった201人の妊婦を対象とした。全体で86人(43%)が妊娠中に大うつ病を再発した。妊娠中に抗うつ剤の服用を継続した82人の妊婦のうち21人(26%)がうつ病を再発した。一方、抗うつ剤の服用を中止した65人の妊婦のうち44人(68%)がうつ病を再発した。抗うつ剤を中止した妊婦は、抗うつ剤の服用を継続した妊婦に比較して妊娠中のうつ病再発が有意に多かった〔ハザード比5.0、95%CI[2.8〜9.1]、p<0.001〕。著者らは、抗うつ剤の服用継続により寛解状態にあるうつ病の既往患者について、抗うつ剤の服用中止と妊娠中のうつ病再発に関連性があることに留意すべきであるとしている。J Cohen LS, Relapse of major depression during pregnancy in women who maintain or discontinue antidepressant treatment. JAMA. 2006 Feb 1;295(5):499-507.[国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)2006/08/10]
※SSRI使用とPPHNリスク
1998〜2003年間に、PPHNの乳児を出産した377人の女性と、正常児を出産した対照群の女性836人を対象に、妊娠中のSSRIの使用を調査した症例対照研究である。妊娠20週以降SSRIを使用した割合は、PPHNの乳児を出産した女性377人中14人(3.7%)、対照群では836人中6人(0.7%)であり、母親の妊娠後期のSSRIの使用はPPHNのリスクを約6倍増加させることが示唆された〔オッズ比6.1;95% CI[2.2〜16.8]〕。しかし、妊娠20週以前のSSRIの使用およびSSRI以外の抗うつ剤の使用は、乳児のPPHN罹患のリスク増大に関連していなかった。著者らは、これらのデータは妊娠後期における母親のSSRI使用と出生児のPPHNとの関連性を支持するものであり、妊娠中にSSRIを使用する場合はこの結果を考慮すべきであるとしている。Chambers Cd et al., Selective serotonin-reuptake inhibitors and risk of persistent pulmonary hypertension of the newborn. N Engl J Med. 2006 Feb 9;354(6):579-87.[国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)2006/08/10]
※クロミプラミン(アナフラニール)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。〔新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期に本剤を投与された患者群において、胎児での心血管系異常 (心室又は心房中隔欠損等) の相対リスクは本剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。動物実験 (ウサギ) において静脈内投与した場合、胎児死亡率の増加が認められている。また、他の三環系抗うつ剤 (イミプラミン) の動物実験 (ウサギ) で催奇形作用が報告されている。〕[添付文書2009/07]
※Amitriptyline (アミトリプチリン)
Amitriptyline has been shown to cross the placenta. Although a causal relationship has not been established, there have been a few reports of adverse events, including CNS effects, limb deformities, or developmental delay, in infants whose mothers had taken amitriptyline during pregnancy. Amitriptyline should be used during pregnancy only if the potential benefit to the mother justifies the potential risk to the fetus.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
はっきりしたことは分かっていないが、妊娠中にアミトリプチンを使用していたケースにおいて四肢の奇形や発育遅延などを含む有害作用を疑わせる症例が数例報告されている。妊娠中の使用は、治療上の有用性が胎児への危険性をしのぐ場合だけに限られる。
※Amitriptyline (アミトリプチリン)
1st trimester exposure in 467 infants resulted in no increase in major or minor anomalies.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Briggs GG)]
妊娠初期にアミトリプチンに曝露した467例においては、奇形等の増加は認められなかった。
※Nortriptyline(ノルトリプチリン)
Safe use of nortriptyline during pregnancy and lactation has not been established; therefore, when the drug is administered to pregnant patients, nursing mothers, or women of childbearing potential, the potential benefits must be weighed against the possible hazards.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Physicians' Desk Reference. 54th ed. Montvale, NJ: Medical Economics Company,2000)]
ノルトリプチリンの妊娠中、あるいは授乳時の服用についての安全性は今だ確立されていない。したがって、妊婦、授乳婦、または妊娠の可能性のある女性への投与にあたっては、その有用性と危険性とを十分に評価しなければならない。
※Amoxapine(アモキサピン)
1st trimester exposure in 19 infants resulted in a threefold increase in major anomalies ,but the sample size is to small to draw firm conclusions.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
妊娠初期にアモキサピンに曝露した19例において、奇形の割合が3倍多かった。しかし、結論づけるには症例数があまりに少なすぎる。
※SSRIs
うつ病女性の妊娠時には細心の注意が必要、リスク/効能評価後に治療方針を決定すべき..JAMA誌、NEJM誌などに相次いで報告された3本の論文は、うつ病の女性が妊娠した場合には、管理に細心の注意が必要であることを示している。抗うつ剤の使用を中止した場合の再発リスクは、使用を継続していた場合の5倍と高いが、妊娠の後半に抗うつ剤、特に選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)を使用すると、産児の新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)リスクは6.1倍になる。また、SSRIの胎内暴露があった新生児では、30%が新生児禁断(離脱)症候群(NAS)を示すことも明らかになった。[日経Med Wave 2006/03/10]
※SSRIs
SSRIsを妊娠中に投与した例はまだ限られているが、これまでには先天欠損を増加させるという報告はない。SSRIsを妊娠第 3三半期に使用すると新生児に離脱症状を引き起こす可能性がある。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会 Medicines in Pregnancy)]
※Paroxetine(パロキセチン)
Limited human data suggests no increased rate of anomaly. However, there is insufficient data on possible behavioral teratogenic effects.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
限られた人データではあるが、奇形発生率の増加はみられない。けれども、催奇形性を判断するには、データが不十分。
※Paroxetine(パロキセチン)
*Animal studies of paroxetine have not shown an increase in malformations at up to 50 times the usual human dose (Baldwin et al. 1989; Smithkline Beecham, 1996.).
動物実験では、人用量の50倍まで催奇形性を示さなかった。
*Human studies consist of a case series of three exposed infants (McElhatton et al., 1996), postmarketing data following 63 women exposed in the first trimester (Inman et al., 1993), and a prospective cohort study examining outcomes in 98 women exposed in the first trimester (Kulin et al., 1998). None of these studies showed an increase in malformations, nor were miscarriage, stillbirth or prematurity increased in the Kulin et al. report (1998). While this data is limited, when considered in combination with the information on fluoxetine, it appears that paroxetine is unlikely to pose a significant risk for malformations when used in the first trimester.
・・・データは限定されるが、fluoxetineの情報と考えあわせると、妊娠初期の使用において重大な奇形の危険性はないように思われる。
*A single report of transient neonatal toxicity (jitteriness and hypertonia) was reported in an infant whose mother consumed 30 mg paroxetine from six months of pregnancy (Dahl et al., 1997). [Illinois Teratogen Information Service/Prozac and Other Selective Serotonin Re-Uptake Inhibitors Vol. 7., No. 3 March 1999]
神経過敏症状など胎児毒性(新生児毒性)を示す報告が一件ある。妊娠6ヶ月からparoxetineを30mg服用していた母親の子にみられた。
※パロキセチン(パキシル)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始すること。また、本剤投与中に妊娠が判明した場合には、投与継続が治療上妥当と判断される場合以外は、投与を中止するか、代替治療を実施すること。
〔(1)海外の疫学調査において、妊娠第1三半期に本剤を投与された婦人が出産した新生児では先天異常、特に心血管系異常(心室又は心房中隔欠損等)のリスクが増加した。このうち1つの調査では、一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%であるのに対し、パロキセチン曝露時の発生率は約2%と報告されている。
(2)妊娠末期に本剤を投与された婦人が出産した新生児において、呼吸抑制、無呼吸、チアノーゼ、多呼吸、てんかん様発作、振戦、筋緊張低下又は亢進、反射亢進、ぴくつき、易刺激性、持続的な泣き、嗜眠、傾眠、発熱、低体温、哺乳障害、嘔吐、低血糖等の症状があらわれたとの報告があり、これらの多くは出産直後又は出産後24時間までに発現していた。なお、これらの症状は、新生児仮死あるいは薬物離脱症状として報告された場合もある。
(3)海外の疫学調査において、妊娠中に本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤を投与された婦人が出産した新生児において新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった。〕[添付文書2010/04改訂]
※パロキセチン(パキシル)
★Paxil (paroxetine HCL)、Paxil CR Controlled-Release Tablets
※Audience: Neuropsychiatric and other healthcare professionals/[Posted 09/27/2005] GlaxoSmithKline (GSK) and FDA notified healthcare professionals of changes to the Pregnancy/PRECAUTIONS section of the Prescribing Information for Paxil and Paxil CR Controlled-Release Tablets to describe the results of a GSK retrospective epidemiologic study of major congenital malformations in infants born to women taking antidepressants during the first trimester of pregnancy. This study suggested an increase in the risk of overall major congenital malformations for paroxetine as compared to other antidepressants [OR 2.2: 95% confidence interval, 1.34-3.63]. Healthcare professionals are advised to carefully weigh the potential risks and benefits of using paroxetine therapy in women during pregnancy and to discuss these findings as well as treatment alternatives with their patients.(FDAパキシルの催奇形性にかかわる通知)[FDA/Med-Watch2005/09]

パロキセチン(パキシル)
【米FDA 】GlaxoSmithKline(GSK)社とFDAから、[‘Paxil’]および[‘Paxil CR’]徐放錠の処方情報、妊娠/処方上の注意の項目を改訂して、先天性奇形に関する記載を追加することが医療従事者に通知された。この改訂はGSK自身による後ろ向き疫学研究においてparoxetine の先天性奇形のリスクが他の抗うつ剤に比較して高く算出された結果に基づくもので、妊婦へ投与する場合は潜在的なリスクとベネフィットを慎重に検討し、治療法の変更も含めて患者と話し合うよう助言している。
 ◆背景..GSK 社は妊娠第1 三半期に抗うつ剤を服用する女性から生まれた子供の重大な先天性奇形について、後ろ向きの疫学的研究を行った。最近の予備解析の結果から、データベースでは他の抗うつ剤と比較してparoxetine で、先天性奇形全体に対する調整オッズ比は2.20〔95%CI[1.34〜3.63]〕、心血管系の先天性奇形単独の調整オッズ比(OR)は2.08〔95%CI[1.03〜4.23]〕であった。先天性奇形全体の発生率は約4%、心血管系の先天性奇形単独の発生率は約2%であった。Paroxetine を投与された母親の乳児で報告された心血管系の先天性奇形のうち最も多かったのは心室中隔欠損症であった。
 GSK 社の研究は、抗うつ剤を服用した女性から生まれた乳児の先天性奇形の抗うつ剤間の相対リスク評価を目的にデザインされたため、抗うつ剤に曝露されていない乳児との比較は行われていないことに注意すべきである。したがって、これらのデータは一般の母集団における先天性奇形の全般的な発生率と関連して検討すべきである。米国において、先天性奇形は約3%、心血管系の先天性奇形単独では約1%であると推定されている(Honein 1999)。
 従来のparoxetine を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に第1 三半期に曝露された場合の妊娠の転帰に関する疫学研究では、SSRI に対して重大な先天性奇形のリスクの増加のエビデンスは示されていなかった。Swedish Medical Birth Registry による最新の論文は(Hallberg2005)、上記のGSK 社の研究と異なり、抗うつ剤に曝露されていない乳児との比較を含んでいる。妊娠初期にSSRI に曝露された母親から生まれた4,291 人の乳児のデータから、全体で2.9%の先天性奇形が示されている。著者らは、抗うつ剤に曝露されていない乳児に予測された3.5%の発生率と差がないと結論付けている。この登録データ内のparoxetine に曝露された708 人で、先天性奇形の発生率は3.4%であった。
 さらに最近になって、Alwan らは1997〜2001 年に生まれた乳児のNational Birth Defects Prevention Study から得たデータを報告している(2005)。調整した解析により、SSRI を服用した女性は服用しなかった女性と比較して、臍帯ヘルニアの子供が生まれやすいことが示されている(n=161)〔OR 3.0、95%CI[1.4〜6.1]〕。最も影響が強いのはparoxetine であり、すべてのSSRI 曝露の36%を占めると報告されている〔OR 6.3、95%CI[2.0〜19.6]〕。著者らはまた、SSRI への曝露と頭蓋骨癒合症との関連も指摘している(n=372)〔OR 1.8、95%CI[1.0〜3.2]〕。
 Wogelius らによるthe 21st International Conference on Pharmacoepidemiology and Therapeutic Risk Management(2005年8月21〜24日)での発表の要旨には、妊娠の30日前から第1三半期の終わりまでにSSRIを処方されなかった女性に比較して、この期間にSSRIを処方された女性において、調整ORが先天性奇形全体で1.4〔95%CI[1.1〜1.9]〕、先天性心奇形で1.6〔95%CI[1.0〜2.6]〕であることが報告されている。
 公表された研究結果が異なることや最近報告された異常が多様であることから、paroxetine に関連する特定の先天性異常の因果関係を断定することは困難である。GSK 社はこれらの予備的な知見を十分に理解するためさらに疫学的な研究を継続中である。[海外規制機関 医薬品安全性情報/Vol.3 No.19(NIHS)2005/10/06]

パロキセチン(パキシル)
【英MHRA】デンマーク、スウェーデンおよび米国の新規データから、妊娠第1 三半期の母体投与による先天性奇形のリスク上昇の可能性が示された。しかしながら、他の疫学研究からはそのようなリスク上昇は裏付けられていない。Commission on Human Medicines とMHRAによってすべての公開データが精力的に調査されており、欧州内でのさらなる調査と議論を経て、必要があれば新たなガイダンスが出される。
 新たな研究では妊娠の第1三半期にparoxetine を服用した女性における新生児の先天性欠損のリスクは、総先天性奇形に関しては3%から約4%へ、心臓の奇形に関しては1%から約2%へと上昇することが示唆されている。これが事実であれば、いずれのリスク上昇も小さなものであり、母親のうつ病が治療されないことから生じる胎児に対するより大きなリスクとの関係に照らして考慮される必要がある。
 Paroxetine の母胎使用が継続される、特に第3三半期まで継続される場合には新生児におけるセロトニン作動性作用に注意することも重要である。新生児における離脱症状には呼吸窮迫、チアノーゼ、無呼吸、反射亢進、振戦、びくつき、易刺激性、嗜眠、泣き続ける、睡眠障害等がある。大半の症例において合併症は分娩直後(24 時間以内)に始まる。処方医に対する勧告は以下の通り。

*Paroxetine の妊娠中の使用は、厳重な指示のもとで、母体に対するベネフィットが胎児に対するリスクを上回る場合に限り行うべきである。
*この問題の調査がさらに進むまで、paroxetine が妊婦と妊娠を予定している女性に対して最適のSSRI であるかを考慮するべきである。
*Paroxetine による治療を中止する場合、数週間をかけて用量を漸減する必要がある。急に中止すると離脱症状(最も多いのは浮動性めまい、しびれ感とピリピリ感、胃腸障害、頭痛、発汗、不安、睡眠障害等)を起こすおそれがあり、患者によっては重篤な場合がある。
*Paroxetine を服用中で、妊娠を希望する女性は治療継続のリスクとベネフィットに関して担当医と話し合うべきである。
*現在paroxetine を服用していて妊娠中の女性は、治療を中止せず、次回の予約診察時に担当医や助産師と治療法について話し合うべきである。

◇参考資料−妊娠中のparoxetine 使用に関して調査した最近の疫学研究の要約。
最近の2 つの研究において妊娠時のparoxetine 使用に関連する先天性奇形のリスク上昇の懸念が表面化した。これらの研究からの知見と、Swedish Medical Birth Registry のデータを調査した最近の研究の予備情報を概説する。

第一の研究、デンマークにおける人口統計ベースのコホート研究では、妊娠第1 三半期にSSRIの母体への使用と、総先天性奇形〔オッズ比1.4、95%CI[1.1〜1.9]〕、先天性心奇形〔オッズ比1.6、95%CI[1.0〜2.6]〕両方のリスク上昇との関連が見いだされた。第二の研究、GlaxoSmithKline(GSK)社の行った後向き研究では、妊娠第1 三半期中にparoxetine を使用した場合は、他の抗うつ剤を使用した場合と比較して、総先天性奇形〔オッズ比2.2、95%CI[1.34〜3.63]〕、先天性心奇形〔オッズ比2.08、95%CI[1.0〜4.23]〕両方のリスク上昇が示唆された。この研究中に見られた異常のタイプは、一般的に見られる異常と同様で、心血管系の異常が最も多かった。これら心血管系異常のうちでは、心室中隔欠損が最も多かった。
 ごく最近、Swedish Medical Birth Registry(スウェーデン出生登録)のデータを調査した新たな研究結果の予備情報が公開された。この研究においては妊娠第1 三半期にparoxetine を服用した母親の子供は全母集団中の発症頻度と比較して心臓の奇形のリスクが2 倍高いことが示唆されている〔オッズ比2.22、95%CI[1.39〜3.55]〕。この研究においては、調査された他のSSRI(citalopram、fluoxetine、sertraline)には先天性奇形との関連がないことも示唆されている。
 これらの研究の結果から、妊娠第1三半期にparoxetine を服用している女性において、新生児の先天性欠損のリスクは総先天性奇形に関しては3%から約4%へ、心臓の奇形に関しては1%から約2%へと上昇することが示唆される。[海外規制機関 医薬品安全性情報/Vol.3 No.25(NIHS)2005/12/28]
パロキセチン(パキシル)
【米FDA 】FDAは妊娠第1 三半期におけるparoxetine 曝露は先天性奇形、特に心臓奇形のリスクを上昇させる可能性があると判断した。FDA の求めにより、製造業者はparoxetine の妊娠分類(pregnancycategories)をC からD に変更し、paroxetine の処方情報の警告の項に新たなデータと勧告を加えた。FDA の結論およびparoxetine 処方情報の変更は最近行われた2 件の未発表疫学研究の予備解析に基づくものである。

*スウェーデンの出生登録データを用いた研究によれば、妊娠初期にparoxetine を投与された女性は、総登録人口に比較して心欠損の乳児を生むリスクが2 倍高い(心欠損のリスクはparoxetine に曝露された乳児で約2%、登録された全乳児で約1%)。
*米国の保険データベースを用いたもう一つの研究では、妊娠の第1 三半期にparoxetine を投与された女性の子供は他の抗うつ剤を投与された女性の子供より心臓の奇形のリスクが1.5 倍高く、総先天性奇形のリスクが1.8 倍高かった。心欠損のリスクはparoxetine に曝露された子供で約1.5%、他の抗うつ剤に曝露された子供で約1%。
*これらの研究において観察された心欠損のほとんどは心室または心房の中隔欠損、すなわち心臓の左右を分ける隔壁の発達が不十分な状態である。一般に、中隔欠損は最もよく見られるタイプの先天性奇形のひとつで、外科手術を必要とするものから、無症状で自然治癒の可能性のあるものまで症状の幅は広い。これらの研究のデータは妊娠の第1 三半期の曝露に限定されたものであり、現在のところ、妊娠のより後期における曝露に関しては不明である。

FDA はこれらの研究の最終結果を待って、妊娠時のparoxetine 使用に関するデータを追加し、paroxetine に関連する先天性奇形のリスクをより明らかにする予定である。
 女性患者にparoxetine を投与している医師は、患者が妊娠を計画していたり妊娠の第1三半期にある場合は胎児に対するリスクの可能性を伝えなければならない。これらの患者に関してはparoxetine による治療の中止を考慮すべきである。個々の患者に関しては、paroxetine を継続することのベネフィットが胎児に対するリスクを上回ることはあり得る。Paroxetine を中止して別の抗うつ剤に切り替えたり、抗うつ剤治療を中止する場合は、paroxetine の処方情報に記載の指示に従うこと。一般に、妊娠の第1 三半期の女性や、近い将来に妊娠を計画している女性にはparoxetine の与を開始すべきではない。
 妊娠中または妊娠を計画していて、現在paroxetine を服用中の女性は、服用を継続するか担当医に相談するべきである。担当医との話し合いをせずに服用を中止すべきではない。[海外規制機関 医薬品安全性情報/Vol.3 No.25(NIHS)2005/12/28]

パロキセチン(パキシル)
【カナダHealth Canada 】2005年9月29日にHealth Canada とGlaxoSmithKline(GSK)社は、GSK の実施した後ろ向き疫学研究において、妊娠第1 三半期に曝露したparoxetine による先天性奇形のリスクが他の抗うつ剤と比較して高く算出された問題に関する安全性情報を患者向けならびに医療従事者向けに通知した(医薬品安全性情報Vol.3 No.20、2005)。今回、スウェーデンの出生登録データを用いた新規の解析結果が公表されたことを受けて、妊娠時のparoxetine 使用に関する新たな情報が提供された。

◇新規知見
スウェーデンの出生登録データ(妊娠女性5,123 人)を用いた疫学研究によれば、妊娠初期にparoxetine を投与された女性は、総登録人口に比較して心欠損の乳児を出産するリスクが2 倍高く、この結果はGSK 社の実施した米国内の疫学研究の結果に類似したものである。Paroxetine に関連する心奇形の主なものは、スウェーデンの研究では心室中隔欠損と心房中隔欠損、米国の研究では心室中隔欠損であった。この2 つの研究方法は異なるが、これらのデータを総合すると、母胎でparoxetine 曝露を受けた新生児の心欠損発症リスクは50 人に1 人、これに対して一般人口でのリスクは100 人に1 人と概算される。これらの知見の詳細は、FDA からの勧告の根拠とされたものと同内容である(医薬品安全性情報Vol.3 No.25、2005)。
 加えて、33rd Annual Conference of the European Teratology Society(欧州奇形学年会;
2005/9/3-7)で発表された、イスラエルとイタリアにおける、妊娠中にparoxetine またはfluoxetine の曝露を受けた女性の妊娠結果に関する研究の要旨が紹介されている。これによれば、催奇形性が知られていない薬の曝露を受けた対照群乳児の総先天性大奇形発生率2.6%(26/1,062)に対して妊娠第1 三半期にparoxetine 曝露を受けた乳児では5.1%(28/257)と高い値を示した〔相対リスク1.92、95%CI[1.01〜3.65]〕。また、心血管異常発生率も対照群の0.6%(6/1066)に対して1.9%(5/257)と高かった〔相対リスク3.46、95%CI[1.06〜11.2]〕。Fluoxetine にも同様の傾向は認められたが統計的には有意ではなかった。

◇勧告内容
*Paroxetine 服用中の患者が妊娠した場合には、paroxetine の胎児に対する影響のリスクが他の抗うつ剤と比較して高いことを伝え、paroxetine のベネフィットがリスクを上回る症例以外は他の治療法への切り替えを検討すること。
*患者との話し合いでparoxetine の使用を中止する場合は、処方情報の記載に従って退薬症状の発生を回避すること。
*妊娠初期または妊娠予定の女性はparoxetine 以外の治療法を先に検討すること。
[海外規制機関 医薬品安全性情報/Vol.4 No.1(NIHS)2006/01/12]

パロキセチン(パキシル)
代表的な抗うつ薬「SSRI」 妊婦飲み、子に障害も。米研究グループ..米カリフォルニア大などの研究グループは、米国とカナダで98〜03年に生まれた子のうち、「遷延性肺高血圧症」(PPHN)になった377人と、正常だった836人について、母親の抗うつ薬服用との関連を調べた。妊娠20週以降にSSRIを飲み続けていて、子がPPHNになったのは14人。飲んでいない郡と比べて発症の危険が6.1倍高かった。同グループは、「リスク自体はそれほど高くなく、飲み続けた方がいい場合もある。治療法を決める参考にしてほしい」としている。[朝日新聞 2006/02/09]
パロキセチン(パキシル)
妊娠後半のSSRI使用で新生児遷延性肺高血圧症のリスクが6.1倍に..妊娠中に女性がSSRIを服用すると、生まれた子どもが新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)を発症するリスクが6.1倍と高くなることが明らかになった。PPHNは、胎児期の胎盤呼吸から肺呼吸への切り替えが正常に起こらないために、肺血管の血圧が下がらず、肺への血流が滞り、顕著な低酸素症が生じる病気だ。通例、生産児1000人に1〜2人が発症する。PPHNの危険因子に焦点を当てた研究はこれまでほとんどなかった。米California大学San Diego校のChristina D. Chambers氏らが実施したケース・コントロール研究の成果で、詳細は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌2006年2月10日号に報告された。[日経Med Wave 2006/03/09]

※fluvoxamine(フルボキサミン)
*There is little information available on the reproductive effects of fluvoxamine in animals or humans. Animals studies at twice the human dose did not show adverse effects, but the manufacturer states that at doses 4 times the human dose, mortality and growth were affected.
*McElhatton et al. (1996) reported 2 out of 66 exposed pregnancies resulted in malformations; both of these mothers reported other medication exposures.
66例の曝露例において2例の奇形。
*Kulin et al. (1998) prospectively monitored 26 women exposed to fluvoxamine, and found no increase in malformations, miscarriage, stillbirth or prematurity.
フルボキサミンに曝露した26人の女性を前向きに調査した結果、奇形、流産、死産、あるいは早産の増加は見いだされなかった。
*While this data is limited, when considered in combination with the information on fluoxetine, it appears that fluvoxamine is unlikely to pose a significant risk for malformations when used in the first trimester.[Illinois Teratogen Information Service/Prozac and Other Selective Serotonin Re-Uptake Inhibitors Vol. 7., No. 3 March 1999]
データは限定されるが、fluoxetineの情報と考えあわせると、妊娠初期の使用において重大な奇形の危険性はないように思われる。
※フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい。また、投与中に妊娠が判明した場合は投与を中止することが望ましい。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。(1)妊娠末期に本剤を投与された妊婦から出生した新生児において、呼吸困難、振戦、筋緊張異常、痙攣、易刺激性、傾眠傾向、意識障害、嘔吐、哺乳困難、持続的な泣き等の症状が発現したとの報告がある。なお、これらの症状は、薬物離脱症状として報告される場合もある。(2)海外の疫学調査において、妊娠中に他のSSRIを投与された妊婦から出生した新生児において、新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2−4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2−8.3)であった。〕[添付文書 2010(アステラス、明治)]
※Lithium( リチウム)
8% risk of serious cardiovascular anomaly, 2.7% risk of Ebstein anomaly.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
重い心臓奇形の発生率が8%。
※妊娠で抗うつ剤を中止するとうつ病再発リスクは5倍になる
妊娠した場合に、抗うつ剤投与を継続するか中止するかの判断は難しい。最近、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)が胎児に影響を与えるとする報告が相次いでいるためだ。しかし、うつ病の女性が妊娠をきっかけに抗うつ剤の使用を中止すると、治療を継続していた女性に比べ、妊娠期間中の再発リスクが5倍に跳ね上がることが明らかになった。米Harvard大学医学部のLee S. Cohen氏らの研究成果で、詳細はJournal of American Medical Association(JAMA)誌2006年2月1日号に報告された。[Med Wave 2006/03/02]
※カルバマゼピン(テグレトール)
*妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中に本剤が投与された患者の中に、奇形(二分脊椎を含む)を有する児や発育障害の児を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある。〕
*やむを得ず本剤を妊娠中に投与する場合には、可能な限り他の抗てんかん剤との併用は避けることが望ましい。〔本剤の単独投与に比べ、本剤と他の抗てんかん剤(特にバルプロ酸ナトリウム)の併用では口蓋裂、口唇裂、心室中隔欠損等の奇形を有する児の出産例が多いとの疫学的調査報告がある。〕
*分娩前に本剤又は他の抗てんかん剤と併用し連用した場合、出産後新生児に禁断症状(痙攣、呼吸障害、嘔吐、下痢、摂食障害等)があらわれるとの報告がある。
*妊娠中の投与により、新生児に出血傾向があらわれることがある。
*妊娠中の投与により、葉酸低下が生じるとの報告がある。[添付文書(テグレトール)]
※Carbamazepine(カルバマゼピン)
The risk of neural tube defect is 1 to 2 % when used as monotherapy during first trimester. and . Syndrome similar to hydantoin syndrome is also seen.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
妊娠初期の単独治療で、神経管欠損を生じる危険性が1〜2%。また、ヒダントイン症候群のような症状もみられる。
※カフェイン
コーヒー1日8杯で死産率が3倍。デンマークの大学が調査..カフェインを含むコーヒーを1日8杯以上も飲んでいる妊婦は、全く飲まない妊婦に比べ、死産(妊娠28週以降)の確率が3倍も高いと、デンマーク・オーフス大学の研究グループが22日付けの英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表した。約18,500人の妊婦を調査した結果で、喫煙や飲酒の影響を考慮しても、死産確率は2.2倍高かった。飲む量が1日1〜3杯なら死産率はかえって下がっており、同4杯ぐらいから悪影響があるという。この調査は、1989年9月から96年8月までに、同大学病院で出産予約した妊婦が対象。妊婦16週目ごろに初めて診察を受ける前に、コーヒーやたばこ、酒の摂取量などのアンケートに答えてもらった。コーヒーを多く飲む女性は喫煙や飲酒量も多い傾向にあることから、この影響を差し引いた場合、コーヒーを1日1〜3杯飲む妊婦は、全く飲まない妊婦に比べ、死産率が6割に低下。しかし、4〜7杯では1.4倍、8杯以上になると2.2倍に上った。研究グループによると、コーヒー1杯に含まれるカフェインは約100mg。妊娠中は、子宮や胎盤の血管を収縮させ、胎児が低酸素症になったり、胎児の心臓血管に直接作用して、頻脈や不整脈を起こす可能性があるという。[東京新聞 2003/02/23]
※アルコール
妊娠中の飲酒で子供の発育遅れ、1日1杯でも悪影響【ワシントン16日共同】..妊娠中に飲酒した母親から生まれた子供は、母親が酒を飲まなかった場合に比べ、発育が悪くなることが米ピッツバーグ大などの16日までの調査で分かった。影響は1日1、2杯のわずかな飲酒でも現れ、中でも特に、妊娠初期3カ月間の飲酒の影響が大きかったという。グループは、565人の母親の妊娠中の飲酒歴を調査。生まれた子供が14歳になるまで、体重や頭囲、身長などを測り、飲酒との関連を調べた。その結果、飲酒歴のあった母親の子供の体重は、平均7キロも少なく、この傾向は、飲酒量が多くなるほど激しくなった。研究グループは「妊娠中の飲酒の子供への影響には、これ以下なら安全といえる量はない。妊娠に気付かない時期の影響が大きいので、子供をつくることを計画している女性は、酒を慎むべきだ」と指摘。今後、母親の飲酒が子供の知能などに与える影響を調査することにしている。[東京新聞 2002/10/17]
※アルコール
「妊娠中の飲酒、胎児に悪影響のおそれ」ビール5社、6月から注意表示..妊産婦の飲酒が胎児や乳幼児の発育に影響があることを広く呼びかけるため、ビール酒造組合は10日、ビール製品に記載する統一的な注意表示を発表した。表示は「妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります」との文面。組合に加盟する4社とオリオンビールが、6月製造分から、ラベルや製品に表示する。各社はこれまで、妊娠中に飲酒すると胎児性アルコール症候群となり、発育障害や知能障害を引き起こす恐れがあると、ホームページや小冊子などで説明してきたが、「注意を促すことが社会的責任」(キリンビール)と判断した。[朝日新聞 2004/05/11]
※タバコ
ADHD発症児、母のたばこ影響か..落ち着きがないなどの症状が表れるADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの場合、母親の喫煙率が同年代の女性の2倍程高いことが、大阪府の小児科医の調査でわかった。母親の喫煙とADHD発症との関係を示す研究は、これまで海外ではあるが、日本では初めてという。
 ADHDは、生まれつきの脳の機能異常による障害とされ、集中力がない、衝動的な行動をするなどが特徴。治療経験の豊富な大阪府寝屋川市の小児科医院の安原昭博院長が、小児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートした。
 その結果、喫煙経験は47%あり、妊娠時にも35%が喫煙していた。特に、出産時の年齢が20〜24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼった。
 一般の出生児を対象にした厚生労働省調査では、母親の喫煙率は17%、うち20〜24歳は35%で、ADHD児の母親は2倍高い。安原院長は「ADHDには遺伝的要因もあるが、母親の喫煙も関係あると考えられる。妊娠が分かってから禁煙したのでは遅い可能性がある」と話す。京都市で21日開かれる子どもの防煙研究会で発表する。[読売新聞 2007/04/20]
※タバコ
受動喫煙した子ラットは多動になるなど、脳神経の発達に影響することが、幸生リハビリテーション病院の研究でわかった。受動喫煙が発達障害の一つである注意欠陥・多動性障害(ADHD)のリスクの一因になる可能性を示唆するもので、16日から始まる日本神経学会で発表される。
 実験では、妊娠直後から出産前日までの母ラットに約3週間、出産直後の子ラットに4週間、それぞれ毎日2時間、たばこの副流煙を吸入させた。
 母の胎内で受動喫煙した子ラットも、出産直後の子ラットも、受動喫煙していない子ラットに比べ、行動時間や行動距離が約1.5倍と多動になった。エサの場所の認知度を測るテストでは、吸っていないラットに比べ失敗が約1.5倍多かった。
 脳の生化学実験では、脳内物質ドーパミンの受容体が増えるなど神経発達に偏りがみられた。ADHDの一因としてドーパミンの不具合が指摘されている。鬼頭医師は「人間と同一視できるかは検証が必要だが、受動喫煙が環境要因の一つになりうる」としている。
 欧米では、妊婦が直接喫煙した場合に、ADHDの子が生まれる確立が高いことを示唆する疫学調査がある。北海道大院の田中康夫教授は「ADHDの行動が起きる過程は複雑でリスクも一つではないが、実験は、妊婦が直接喫煙するだけでななく受動喫煙した場合も、子にとって危険因子になることを指摘している」と話している。[朝日新聞 2007/05/15]
※タバコ
喫煙者調査「妊娠中も喫煙」45%、製薬会社調査..〜喫煙が乳幼児に与える影響に詳しい東京都町田保健所の斎藤麗子所長(小児科)は、「妊娠時の喫煙は、おなかの中で虐待しているようなもの。流産や早産の危険性を高め、生まれる子供の脳や体に障害が出る場合もある。もっと真剣に考え、禁煙してほしい」と話している。[朝日新聞 2007/05]

    
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