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Top Menue がんの薬x18 多発性骨髄腫(MM)

アルキル化薬、その他の化学療法薬
アルケラン(L-PAM)、エンドキサン(CPA)、オンコビン(VCR)(注射)、アドリアシン(DXR、ADM、ADR)(注射)

アルキル化薬は、多発性骨髄腫の治療に古くから用いられています。なかでも、メルファランを有効成分とするアルケランと、ステロイド薬のプレドニゾロン(PSL)といっしょに飲むMP療法が代表的です。50%くらいの有効率が得られるうえ、比較的副作用が少なく外来で治療が可能なことから、高齢の人や軽症例に適します。MP療法で奏効が得られない場合には、VAD療法(VCR+ADM+DXM)やVMCP療法(VCR+ L-PAM+CPA+PSL)などの併用化学療法も試みられます。また、自己幹細胞移植においては、できるだけ腫瘍細胞を取り除くために、前処置としてアルケランまたはエンドキサンを大量に用います。

免疫調節薬
サレドレブラミドポマリスト

免疫調節薬(IMiDs)と呼ばれる部類で、多発性骨髄腫に対する新規標準薬として広く用いられるようになりました。アルキル化薬など従来の抗がん薬とは作用機序が違います。免疫を活性化し腫瘍への攻撃を強めるほか、骨髄腫細胞の寿命を短くして死滅を早めたり、腫瘍に栄養を送る血管ができるのを抑えたりして抗腫瘍効果を発揮します。これらをステロイド薬のレナデックス(DXM)と併用することにより、病気の進行が抑えられ、より長生きできる可能性があります。ただし、副作用として、血栓・塞栓症、骨髄抑制(血球減少)、感染症、末梢神経障害などに十分な注意が必要です。

サレドは、2000年代に多発性骨髄腫に対する治療薬として見直され、新しい標準薬として脚光を浴びました。その後、類似薬のレブラミドが開発され、サレドに取って代わっています。新薬のポマリストは、レブラミドに対し耐性を獲得した多発性骨髄腫細胞に対しても一定の効果が期待できます。このため、レブラミドなどによる前治療が不良な再発または難治性の多発性骨髄腫に有用です。なお、サレドの有効成分はサリドマイドそのものであり、レブラミドとポマリストはその誘導体であることを忘れてはいけません。強い催奇形性をもつことから、厳格な安全管理手順が求められます。

HDAC阻害薬
ファリーダック

ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬、略してHDAC阻害薬に分類される多発性骨髄腫治療薬です。適用となるのは、免疫調節薬やプロテアソーム阻害薬をふくむ標準的治療がうまくいかない場合です。そのような症例において、プロテアソーム阻害薬のベルケイドとステロイド薬のレナデックスとの3剤併用療法により無増悪生存期間の延長(3〜8ヶ月)が認められています。下痢、不整脈(QT延長)、骨髄抑制(血球減少)、出血、感染症など重篤な副作用を引き起こすおそれがあるため、飲みはじめは入院またはそれに準ずる管理下で治療にあたります。

ステロイド薬
プレドニン, プレドニゾロン(PSL)、デカドロン, レナデックス(DXM)

ステロイドは、多発性骨髄腫をはじめ、いろいろな血液がんに古くから使用されています。このうち、レナデックスはデキサメタゾン(DXM)を4mg含有する高用量製剤で、多発性骨髄腫の専門薬として新たに承認されました。骨髄腫に対する作用機序はよく分かっていませんが、大量投与により造血器腫瘍細胞の増殖抑制効果(アポトーシス誘導)を示し、併用化学療法と同程度の効果が期待できます。大量デキサメタゾン療法などとして単独で用いるほか、前記したMP療法やVAD療法にも組み入れられます。また、最近は免疫調節薬やプロテアソーム阻害薬など新規標準薬と併用することが多いです。数日(4日)の服薬と一定期間の休薬を繰り返す間欠投与となりますので、飲み間違えや飲み忘れがないようにしましょう。

プロテアソーム阻害薬
※ベルケイド(注射)、カイプロリス(注射)

ベルケイドはボルテゾミブを有効成分とする注射薬です。治療歴を問わず多発性骨髄腫に標準的に使用されるようになりました。骨髄腫細胞の機能を低下させ、細胞死を早めることで抗腫瘍効果を発揮します。併用療法として、ステロイド薬、アルキル化薬または免疫調節薬とともに用いることが多いです。新薬のカイプロリスは、レブラミドおよびレナデックスと併用して再発・難治性の多発性骨髄腫に用います。どちらも、間欠的に静脈注射をおこない、一定期間休薬するようにします。副作用として、間質性肺炎、心不全、骨髄抑制(血球減少)、末梢神経障害などに注意が必要です。


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<メモ>
  • 多発性骨髄腫は血液がんの一種です。白血球のひとつ形質細胞(Bリンパ球)ががん化し、骨髄内で異常増殖することで起こります。骨髄腫細胞の勢いが増し正常な血液細胞ができなくなると、さまざまな症状があらわれます。貧血、骨の痛み、腎機能の低下、さらには高カルシウム血症や腎不全を併発し余後は好ましくありません。

  • 初期段階で無症状の場合は抗がん薬を用いず、注意深く経過観察するのが一般的です。病勢が増し、一定以上の症状がでてきたら、抗がん薬による本格的な治療をはじめます。条件が許せば自己幹細胞移植をおこないますが、それが無理でも薬で進行をおさえることが可能です。旧来の化学療法薬にくわえ、免疫調節薬やプロテアソーム阻害薬が使用できるようになり、治療成績も向上しています。

    
    

 
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