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成分(一般名) レナリドミド水和物
製品例 レブラミドカプセル5mg~2.5mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 その他の腫瘍用薬/他の抗悪性腫瘍剤/抗造血器悪性腫瘍剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 多発性骨髄腫など血液腫瘍を治療するお薬です。
作用

【働き】

多発性骨髄腫は血液がんの一種です。白血球のひとつ形質細胞(Bリンパ球)ががん化し、骨髄内で異常増殖することで起こります。進行は比較的ゆっくりですが、骨髄腫細胞の勢いが増し正常な血液細胞ができなくなると、さまざまな症状があらわれます。貧血、骨の痛み、腎機能の低下、さらには高カルシウム血症や腎不全を併発し余後は好ましくありません。

このお薬は、多発性骨髄腫を治療する抗悪性腫瘍薬です。免疫を活性化し腫瘍への攻撃を強めるほか、骨髄腫細胞の寿命を短くして死滅を早めたり、腫瘍に栄養を送る血管ができるのを抑えたりして抗腫瘍効果を発揮します。効き方には個人差がありますが、骨髄腫細胞が減少し、病気の進行が抑えられることにより、より長生きできる可能性があります。未治療または再発・難治性の多発性骨髄腫に広く用いられるほか、骨髄異形成症候群、成人T細胞白血病リンパ腫など悪性リンパ腫に対する効能もあります。

【臨床試験-1】

多発性骨髄腫に対する効果を、従来からの3剤併用療法(メルファラン+プレドニゾン+サリドマイド)と比較する試験が行われています。参加したのは、65歳以上または造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫の患者さん1623人です。そして、この薬とデキサメタゾンを併用する人と、従来の3剤併用療法を行う人に分かれ、無増悪生存期間を調べるのです。病状が安定している無増悪生存期間が長いほど治療効果が高いことになります。

その結果、この薬とデキサメタゾンを併用した人達の無増悪生存期間の中央値は26カ月、3剤併用療法の人達で21カ月でした。さらに、全生存期間(中間解析)については、3剤併用療法の49カ月に対し、59カ月と有意な延長効果が認められ、死亡リスクも29%低下することが分かりました。65歳以上または造血幹細胞移植が適応とならない未治療の多発性骨髄腫に対し、従来の治療法を上回る有効性が確かめられたわけです。

【臨床試験-2】

再発した多発性骨髄腫に対する有効性も検証されています。参加したのは、病勢が進行した再発または難治性の多発性骨髄腫の患者さん353人です。このうち177人はこの薬とデキサメタゾンを併用し、別の176人は従来の高用量デキサメタゾン単独療法をおこないます。そして、病状が落ち着いている無増悪生存期間を比較するのです。

その結果、この薬とデキサメタゾンを併用した人達の無増悪生存期間の中央値は14カ月(60.1週)、デキサメタゾン単独療法の人達は5カ月(20.1週)でした。この薬を併用したほうが無増悪生存期間がはるかに長く、また全生存期間についてもデキサメタゾン単独群と比べて有意な延長効果が示されました。これらの結果から、再発または難治性の多発性骨髄腫に対し、従来の高用量デキサメタゾン単独療法をしのぐ有効性が証明されたわけです。

【臨床試験-3】

5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群の患者さんを対象とした、プラセボ(にせ薬)との比較試験が行われています。有効性をみる評価項目は、赤血球輸血依存から離脱できた患者さんの割合です。その結果、この薬を使用した人達は56%(23/41人)、プラセボの人達は6%(3/51人)でした。この薬のほうが明らかに高く、骨髄異形成症候群に有効なことが分かりました。

【臨床試験-4】

成人T細胞白血病リンパ腫に対する試験です。比較試験ではありませんが、化学療法歴のある再発の成人T細胞白血病リンパ腫において、一定の効果が得られた患者さんの割合は42%でした(完全奏効4/26人、不確定完全奏効1/26人、部分奏効6/26人)。
特徴
  • サリドマイド(サレド)に続く、同誘導体の多発性骨髄腫治療薬です。作用機序からは免疫調節薬(IMiDs)または血管新生阻害薬に分類される抗造血器悪性腫瘍薬になります。
  • 免疫調節作用をはじめ、腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、腫瘍組織の血管新生を阻害する作用などいろいろな作用を持ち合わせています。多発性骨髄腫において、ステロイド薬のデキサメタゾン(レナデックス)との併用療法により、生存期間の延長が認められています。 サリドマイドで効果不十分な患者さんにも一定の効果が期待できます。
  • 多発性骨髄腫にくわえ、ある種の骨髄異形成症候群に対する効能を取得しています。この骨髄異形成症候群も治療が困難な血液腫瘍の1種で、悪性の急性骨髄性白血病に移行してしまうことがあります。決め手となる治療法がないなか、新たな治療薬として期待されています。
  • 妊娠中の女性は絶対に使用禁止です。サリドマイド同様の強い催奇形性をもつものと考えられるからです。使用にさいし厳格な安全管理手順(RevMate)が求められます。
注意
【診察で】
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 使用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、同意のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】
  • 妊婦中またはその可能性のある女性は使用できません。
  • 腎臓病や骨髄抑制のある人、深部静脈血栓症のリスクのある人は、副作用の発現に注意するなど慎重に用いるようにします。臓器移植歴がある人は拒絶反応の発現に注意が必要です。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

ジゴキシン(ジゴシン)など心臓の薬のジギタリス製剤の血中濃度を上昇させる可能性があります。併用のさいは注意が必要です。

【使用にあたり】
  • 1日1回、決められた数のカプセルを飲んでください。腎臓の悪い人は少な目になるかもしれませんし、副作用の出方によっては減量が必要です。
  • 飲む時間は医師の指示どおりとしますが、脂肪分の多い食事の前後は避けたほうがよいかもしれません。高脂肪食の影響を受け、薬の吸収が悪くなるおそれがあるためです。
  • カプセルを開けたり、噛み砕いたりしないで、多めの水でそのまま飲み込んでください。
  • 通常、3週間毎日飲み続けたあと、1週間ほど飲むのをやめて休薬期間とします。この4週間を1サイクルとして服薬を繰り返します。
  • 万一飲み忘れた場合、決められた時間から12時間以内ならすぐにその分を飲んでください。12時間以上経過した場合は、その分は抜かし、翌日から通常通りに服用してください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
  • 併用薬のデキサメタゾン(レナデックス)の飲み方も変則的です。当初は4日おきに服薬と休薬を繰り返すことになると思います。飲み間違えや、飲み忘れがないように十分注意しましょう。
  • 妊娠する可能性のある女性は、指示された方法で確実に避妊してください。もし、妊娠が疑われるのなら、直ちに医師に連絡してください。
  • 服用状況を記録し、次回の通院時に報告してください。飲み残しがあれば、その数を伝えてください。
  • 薬は厳重に管理してください。家族など別の人が誤って使用しないよう、保管場所は分けておいたほうがよいでしょう。子供が誤飲しないように、薬のしまい忘れにも注意してください。中止後に余った薬は、医療機関に返してください。

【検査】
  • 妊娠する可能性のある女性は、事前に妊娠検査をおこない、妊娠していないことを確認したうえで治療を開始します。その後も、定期的に妊娠検査を実施する必要があります。
  • 効果や副作用をチェックするため、定期的に検査をおこないます。とくに血液の性状の変化に注意が必要です。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中は決して飲まないでください。強い催奇形性作用により、おなかの赤ちゃんに深刻な障害を引き起こすおそれがあるためです。
  • 妊娠を避けるため、妊娠する可能性のある女性は、服用開始予定4週間前から服用終了4週間後まで、確実な方法で避妊しなければなりません。
  • 服用している期間は授乳を避けてください。
  • 男性が飲むと、この薬の成分が精液に入ります。精液を介して薬が相手女性に移行しないよう、男性は服用開始から服用終了4週間後まで、必ずコンドームを使用してください。また、この期間中は妊娠中の女性との性交渉は避けてください。

【食生活】
  • 男女とも、決められた避妊法を徹底してください。
  • 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転、危険な仕事、高所での作業は避けましょう。
効能

【効能A】

多発性骨髄腫

【効能B】

5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群

【効能C】

再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫

【効能D】

再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫
用法

【効能A】

デキサメタゾンとの併用において、通常、成人はレナリドミドとして1日1回25mgを21日間連日経口服用した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして服用を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

【効能B】

通常、成人はレナリドミドとして1日1回10mgを21日間連日経口服用した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして服用を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

【効能C】

通常、成人はレナリドミドとして1日1回25mgを連日経口服用する。なお、患者の状態により適宜減量する。

【効能D】

リツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人はレナリドミドとして1日1回20mgを21日間連日経口服用した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして最大12サイクルまで服用を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用で比較的多いのは、便秘または下痢、吐き気、筋肉のけいれん・ぴくつき、めまい、むくみ、けん怠感、発疹や皮膚のかゆみなどです。多くは軽度で継続可能と思いますが、重篤な副作用の前ぶれとしてあらわれることがありますから、どのようなことでも医師に報告するようにしてください。

重い副作用として血栓・塞栓症が知られています。とくに重要なのが足にできる深部静脈血栓症と肺の血管が詰まる肺塞栓症、それと脳梗塞です。足のふくらはぎの痛みやしびれ、突然の息切れ、胸の痛み、片側の麻痺といった症状に注意してください。血栓の出現リスクはデキサメタゾンとの併用により高まります。

検査でよく見つかるのは、骨髄抑制にともなう血球減少です。異常があれば、薬を減量するなどして重症化を防ぎます。気づかないまま白血球が極端に減少してしまうと、体の抵抗力が落ち重い感染症にかかりやすくなります。さらに、血小板減少にともなう出血や、赤血球の不足による貧血を起こす可能性もあります。発熱やのどの痛み、強い疲労感、あるいは歯茎出血や皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。

ほかにも重い副作用として、皮膚・粘膜障害、腫瘍崩壊症候群、心不全や不整脈、急性腎不全、末梢神経障害、間質性肺疾患、肝機能障害などが報告されています。下記のような初期症状をふまえ、気になることがあれば、医師と連絡をとり適切な指示を受けるようにしてください。早期対応が大事です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。
  • 脳梗塞、一過性脳虚血発作..頭痛、めまい・ふらつき、片側の手足のしびれ・麻痺、力が抜ける、うまく話せない、物が二重に見える、意識がうすれる
  • 骨髄抑制(血球減少)..発熱、ひどい疲労感、のどの痛み、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向、息切れ、動悸。
  • 重い感染症..発熱、寒気、だるさ、食欲不振、のどの痛み、咳や痰、息苦しい、嘔吐、下痢、皮膚発赤・小水疱・ピリピリ痛い、水ぶくれ、できもの。
  • 白質脳症..頭痛、もの忘れ、ボーとする、歩行時のふらつき、手足のしびれ・まひ、うまく話せない、動作がにぶる、けいれん、二重に見える、見えにくい。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 腫瘍崩壊症候群..全身のむくみ、尿が少ない・出ない、血尿、脇腹の痛み。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 心筋梗塞、心不全、不整脈..胸の痛み、息切れ、息苦しい、むくみ、動悸、脈の乱れ。
  • 末梢神経障害..手足のしびれ、感覚が鈍い、灼熱感、ピリピリ痛む、筋力低下。
  • 甲状腺機能低下症..疲れやすい、動作が遅い、冷え、寒がり、肌荒れ、声枯れ、むくみ、便秘、徐脈。
  • 消化管穿孔..突然の激しい腹痛、持続する腹痛、吐き気、嘔吐、寒気、発熱、意識低下。
  • 起立性低血圧..立ちくらみ、めまい、ふらつき。
  • けいれん..筋肉のぴくつき、ふるえ、白目、硬直、全身けいれん、意識低下・消失。
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。

【その他】
  • 便秘、下痢、吐き気、嘔吐
  • けん怠感、発熱、むくみ、味覚異常
  • 筋肉けいれん・ぴくつき、筋肉痛
  • 不眠、眠気、ふるえ、めまい、ふらつき、頭痛
  • 発疹、かゆみ、かすみ目

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注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。