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成分(一般名) シクロホスファミド
製品例 エンドキサン錠50mg、経口用エンドキサン原末100mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 アルキル化剤/クロルエチルアミン系/アルキル化剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 がん細胞や免疫系の細胞を抑えるお薬です。がんのほか、膠原病にも応用します。
作用

【働き】

細胞の核酸の合成を妨害することで、がん細胞を死滅させます。多発性骨髄腫やリンパ腫、白血病、乳がんを中心に各種のがん治療に用いられています。

また、免疫系の細胞に対しても抑制的に作用するので、免疫がかかわる膠原病に応用されることがあります。ネフローゼを含め、治療抵抗性の膠原病(リウマチ性疾患)に対する効能が正式に追加承認されました。

【薬理】

細胞の遺伝情報を持つ“DNA”をアルキル化して、DNAの働きをできなくします。そのようにして、がん細胞の増殖をおさえることから、「アルキル化薬」と呼ばれる部類に入ります。また、免疫や炎症にかかわる免疫系の細胞をおさえる作用もあわせ持ちます。
特徴
  • 化学構造的にはクロルエチルアミン系で、略号はCPAまたはCPM。最古の抗がん薬ナイトロジェンマスタードの流れをくむ代表的なアルキル化薬です。
  • がんに対しては単独では弱いので、やや多めの量を他の抗がん薬と併用することが多いです。膠原病の治療には、比較的少量を用いることになります。大量でなければ、副作用も少ないほうです。
  • 膠原病に有用な薬剤として、世界的に認められています。もともと、日本では適応外でしたが、2011年に公知申請という特例扱いで、治療抵抗性の膠原病(リウマチ性疾患)に対する効能が正式に認められました。処方されるのは、難治でステロイドだけではよい効果が期待できない場合、あるいは大量のステロイド薬を減らしたいときなどです。重症例に短期大量間欠療法(パルス療法)をおこなうこともあります。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。
  • 副作用や注意事項について十分説明を受けてください。薬の有益性と危険性を理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

病気によっては、その病状を悪化させるおそれがあります。重い感染症を合併している場合、使用できないことがあります。

  • 適さないケース..重い感染症。
  • 注意が必要なケース..肝臓病、腎臓病、骨髄抑制、感染症、水痘(水ぼうそう)、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

別の抗がん薬のペントスタチン(コホリン)との併用は禁止です。そのほかにもアロプリノール(ザイロリック)やフェノバルビタール(フェノバール)など注意が必要な飲み合わせがあります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • 飲み合わせの悪い薬..ペントスタチン(コホリン)
  • 飲み合わせに注意..アロプリノール(ザイロリック))、フェノバルビタール(フェノバール)、クロラムフェニコール(クロロマイセチン)、インスリンなど。

【使用にあたり】
  • 病状や治療方針によって飲み方が違います。決められた治療スケジュールにそって規則正しく服用してください。通常、錠剤を用いますが、水薬を作ることもできます。
  • 子供などで用量調整が必要な場合は、水薬が調剤されます。決められた分量を正確にはかり取り飲ませてあげてください。もし、服用時に液剤が皮膚や粘膜についた場合は、流水でよく洗い流しましょう。残りの水薬は冷蔵庫に保管してください。使用期限はおおむね4週間までです。
  • 水分を多めにとり、頻回に尿を出してください。膀胱炎の副作用予防に大事なことです。
  • 吐き気や嘔吐、頻尿、排尿痛、また、発熱やかぜ症状を含め、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と相談してください。

【検査】

副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。

【妊娠・授乳】
  • 胎児への影響(催奇形性)を疑わせる報告があります。妊娠する可能性のある女性およびパートナーが妊娠する可能性のある男性は、適切な方法で避妊してください。
  • 妊娠中は使用しないほうが望ましいのですが、治療を優先しなければならないこともあります。妊娠中に使用するか、使用中に妊娠した場合は、赤ちゃんへの影響について説明を受けてください。
  • 乳汁中に薬が移行する可能性があります。授乳中はできるだけ使用しないようにしますが、服用する必要がある場合は授乳を中止してください。

【食生活】

大量服用中は感染症にかかりやすいです。外出のときはマスクをし、うがいや手洗いをしっかりしてください。できたら、人ごみは避けたほうがよいでしょう。もし、発熱やのどの痛み、頻尿や血尿、皮膚のピリピリする痛み、発赤や水ぶくれ、下痢などがあらわれたら、すぐに受診してください。
効能

【効能A(錠・原末)】

下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解

  • 多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(ホジキン病、リンパ肉腫、細網肉腫)、乳癌
  • 急性白血病、真性多血症、肺癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
  • ただし、次の疾患については、他の抗腫瘍剤と併用することが必要である//慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫

【効能B(錠)】

細胞移植に伴う免疫反応の抑制

【効能C(錠)】

全身性ALアミロイドーシス

【効能D(錠・原末)】

治療抵抗性の下記リウマチ性疾患

  • 全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患

【効能E(錠・原末)】

ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る。)
用法
【効能A】
<錠剤>
  • 単独で使用する場合..通常、成人はシクロホスファミド(無水物換算)として1日100〜200mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
  • 他の抗腫瘍剤と併用する場合..単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
<原末>
  • 単独で使用する場合..本剤を溶解し、通常、成人はシクロホスファミド(無水物換算)として1日100〜200mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
  • 他の抗腫瘍剤と併用する場合..単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。

【効能B(錠)】

再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。

【効能C(錠)】

他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/m2(体表面積)を経口投与する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。

【効能D】
<錠剤>

通常、成人はシクロホスファミド(無水物換算)として1日50〜100mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
<原末>

本剤を溶解し、通常、成人はシクロホスファミド(無水物換算)として1日50〜100mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【効能E】
<錠剤>

通常、成人はシクロホスファミド(無水物換算)として1日50〜100mgを8〜12週間経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

通常、小児はシクロホスファミド(無水物換算)として1日2〜3mg/kgを8〜12週間経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総服用量は300mg/kgまでとする。
<原末>

本剤を溶解し、通常、成人はシクロホスファミド(無水物換算)として1日50〜100mgを8〜12週間経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

本剤を溶解し、通常、小児はシクロホスファミド(無水物換算)として1日2〜3mg/kgを8〜12週間経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総服用量は300mg/kgまでとする。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 わりと多いのは、吐き気や嘔吐、発疹、脱毛などです。あわてないよう、事前に医師から十分説明を受けておきましょう。軽い副作用の場合、治療を優先しなければならないことも多いです。

副作用でもっとも重要なのが「骨髄抑制」にともなう血液障害です。白血球が異常に減少すると、体の抵抗力がひどく落ちて感染症にかかりやすくなります。また、血小板減少により出血を生じることもあります。発熱やのどの痛み、あるいは歯茎出血・皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。

そのほか、この薬に特徴的な出血性膀胱炎の副作用があります。頻度的にそれほど多くはありませんが、使用量が多めのときなど注意が必要です。これは、薬の毒性代謝物が尿に排出されるさい、膀胱粘膜を損傷すために起こります。したがって、その予防には水分を十分にとり、尿をためずにどんどん出すことが大切です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • ショック、アナフィラキシー様症状..気持ち悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 出血性膀胱炎..尿の回数が多い、排尿時の痛み、排尿後もスッキリしない、血尿。
  • イレウス、胃腸出血..腹痛、吐く、便秘、お腹がふくれる、下血(黒いタール状の血液便)、吐血(コーヒー色のものを吐く)。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 心不全..疲れやすい、息苦しい、息切れ、むくみ、急な体重増加、痰、ゼィゼィ、咳、頻脈。
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。

【その他】
  • 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
  • 脱毛、発疹、皮膚炎、色素沈着
  • 口内炎、味覚異常

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。