16- | 17. “てんかん”における禁忌薬 | -18 |
たとえば、抗うつ薬のルジオミールを、てんかんなど痙攣性疾患のある人には処方できません。この薬のように抗コリン作用の強いものは、痙攣閾値を下げ、てんかん発作を誘発する可能性があるのです。実際、同類のアナフラニールの臨床試験では、用量とてんかん発作出現に明らかな相関関係が認められています。ルジオミール以外の大多数の抗うつ薬は処方禁止ではありませんが、使用するのなら必要最少量にとどめるべきでしょう。抗コリン作用をもつ薬には、ほかにも抗精神病薬やパーキンソン病治療薬、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)などいろいろとあります。最近になって、抗アレルギー薬のザジテンが禁忌となりました。 一方、抗コリン薬と逆の働きをするコリン作動薬(副交感神経刺激薬)においても禁忌扱いとなるものがあります。代表的なのは、排尿障害や胃腸機能低下症に用いるベサコリン、シェーグレン症候群治療薬のサリグレン、エボザックなどです。これらも、てんかん発作を誘発したり、痙攣を増強するおそれがあるため、てんかんのある人は避けなければなりません。重症筋無力症治療薬のウブレチドとメスチノンは禁忌にはなりませんが、慎重に用いる必要があります。そのほか、麻薬性製剤のモルヒネやコデインは脊髄への刺激効果があるため、痙攣発現時は禁忌、痙攣既往歴のある人については慎重投与扱いとなります。 もう一つ、処方頻度が高く 最後に触れておきたいのはキノロン系抗菌薬についてです。この系統は、抑制的に働く脳神経の伝達をじゃまし、結果的に神経の興奮をまねき痙攣を誘発しやすくします。なかでも、フルマークとシプロキサン、ロメバクト、バクシダールの4種類はそのような性質がとくに強いようです。禁忌ではなく慎重投与の扱いになりますが、てんかんのある人は避けたほうが無難かもしれません。また、これらの抗菌薬とある種の解熱鎮痛薬(NSAIDs)をいっしょに飲むと、痙攣誘発作用がいっそう強まるおそれがあります。飲み合わせにも十分注意してください。 |
<主な医薬品> |
分類 | 薬品 | 成分 | 禁忌 | 備考 | |
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中 枢 神 経 用 剤 |
抗うつ薬 (四環系) |
ルジオミール | マプロチリン | てんかん等の痙攣性疾患 | 痙攣を起こすおそれ |
その他 | リーマス | リチウム | てんかん等の脳波異常 | 脳波異常を増悪 | |
ベタナミン | ペモリン | てんかん等の痙攣性疾患 | 痙攣閾値を低下 | ||
抗アレルギー薬 (抗ヒスタミン薬) |
ザジテン | ケトチフェン | てんかん又はその既往歴のある患者 | 痙攣閾値を低下 | |
鎮痛薬 | トラマール | トラマドール | 十分な管理がされていないてんかん | 症状悪化 | |
トラムセット | アセトアミノフェン トラマドール |
十分な管理がされていないてんかん | 症状悪化 | ||
鎮痛薬 (麻薬性) |
MSコンチン カディアン |
モルヒネ | 痙攣状態(てんかん重積症等) | 脊髄の刺激効果 | |
オキシコンチン錠 | オキシコドン | 痙攣状態(てんかん重積症等) | |||
鎮咳薬 (麻薬性) |
コデインリン酸塩 | コデイン | 痙攣状態(てんかん重積症等) | ||
ジヒドロコデインリン酸塩 | ジヒドロコデイン | 痙攣状態(てんかん重積症等) | |||
セキコデ | ジヒドロコデイン、他 | 痙攣状態(てんかん重積症等) | |||
自律神経薬 (副交感神経刺激薬) |
ベサコリン | ベタネコール | てんかん | てんかん発作の誘発 | |
アボビス | アクラトニウム | てんかん | |||
サリグレン エボザック |
セビメリン | てんかん |
解熱鎮痛消炎剤 神経系用剤(含む別用途) 自律神経剤 鎮咳、去痰剤 他の消化器官用薬 他のアレルギー用薬 主に抗酸性菌用剤 抗原虫剤 アヘンアルカロイド系麻薬
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