7- | 8. 糖尿病における禁忌薬 | -9 |
糖尿病は、インスリン・ホルモンが不足したり働きが悪くなることで、血糖値が上がってしまう病気です。薬のなかには、血糖値を変動させ、糖尿病に悪影響をおよぼすものがあります。たとえば、近年
処方が増えている非定型抗精神病薬。なかでも、ジプレキサとセロクエルは著しい血糖上昇をまねくおそれがあるため、糖尿病やその既往歴のある人は使用できません。同様の理由で、ガチフロという抗菌薬も禁忌です。こちらは、高血糖だけでなく、重い低血糖症を起こす危険性もあります(ガチフロはこの問題により、後日、承認を取り下げ製造・販売中止となりました)。 ジプレキサやガチフロ(中止)のような絶対的な禁忌薬は少ないのですが、注意が必要な薬は ほかにもたくさんあります。プレドニンに代表される いわゆるステロイド薬は、肝臓での糖新生を促進するとともに、インスリンに対する感受性を低下させ末梢組織での糖利用を抑制するため、結果的に高血糖をきたし糖尿病を悪化させるおそれがあります。また、フルイトランなどチアジド系の利尿薬においても、インスリン分泌を低下させ血糖を上昇させる副作用が知られています。さらに、喘息に用いる気管支拡張薬(β刺激薬)は、交感神経刺激作用により糖代謝を促進し高血糖をまねきます。 血糖値を上げるだけではなく、逆に、下げる性質の薬もあります。先にあげたガチフロのほか、特に注意が必要なのは リスモダンやシベノールなどある種の抗不整脈薬による低血糖です。また、降圧薬のACE阻害薬やA-U拮抗薬(ARB)は、糖尿病を伴う高血圧症に推奨される一方で、低血糖症の副作用が報告されています。さらに、β遮断薬は、低血糖の初期症状をかくし重症化をまねくおそれがあるので、コントロール不十分な糖尿病においては慎重に用いなければなりません。糖尿病の治療は、血糖値を適切に保つとともに、血圧など循環器系の管理が非常に重要なのですのが、これらの薬と併用する場合は低血糖の発現にも十分な注意が必要です。 |
<主な医薬品> |
分類 | 薬品 | 成分 | 禁忌 | 備考 | |
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非定型抗精神病薬 (MARTA) |
ジプレキサ | オランザピン | 糖尿病 | 血糖上昇、警告(ジプレキサ)、警告(セロクエル)、警告(エビリファイ) ※SDA(リスパダール、ルーラン)、エビリファイは慎重投与 |
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セロクエル | クエチアピン | 糖尿病 | |||
抗菌薬 | ガチフロ(中止) | ガチフロキサシン | 糖尿病 | 低血糖、高血糖、警告 | |
降圧薬・抗不整脈薬 (β遮断薬) |
インデラル | プロプラノロール | 糖尿病性ケトアシドーシス | 心筋収縮力の抑制 ※コントロール不十分な糖尿病は慎重投与 (糖新生抑制、エピネフリンによる低血糖からの回復抑制、低血糖に対する交感神経症状抑制) (非選択性薬剤は影響が大きいと考えられる) |
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カルビスケン | ピンドロール | 糖尿病性ケトアシドーシス | |||
テノーミン | アテノロール | 糖尿病性ケトアシドーシス | |||
降圧薬 (抗アルドステロン薬) |
セララ | エプレレノン | 微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病 | 高カリウム血症 | |
降圧薬 (レニン阻害薬) |
ラジレス | アリスキレン | アンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を投与中の糖尿病患者 | 脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症、低血圧のリスク | |
女性ホルモン薬 | 経口避妊薬 | LNG・EE、NET・EE | 血管病変を伴う糖尿病(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等) | 血栓症等のリスク | |
月経困難症治療薬 (女性ホルモン薬) |
ルナベル | ノルエチステロン・エチニルエストラジオール | 血管病変を伴う糖尿病(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等) | ||
ヤーズ | ドロスピレノン・エチニルエストラジオール | 血管病変を伴う糖尿病(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等) | |||
切迫流・早産治療薬 | ウテメリン | リトドリン | 重篤な糖尿病 | 血糖上昇 | |
栄養剤 (たん白アミノ酸製剤) |
エレンタール | アミノ酸、他 | 重症糖尿病 | 高血糖 | |
エンテルード | たん白質、他 | 重症糖尿病 | 高血糖 | ||
ツインライン | たん白質、他 | 重症糖尿病 | |||
ラコール | たん白質、他 | 重症糖尿病 | |||
ヘパンED | アミノ酸、他 | 重症糖尿病 | |||
抗血栓薬 | ワーファリン | ワルファリン | 重症糖尿病 | 出血 | |
糖尿病治療薬 (経口剤) |
オイグルコン ダオニール |
グリベンクラミド | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | インスリンの適用 | |
グリミクロン | グリクラジド | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
スターシス ファスティック |
ナテグリニド | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
グルファスト | ミチグリニド | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
グルベス | ミチグリニド・ボグリボース | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
シュアポスト | レパグリニド | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
アマリール | グリメピリド | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
グリコラン(旧:メルビン) メトグルコ |
メトホルミン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
アクトス | ピオグリタゾン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
メタクト | ピオグリタゾン・メトホルミン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
リオベル | ピオグリタゾン・アログリプチン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
ジャヌビア グラクティブ |
シタグリプチン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
エクア | ビルダグリプチン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
ネシーナ | アログリプチン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
トラゼンタ | リナグリプチン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 | |||
テネリア | テネリグリプチン | 糖尿病性昏睡、1型糖尿病 |
抗パーキンソン剤 神経系用剤(含む別用途) 不整脈用剤降圧剤
- (アルマール)(アロチノロール)
- アセタノール(アセブトロール)
- アドビオール(ブフェトロール)
- インデラル(プロプラノロール)
- カルビスケン(ピンドロール)
- スカジロール(アルプレノロール)
- テノーミン(アテノロール)
- トラサコール(オクスプレノロール)
- ナディック(ナドロール)
- ミケラン(カルテオロール)
- メインテート(ビソプロロール)
- ルーサー(ブプラノロール)
混合ホルモン 経口避妊剤 他の泌尿生殖器官、肛門用薬 タンパクアミノ酸製剤 血液凝固阻止剤 糖尿病用剤
- アーチスト(カルベジロール)
- カルバン(ベバントロール)
- ケルロング(ベタキソロール)
- セララ(エプレレノン)
- セレクトール(セリプロロール)
- セロケン、ロプレソール(メトプロロール)
- ダイム(チリソロール)
- トランデート(ラベタロール)
- ハイパジールコーワ(ニプラジロール)
- ブロクリン(ピンドロール)
- ベトリロール(ブニトロロール)
- ラジレス(アリスキレン)
- ローガン(アモスラロール)
- アクトス(ピオグリタゾン)
- アベマイド(クロルプロパミド)
- アマリール(グリメピリド)
- エクア(ビルダグリプチン)
- オイグルコン、ダオニール(グリベンクラミド)
- グリミクロン(グリクラジド)
- グルコバイ(アカルボース)
- グルファスト(ミチグリニド)
- グルベス(ミチグリニド/ボグリボース)
- ジベトス(ブホルミン)
- ジメリン(アセトヘキサミド)
- ジャヌビア、グラクティブ(シタグリプチン)
- シュアポスト(レパグリニド)
- スターシス、ファスティック(ナテグリニド)
- セイブル(ミグリトール)
- ソニアス(ピオグリタゾン/グリメピリド)
- デアメリンS(グリクロピラミド)
- テネリア(テネリグリプチン)
- トラゼンタ(リナグリプチン)
- ネシーナ(アログリプチン)
- ベイスン(ボグリボース)
- ヘキストラスチノン(トルブタミド)
- メタクト(ピオグリタゾン・メトホルミン)
- メルビン、グリコラン(メトホルミン)
- リオベル(アログリプチン/ピオグリタゾン)
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