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妊娠とくすり Top4.おもな薬の危険度 Sub / ビタミン・ミネラル


ビタミン・ミネラル
区分 一般名 製 品 例 添付文書 米FDA オ4版 虎 '92
ビタミン ビタミンA チョコラA 禁忌(>5,000 IU) A
X:高用量
D 0:<5,000 IU
2:
4~5:>10,000 IU
ビタミンB1 アリナミン - A~C    
ビタミンB6 ピドキサール - A~C    
ビタミンB12 メチコバール - A~C    
ビタミンC アスコルビン酸
ハイシー
(シナール)
- A~C    
ビタミンD
(アルファカルシドール)
(カルシトリオール)
ワンアルファ
アルファロール
ロカルトロール
A~D B3 0~1
ビタミンE ユベラ - A~C   0~1
ビタミンK1(フィトナジオン) ケーワン *1 C    
ビタミンK2(メナテトレノン) ケイツー -      
葉酸 フォリアミン - A A  
総合ビタミン剤 パンビタン末 禁忌(>VA.5,000 IU)      
ミネラル フェロ・グラデュメット
テツクール
スローフィー
フェルム
- A A   
フェロミア - (A)
<添付文書> 添付文書の記載要領と解釈について
禁忌 〜投与しないこと(妊婦禁忌)
〜投与しないことが望ま しい
〜治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与すること
妊娠にかかわる「重要な基本的注意」あり
妊娠にかかわる「警告」あり
処方にさいしての事前の避妊指示(事後の対応ではありません)
処方にさいしての男性の避妊指示
<米FDA> FDA薬剤胎児危険度分類基準
<オ4版> オーストラリア基準 第4次改訂版(妊娠中の投薬とそのリスク, 医薬品・治療研究会より)
<虎 '92> 虎ノ門病院の基準(実践 妊娠と薬'92より)
<註釈> [*1] 妊娠末期の婦人には大量投与を避けること。
〔大量投与により、まれに新生児に高ビリルビン血症があらわれることがある。〕


【備考】

●いくつもの疫学調査や症例報告などから、妊娠中のビタミンAの多量服用が奇形の発現率を高めることが分かっています。どの程度の量からかは必ずしもはっきりしませんが、1995年に1日10,000単位以上とする報告がされ論議をよびました。高めの報告としては、1日40,000単位以上とする研究もあります。食べ物のなかにもビタミンAがたくさん含まれるものがあります。とくに、レバーは一食分でも10000単位を超えてしまうものです。妊婦初期の3ヶ月間くらい、レバーだけは控えめにしたほうがよいでしょう。

●逆にビタミンAの不足も赤ちゃんによくないと考えられています。ビタミンA(またはカロチン)をたくさん含む食品には、レバー、うなぎ、卵、牛乳、バター、マーガリン、黄緑野菜(人参、かぼちゃ、パセリ)、果物などがあります。なお、黄色野菜や果物に含まれるカロチンは、必要な量だけビタミンAに変換されますので、とりすぎの心配はありません。栄養は、いろいろな食べ物からバランスよくとることが大切です。

●葉酸は細胞の増殖に重要な役割をするビタミンです。妊娠を予定されている方は、葉酸を十分にとることがすすめられています。妊娠前と妊娠初期に毎日0.4 mgの葉酸をとった女性は、神経系の奇形(神経管欠損)の割合が半分以下だったそうです。逆にいえば、無理なダイエットや食事代わりのスナック菓子で、葉酸の不足をまねけば、奇形の危険性が増えることも考えられるのです。体内の葉酸を減らしてしまうアルコール類もほどほどにします。葉酸は、緑の葉っぱにたくさん含まれます。生野菜をたっぷりとりましょう。

●妊娠中は、ふだんよりも多めのビタミンが必要です。その補給に総合ビタミン剤を用いることがあります。ただし、ビタミンAが過剰にならない量を用います。添付文書では、ビタミンAとして1日5,000単位未満にすることになっています。この程度でしたら、食事からの摂取を合わせても10,000単位に収まるわけです。具体的には、パンビタン末1gにはビタミンAが2,500単位含まれますので、1日の量として2gまでならOKということになります。ちなみに、葉酸は1g中に0.5mg含まれています。

●妊娠中は鉄分やカルシウムが不足しがちです。おなかの赤ちゃんの発育にたくさん使われるからです。不足分を補うのに、鉄分の薬やカルシウム剤が処方されます。どちらも食べ物に含まれる成分ですので妊娠中に飲んでも大丈夫です。


【myメモ】
※ビタミンA
どの程度の投与量からヒトでの催奇形性が発現するかを明確に評価しうる情報は、現時点ではない。FDAの研究員がまとめた奇形に関連した症例報告は、1日のビタミンA服用量が全て25,000IU以上であった。1995年に発表された米国における疫学調査では、ビタミンAを補給剤として10,001IU以上服用した群ではCNC(頭蓋神経堤)を起源とする奇形の発生率が2.21%で、5,000IU以下を服用した対照群の0.46%と比較して4.8倍に増加したと指摘されている。しかし、この報告の著者が報告している10,001IU以上を奇形の閾値とすることには、米国国立疾病予防センター(CDC)を始め複数の専門家から疑問をなげかけられており、確定的とはいえない。[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92]
※ビタミンA
Several studies have been reported revealing no increase in congenital anomalies after prenatal exposure to large amounts of vitamin A. These include 1203 infants exposed to 6000 IU daily during the first trimester of gestation (Dudas and Czeizel, 1992); and, a case control study of 11,293 children with minor and major malformations and maternal use of 10,000 IU or more of vitamin A per day (Martinez-Frias and Salvador, 1988, 1990).[Illinois Teratogen Information Service/VITAMIN A AND PREGNANCY]
妊娠初期に6,000単位のビタミンAに曝露した1203人の子供を調査したところ、奇形の割合が多いことはなかった。また、11,293人の先天奇形のある子供のケースコントコントロール研究では、ビタミンA10,000単位/日もしくはそれ以上の摂取量においても奇形との関連性は認められなかった。
※ビタミンA
先天的な大・小奇形をもった11,293例の児のケースコントロールスタディーでは、ビタミンA1日40,000 IU以上の服用に限って奇形との関連がみられた。[佐藤孝道ら:実践 妊娠と薬'92(Martinez-Frias ML et al: Epidemiological aspect of prenatal exposure to high dose of vitamin A is Spain: Eur J Epidemiol, 6(2), 118~123, 1990)]
※ビタミンA
High doses produce urogenital anomalies and defects similar to isotretinoin. [Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
高用量で泌尿生殖器の奇形とisotretinoin様の障害をを引き起こすおそれ。
※ビタミンA
過量のビタミンA摂取は先天性欠損を引き起こすことがある。のむ前に、ビタミンAを補う必要があるかどうかを考えてみるべきである。通常オーストラリア人の食事は、ビタミンAの1日標準必要量2500IUを十分に含んでいる。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会 Medicines in Pregnancy)]
※Folic acid(葉酸)
There is now substantial evidence that women who consume folic acid supplements of at least 400 micro-g/day before and during the first 4 weeks of pregnancy have an incidence of neural tube defects (anencephaly, spina bifida) approximately half that of women who do not.
妊娠前と胎齢4週(妊娠6週)までの間に、少なくとも0.4mgの葉酸を毎日摂り続けた場合、神経管欠損の発現率が半減する。

The effect of supplemental folic acid is lost after the first month of gestation, since embryonic neural tube closure is complete by then. Only about 5% of neural tube defects are recurrences. Approximately half the women of childbearing age who become pregnant do not plan to do so. In addition, by the time most women realize they are pregnant, they are halfway through the first 4 weeks of gestation. For these reasons, in September of 1992, the Centers for Disease Control and Prevention (CDCP) issued the recommendation that all women of childbearing age take supplemental folic acid.[DH Alpers WF Stenson DM Bier. Manual of Nutritional Therapeutics. Little Brown]
※葉酸
先天異常 二分脊椎が5年連続増。妊婦の葉酸摂取が不足(東京新聞)/先天異常の一つで、脊椎(せきつい)から神経組織が露出し運動機能などに障害が出る「二分脊椎」の発症率が2003年に赤ちゃん1万人当たり5.6人(速報値)となり、5年連続で増加したことが、日本産婦人科医会と横浜市立大国際先天異常モニタリングセンターの調査で分かった。

二分脊椎などの神経管閉鎖障害はビタミンの一種、葉酸の摂取で発症リスクを減らせる。旧厚生省は2000年に妊娠可能年齢の女性に積極的な摂取を呼び掛けたが、専門家は「意識的に摂取する女性は少なく効果が上がっていない」と指摘、国は啓発に向けた新たな対応を迫られそうだ。

調査は日本産婦人科医会が1972年から毎年実施。薬害サリドマイドを教訓に先天異常の発生状況を把握するため、産科のある全国の医療機関の協力で続け、横浜市立大がデータを分析している。03年は約8万4千人の赤ちゃんのデータが集まった。

二分脊椎の発症率は赤ちゃん1万人当たり5.6人(速報値)。98年の3.2人から99年に4.1人と増えて以降、2000年4.8人、01年5.1人、02年5.5人と5年連続で前年を上回った。日本産婦人科医会常務理事の平原史樹横浜市立大大学院教授(産婦人科学)によると、米国や英国では90年代前半に女性への葉酸摂取勧告が相次いで出され、二分脊椎の発症率は低下傾向になっている。

こうした動きを受け、旧厚生省は2000年12月に「通常の食事に加え、栄養補助食品から1日0.4ミリグラムの葉酸を摂取すれば発症リスクの低減が期待できる」と、葉酸摂取を推奨する通知を出した。

だが、平原教授らが02年に実施した妊婦四百十人へのアンケートでは、「妊娠前に葉酸を十分摂取したと思う」と答えたのは5人に1人にとどまり、女性へのより積極的な情報提供が必要な現状が浮かんでいる。[東京新聞(2004/07/20)]

    
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