【備考】
●抗パーキンソン薬が妊娠中に使用される機会は少ないこともあり、規模の大きい疫学研究はされていないようです。ペルゴリド(ペルマックス)とアマンタジン(シンメトレル)については、催奇形性を示唆する症例報告がありますが、はっきりしたことは分かっていません。
●若年性のパーキンソン病で妊娠・出産の予定のある方は、事前に医師と十分に打ち合わせをし、計画的に妊娠されるとよいでしょう。妊娠中も薬物治療が不可欠な場合、おそらく、古くからの使用実績の多い抗コリン薬、もしくはレボドパ製剤が中心になると思います。虎の門病院の相談事例によると、妊娠初期の71日目までトリヘキシフェニジルを服用していた1名の方は、無事健康な赤ちゃんを出産されたそうです。
【myメモ】
- ※ペルゴリド
- 外国で本剤の投与を受けた女性の一部が妊娠し、33妊娠例で健児を出産したが、6妊娠例では先天異常(重度3例、軽度3例)が認められたとの報告があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい(ペルマックス添付文書,
2002)。
- ※Amantadine(シンメトレル)
- In a surveillance study of Michigan Medicaid
patients 1st trimester exposure in 64 infants
resulted in 5 birth defects (3.1 expected)[1].
The sample size is too small to draw firm
conclusions.
ある研究によると、妊娠初期にアマンタジンに曝露した64例において、5例の先天奇形がみられた(3.1倍)。ただ、結論づけるには症例数が少なすぎる。[Drugs
in Pregnancy and Lactation(1.Rosa F: Amantadine
pregnancy experience. Reprod Toxicol. 1994
Nov-Dec;8(6):531. MEDLINE)]
- ※アマンタジン
- 塩酸アマンタジンは抗ウイルス剤として開発され、その後パーキンソン症候群に有効であるとして、昭和50年4月に承認された新薬である。最近、Nora
らは塩酸アマンタジン投与によると思われる胎児の心血管系発育障害の1例を報告した。これは1例報告であるが、動物実験で催奇性があるとの報告がLamar らによってなされている。[旧厚生省
医薬品副作用情報 17,1976 (1.J. J. Nora,
et al.: Lancet, II: 607, 1975、2.J. K. Lamar,
et al.: Toxicology and Applied Pharmacology,
17, 272, 1970)]
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