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Top Menue がんの薬x18 慢性白血病(CML)

チロシンキナーゼ阻害薬
グリベックタシグナスプリセルボシュリフ

慢性骨髄性白血病(CML)に優れた治療効果を発揮する分子標的薬です。標的分子は、白血病の病因ともいえるBcr-Ablチロシンキナーゼという腫瘍タンパクになります。最初に開発されたのがイマチニブを有効成分とするグリベックで、この薬の登場により慢性骨髄性白血病の治療は大きく前進し、治せる病気に変わってきています。有効率はインターフェロンをはるかにしのぎ、慢性骨髄性白血病における5年生存率は90%以上に達します。飲み薬なので治療が楽で、長期管理がしやすいです。

グリベックの後継となるタシグナとスプリセルは、グリベックが効きにくい変異型Bcr-Abllチロシンキナーゼに対しても阻害活性を示します。実際の臨床試験でも1次治療ではグリベックを上回る寛解率が得られ、またグリベック抵抗性の2次治療においても高い有効性が示されています。当初の適応症にはイマチニブ抵抗性というしばりがありましたが、現在は、初発の慢性骨髄性白血病に対する1次治療薬としても使用可能です。タシグナは、最近の臨床試験で無治療寛解維持データが得られています。深い寛解が得られれば、薬をやめても寛解を持続できる可能性があるのです。

新薬のボシュリフはBcr-Ablチロシンキナーゼ対する高選択性に着目して開発されました。適応となるのは、2次治療または3次治療においてです。すなわち、1次治療薬として初めから使うのではなく、標準薬のグリベック、タシグナまたはスプリセルが効果不十分または副作用などで使用できない場合です。副作用の軽減が期待されるのですが、下痢や肝機能障害の発現率はむしろ高く、またこの系統に特徴的な骨髄抑制、体液貯留、不整脈などに注意が必要なことに変わりありません。

アルキル化薬
マブリン(BUS)

完治させることは困難ですが、一時的に白血球数を減少させ病状を落ち着かせます。強力な抗がん薬ですが、肺線維症など重い副作用が多く、またグリベックの登場により処方機会はほとんどなくなりました。なお、同成分の注射薬は、骨髄移植(造血幹細胞移植)に先立ち骨髄の白血病細胞を根絶するための前処置に使われます。

代謝拮抗薬
ハイドレア(HYD)

マブリンに比べ、副作用が軽く使いやすいです。白血球数のコントロールに有用ですが、やはり病気そのものを治すことはできません。慢性骨髄性白血病においては、グリベックやインターフェロン療法、もしくは骨髄移植を優先し、それに次ぐ補助的な役目をするものです。白血球数が落ち着いたら、グリベックなどチロシンキナーゼ阻害薬へ処方変更する必要があります。

インターフェロンα(IFNα)
※スミフェロン、オーアイエフ、イントロンA

骨髄移植が困難な場合、注射によるインターフェロン療法が試みられます。かなりよい効果を示し、ほぼ完治(完全寛解)できる可能性もあります。ただし、いろいろと副作用がでやすいのが難点です。発熱、筋肉痛、吐き気、気分の落ち込み、不眠、脱毛などつらい症状が少なくありません。そのため、最近では前記のグリベックなどチロシンキナーゼ阻害薬を用いることが多くなっています。


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<メモ>
  • 慢性白血病は大きく骨髄性(CML)とリンパ性(CLL)に分かれます。日本人に多いのは前者の慢性骨髄性白血病で、後者は少ないです。慢性骨髄性白血病は、骨髄の造血幹細胞ががん化し、白血球の一種の顆粒球が異常増殖する病気です。進行すると、正常な血球ができなくなり、貧血や出血、感染症などを引き起こし命を脅かします。上記に取りあげた薬剤は、おもに慢性骨髄性白血病に適応します。

    
    

 
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