14- | 15. 甲状腺疾患における禁忌薬 | -16 |
甲状腺は首の前側にある小さな臓器です。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、いろいろな臓器の働きを調節し、体の基礎代謝を高めます。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても良くありません。どちらも病気になります。多すぎるのがバセドウ病に代表される「甲状腺機能亢進症」、少なすぎるのが橋本病などの「甲状腺機能低下症」です。 薬のなかには、そのような甲状腺疾患に悪いものがあります。たとえば、精神刺激薬のリタリンもしくはコンサータ、排尿障害などに用いるベサコリン、低血圧治療薬のメトリジンやリズミック。これらは心臓の自律神経系(交感神経または副交感神経)に作用し 動悸や頻脈症状を悪化させるため、甲状腺機能亢進症のある人は使用禁止です。ベサコリンにおいては、心房細動という重い不整脈の危険性も指摘されています。 リタリンのような絶対的な禁忌薬は少ないのですが、注意が必要な薬はほかにもたくさんあります。よく処方されるのは、抗コリン作用をもつ三環系抗うつ薬、腹痛などに用いる鎮痙薬、頻尿や尿失禁を治療する過活動膀胱治療薬、喘息に用いる気管支拡張薬などです。これらにも交感神経刺激作用があるため、頻脈など甲状腺機能亢進にともなう諸症状を助長する可能性があります。甲状腺機能亢進症のある人は、服用にさいし十分注意しなければなりません。 逆に、気分安定薬のリーマスは、甲状腺機能の低下をまねき、甲状腺機能低下症を悪化させるおそれがあります。また、抗不整脈薬のアンカロンは、甲状腺ホルモンの生合成と代謝に影響を及ぼし、甲状腺機能検査値に異常をきたします。処方機会は少ないのですが、これら2つの薬については、甲状腺機能亢進症のある人だけでなく、低下症の人も要注意といえるでしょう。 |
<主な医薬品> |
分類 | 薬品 | 成分 | 禁忌 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
精神刺激薬 | リタリン、コンサータ | メチルフェニデート | 甲状腺機能亢進 | 循環器系に影響 | |
ベタナミン | ペモリン | 甲状腺機能亢進 | |||
自律神経薬 | ベサコリン | ベタネコール | 甲状腺機能亢進症 | 心房細動の危険性を増加 | |
アボビス | アクラトニウム | 甲状腺機能亢進症 | 心房細動を誘発又は悪化 | ||
スルカイン | 炭酸カルシウム、他 | 甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症 | 症状悪化 ※炭酸カルシウムを含有しないスルカイン錠は対象外 |
||
降圧薬 | アプレゾリン | ヒドララジン | 高度の頻脈及び高心拍出性心不全(甲状腺中毒症等) | 症状悪化 | |
昇圧薬 | エホチール | エチレフリン | 甲状腺機能亢進症 | 心悸亢進、頻脈等の症状悪化 | |
メトリジン | ミドドリン | 甲状腺機能亢進症 | 症状悪化 | ||
リズミック | アメジニウム | 甲状腺機能亢進症 | 症状悪化 | ||
高リン血症治療薬 | カルタン | 炭酸カルシウム | 甲状腺機能低下症 | 症状悪化 | |
健胃薬、制酸薬 (炭酸カルシウム含有) |
S・M散 | 炭酸カルシウム、他 | 甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症 | 症状悪化 | |
炭酸カルシウム | 炭酸カルシウム | 甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症 | |||
ホルモン薬 | メサルモン-F | 甲状腺末、他 | 甲状腺機能亢進症 | 症状悪化 | |
切迫流・早産治療薬 | ウテメリン | リトドリン | 重篤な甲状腺機能亢進症 | 症状悪化 |
神経系用剤(含む別用途) 自律神経剤 強心剤 降圧剤 血管収縮剤 他の循環器官用薬 消化性潰瘍用剤 健胃消化剤 制酸剤 他の泌尿生殖器官、肛門用薬
14- -16 | ||
スポンサード リンク | 投げ銭してネ ! | |
Good luck & Good by ! | ||
おくすり110番 | ||