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妊娠とくすり Top4.おもな薬の危険度 Sub / 降圧薬、利尿薬


降圧薬、利尿薬
区分 一般名 製 品 例 添付文書 米FDA オ4版 虎 '92
降圧薬 Ca拮抗薬 ニフェジピン アダラート 禁忌(妊娠20週未満) C  C  
ジルチアゼム ヘルベッサー 禁忌
ベラパミル ワソラン 禁忌
アムロジピン ノルバスク
アムロジン
禁忌
フェロジピン スプレンジール
ムノバール
禁忌
ニカルジピン ペルジピン 禁忌
アゼルニジピン カルブロック 禁忌
アムロジピン・アトルバスタチン カデュエット 禁忌
ACE阻害薬 カプトプリル カプトリル 禁忌 C:初期
D:中・後期
D 4
エナラプリル レニベース 禁忌
シラザプリル インヒベース 禁忌
リシノプリル ゼストリル 禁忌
デラプリル アデカット 禁忌
イミダプリル タナトリル 禁忌
キナプリル コナン 禁忌
ペリンドプリル コバシル 禁忌
トランドラプリル オドリック 禁忌
AU拮抗薬(ARB) ロサルタン ニューロタン 禁忌 C:初期
D:中・後期
D  
カンデサルタンレキシチル ブロプレス 禁忌
バルサルタン ディオバン 禁忌
テルミサルタン ミカルディス 禁忌
オルメサルタン オルメテック 禁忌
イルベサルタン イルベタン 禁忌
アジルサルタン アジルバ 禁忌
AU拮抗薬 + 利尿薬 ロサルタンカリウム
ヒドロクロロチアジド
プレミネント 禁忌 D  D  
カンデサルタン
ヒドロクロロチアジド
エカード 禁忌 D  D  
バルサルタン
ヒドロクロロチアジド
コディオ 禁忌 D  D  
テルミサルタン
ヒドロクロロチアジド
ミコンビ 禁忌 D  D  
AU拮抗薬 + Ca拮抗薬 バルサルタン
アムロジピン
エックスフォージ 禁忌 D D  
カンデサルタン
アムロジピン
ユニシア 禁忌 D D  
テルミサルタン
アムロジピン
ミカムロ 禁忌 D D  
オルメサルタン
アゼルニジピン
レザルタス 禁忌 D D  
レニン阻害薬 アリスキレン ラジレス 禁忌      
β遮断薬
(αβ遮断薬)
プロプラノロール インデラル △[*1] C C  
ピンドロール カルビスケン 禁忌 B
アテノロール テノーミン D
メトプロロール セロケン 禁忌 C
ベタキソロール ケルロング 禁忌 C
ベバントロール カルバン 禁忌  
カルベジロール アーチスト 禁忌  
ラベタロール トランデート  
α遮断薬 プラゾシン ミニプレス C B2  
テラゾシン ハイトラシン
ドキサゾシン カルデナリン B3
ブナゾシン デタントール    
交感神経中枢抑制薬 メチルドパ アルドメット B~C? A  
クロニジン カタプレス C B3
グアンファシン エスタリック 禁忌 B  
血管拡張性降圧薬 ヒドララジン アプレゾリン C C
硝酸薬 ニトログリセリン ミリスロール注 C    
ニトロプルシド ニトプロ注 C     
その他 ボセンタン トラクリア 禁忌      
アンブリセンタン ヴォリブリス 禁忌      
利尿薬 サイアザイド系
(および類薬)
ヒドロクロロチアジド ダイクロトライド D C  
メチクロチアジド エンデュロン D C
トリクロルメチアジド フルイトラン D  
インダパミド ナトリックス B C
クロルタリドン ハイグロトン D  
ループ フロセミド ラシックス C C
カリウム保持性 スピロノラクトン アルダクトンA C(D?) B3
V2-受容体拮抗薬 トルバプタン サムスカ 禁忌・避      
<添付文書> 添付文書の記載要領と解釈について
禁忌 〜投与しないこと(妊婦禁忌)
〜投与しないことが望ま しい
〜治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与すること
妊娠にかかわる「重要な基本的注意」あり
妊娠にかかわる「警告」あり
処方にさいしての事前の避妊指示(事後の対応ではありません)
処方にさいしての男性の避妊指示
<米FDA> FDA薬剤胎児危険度分類基準
<オ4版> オーストラリア基準 第4次改訂版(妊娠中の投薬とそのリスク, 医薬品・治療研究会より)
<虎 '92> 虎ノ門病院の基準(実践 妊娠と薬'92より)
・・・・・・・・
<註釈> [*1] プロプラノロール/緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい


【備考】

●妊娠中の高血圧には、使用実績が豊富なメチルドパ(アルドメット)もしくはヒドララジン(アプレゾリン)を用いるのが一般的です。

●重症例や効果が不十分な場合は、他の強力な降圧薬を用いることがあります。ただし、血圧の下がりすぎも赤ちゃんによくないので、慎重に用いなければなりません。ニフェジピン(アダラート)に代表されるカルシウム拮抗薬は基本的に禁忌なのですが、医師が治療上の有益性が大きいと判断した場合、必要最小限の範囲で使用されることがあります。催奇形性を疑わせる報告があるので、妊娠初期の使用は控えたほうがよいかもしれません。また、末期においては、分娩の遅延に注意が必要です。なお、ニフェジピン(アダラート)については、2011年に規制がゆるめられ、禁忌対象期間が“妊娠20週未満”に限定されました。

●早産を避けるため、ニフェジピン(アダラート)やニカルジピン(ペルジピン)などカルシウム拮抗薬を早産予防薬として使用することがあります。カルシウム拮抗薬には、子宮筋の収縮を抑制し分娩を遅らせるという害作用があるのですが、これを逆手にとった応用処方です。早産防止のためにニフェジピンを使用した102人の女性を調査したところ、安全性にとくに問題がなかったという報告があります。

●β遮断薬では胎児の発育遅延や呼吸抑制が報告されており、一般的には禁忌扱いとなります。ただ、頻脈をともなう重い高血圧など 症状によっては医師の判断で使用されることがあります。

●ACE阻害薬とAU拮抗薬の妊娠中の使用は禁忌となります。とくに中期以降が危険です。胎児の腎臓の働きを低下させたり、尿の出を悪くして羊水を減少させるおそれがあります。重大な障害を残した症例や死亡例も報告されています。この系統が妊娠中に使用されることはまずありません。


【myメモ】
※米国高血圧教育計画(NHBPEP)ワーキンググループによる報告
妊娠に伴う高血圧に関する米国高血圧教育計画(NHBPEP)ワーキンググループの報告では、慢性高血圧の女性に対し薬物療法の継続を認めている(ただし、ACE阻害薬、AU受容体拮抗薬は除く)。拡張期血圧が100mmHG以上(標的臓器障害または腎基礎疾患がある場合はそれ以下)の慢性高血圧女性または拡張期血圧が105mmHG以上の急性高血圧女性では、下記の薬剤の使用が示唆されている[今日の治療薬(Am. J. Obstet. Gynecol. 163, 1990)]。

示唆される薬剤 コ メ ン ト
中枢性α作動薬 メチルドパはNHBPEPワーキンググループが推奨している選択薬である
β遮断薬 アテノロールとメトプロロールは妊娠後期では安全で効果があると考えられる
Ca拮抗薬 硫酸マグネシウムとの相乗作用により、急激な低血圧をきたす可能性がある
ACE阻害薬
AU拮抗薬
死亡など致死的異常の原因となり、妊娠期には使用してはならない
利尿薬 妊娠前から投与されている場合、または塩分に対し感受性がある場合は慢性高血圧患者に推奨される。子癇前症には推奨できない
血管拡張薬 ヒドララジンは安全性と有効性に長い実績のある非経口薬である

※メチルドパ(アルドメット)
通常、妊娠高血圧の基本は安静と食塩制限であるが、メチルドパ(アルドメット)も第一選択とされる場合が多い。β、αβ、α遮断薬、なども併用してもよい。いずれも慎重に投与する。[今日の治療薬]
※ヒドララジン(アプレゾリン)
ヒドララジンは胎盤血流増加作用を有するため経口でも静注でも比較的安全に用いられ、とくに分娩が迫っているときには本薬を用いる。[今日の治療薬]
※ヒドララジン
ヒドララジンを妊娠後期(last trimester)に静脈内投与すると、胎児に負担を与え、不整脈を引き起こす。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会 Medicines in Pregnancy)]
※ヒドララジン
ヒドララジンやメチルドパなどが、古くから妊娠中毒症に用いられ経験例が多く安全性のうえからよく使われ、妊娠中毒症の早期から用いられる。緊急時には徐々に注射投与も行われるが急激な血圧の降下には注意が必要である。ヒドララジンは末梢細動脈の拡張作用をもち、間接的な陽性変力作用もあるので反応性の頻脈や心拍出量の増加をみる。[薬局 Vol.50 1999]
※Ca拮抗薬
*Ca拮抗薬の場合はnifedipineなどで催奇形性がみられるため妊娠初期は避けるのがよいとされてきたが最近は胎盤血流を低下させないということから少しずつ使用されようになってきている。しかし子宮収縮を低下させる可能性はあるので出産のさいは気をつける必要がある。
*子癇による痙攣の予防と治療には硫酸マグネシウムの20%溶液10〜20mLを静注する。妊娠初期でないのでCa拮抗薬も有用である。[今日の治療薬]
※Ca拮抗薬
Ca拮抗薬には動物で催奇形性があるので妊娠初期には使用しない。また、分娩まで使用すると子宮筋の収縮が障害されて分娩が遷延する可能性が指摘されるので注意が必要である(その作用は早産の予防に用いられている)。[薬局 Vol.50 1999]
※Calcium channel blockers(Ca拮抗薬)
Calcium channel blockers appear to be safe for mother and fetus when used for the treatment of hypertension, cardiac arrhythmias, angina and pre-term labor in pregnant women. Teratogenicity with these agents has been demonstrated in animals, but no cases of possible human malformation or deformity have been reported (Hennessy and Horvath, 1992). However, it must be recognized that human studies have been very limited. It is recommended that a drug only be used during pregnancy if the potential benefit outweighs any potential risk to the fetus. [Illinois Teratogen Information Service/Calcium Channel Blockers and Pregnancy Vol. 5, No.1 September 1996]
カルシウム拮抗薬が妊娠中に高血圧や不整脈、狭心症、早産などの治療に使われたとしても、母親と胎児は安全と思われる。この系統は動物実験で奇形発生が認められるものの、催奇形を示す人での報告はない(Hennessy と Horvath 、1992)。けれど人での臨床研究が非常に限られたものである点に留意しなければならない。治療上の有用性が、胎児に起こりえるあらゆるリスクを上回るときだけに使用する。
※Verapamil(ワソラン)
Verapamil is used in pregnancy for inhibition of pre-term labor and cardiac arrhythmias. The risk to a fetus exposed to this agent is minimal. Magee et al. (1994) studied 57 infants of women treated in the first trimester with verapamil. The frequency of malformations was not significantly increased in this population. Many investigators have looked at the effects of the drug in late pregnancy. No adverse drug-related effects were seen in infants of 137 women with second and third trimester exposures to verapamil (Orlandi et al., 1986; Marlettini et al., 1990). [Illinois Teratogen Information Service/Calcium Channel Blockers and Pregnancy Vol. 5, No.1 September 1996]
Verapamilは、妊娠中に早産防止や不整脈に用いられる。この薬に曝露した胎児の危険性は少ない。妊娠初期にVerapamilにより治療を受けた妊婦の57人の子供を調べたところ、奇形の割合はとくに増えなかった(Magee et al.1994) 。妊娠中期から後期に曝露した137人においても、胎児毒性はみられなかった。(Orlandi et al., 1986; Marlettini et al., 1990).
※Nifedipine(ニフェジピン)
*Nifedipine is also considered to be of minimal risk to the fetus. It is generally used in the second half of pregnancy for hypertension, cardiovascular disease and pre-term labor. A retrospective study of 102 women who received nifedipine for inhibition of pre-term labor found the drug to be a safe means of therapy (Waisman et al., 1989). In addition, no increase in the frequency of congenital anomalies was observed in 57 infants exposed to nifedipine in-utero in the first trimester (Magee et al., 1994). Clinical trials involving from 20 to 99 infants of women treated with nifedipine in the second and third trimesters also failed to show any treatment-related adverse effects (Read and Wellby, 1986; Ferguson et al., 1990; Meyer et al., 1990; Bracero et al., 1991; Fenakel et al., 1991; Murray et al., 1992; Sibai et al., 1992; Glock and Morales, 1993; Roy and Pan, 1993; Smith and Woodland, 1993; Childress and Katz, 1994).
ニフェジピンも胎児に対する危険性は少ないと考えられる。一般的に、この薬は妊娠中期の高血圧や心疾患、もしくは早産の治療に使われる。早産防止のためにNifedipineを使用した102人の女性を調査した後ろ向き研究は、この治療手段が安全であることを示した(Waisman et al., 1989)。さらに、妊娠初期にNifedipineに曝露した57人の子供において、先天奇形の割合が増えることはなかった (Magee et al., 1994)。・・・
*Animal studies dealing with nifedipine use have shown a dose-response relationship. Increases in the frequency of fetal death, growth retardation, and skeletal and cardiovascular malformations were seen when rats were treated with doses of nifedipine 9-62 times greater than "the human dose" (Fukunishi et al., 1980; Cabov and Palka, 1984; Yoshida et al., 1988; Komai et al., 1991; Richichi and Vasilenko, 1992). Digital abnormalities were observed in the offspring of rabbits exposed to 3.5-14 times the human dose (Danielsson et al., 1989, 1992). It has been hypothesized that these abnormalities may have been the result of decreased uteroplacental blood flow rather than from direct effects of the drug (Yoshida et al., 1995). Cardiac failure and decreased fetal and placental weights were also observed in a dose-related fashion in rats (Momma and Takao, 1989; Furuhashi et al., 1991). [Illinois Teratogen Information Service/Calcium Channel Blockers and Pregnancy Vol. 5, No.1 September 1996]
ニフェジピンによる動物実験においては、用量依存性があることが示されている。人用量の9〜62倍を与えたネズミにおいて、仔の死亡、成長遅延、骨格や心臓奇形の発生率が増えた。・・・
※amlodipine(アムロジピン)
Very little information is available on amlodipine. It has been studied in rats and rabbits by Horimito et al (1991). An increase in the incidence of congenital anomalies was not found when administered throughout the critical period of organ formation. [Illinois Teratogen Information Service/Calcium Channel Blockers and Pregnancy Vol. 5, No.1 September 1996]
アムロジピンの情報はきわめて少ない。器官形成期におけるネズミの研究では催奇形性は示されなかった。
※Diltiazem(ジルチアゼム)
27 first trimester exposures during first trimester showed an increase rate of cardiovascular defects. Suggestive of an association. [Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
妊娠初期に曝露した27例において、心臓奇形の増加を示唆する報告がされている。
※ACE inhibitors
2nd and 3rd trimester use is associated with hypocalvaria, and renal defects related to fetal hypotension and decreased renal perfusion. The latter may result in oligohydramnios. [Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
中期または末期の使用は、頭蓋の形成不全や、血流悪化による腎障害を引き起こす。さらに、後者は羊水過少症をまねくかもしれない。
※ACE阻害薬
アンジオテンシン変換酵素阻害剤に係る海外の報道について:一部の海外の通信社等が、血圧降下剤であるアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)の妊婦への投与に関する調査結果等について報道していますが、わが国の状況等は次のとおりですので、お知らせします。(1)わが国においては、ACE阻害剤の妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与については既に禁忌としている。なお、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに公表されたバンダービルト大学の研究者の調査結果(注)について、参考情報として添付文書に記載する必要性があるか否かについては、専門家の意見を聴いて検討する予定。(注)妊娠初期にACE阻害剤を服用した妊婦から生まれた児は、本剤を服用していない妊婦から生まれた児に比べ、奇形のリスクが高い(2.71倍。95パーセント信頼区間1.72−4.27)とするもの。(2)米国においては、ACE阻害剤の妊婦への投与は警告として記載(禁忌とはされていない)。米国食品医薬品局(FDA)は、バンダービルト大学の調査結果について、その再現性が確認されていないことなどから、ACE阻害剤の添付文書の妊婦に関する項の記載の変更はせず、調査結果などについてそのホームページにおいて情報提供している。[厚労省医薬食品局 2006/06/08 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0608-1.html]
※ACE阻害薬
Cooperら(2006年)はテネシー州のメディケイドのデータベースを使用し、妊娠第1三半期においてACE阻害薬またはその他の降圧薬への曝露またはいかなる降圧剤にも曝露されていない母親から1985〜2000年に生まれた乳児の先天奇形の発生を解析した。
 大奇形(majorcongenitalmalformation)のリスク比は、妊娠第1三半期にACE阻害薬に曝露された乳児は、降圧薬の曝露のなかった乳児と比較して2.71〔95%CI[1.72〜4.27]〕で、有意なリスクの増加が示された。確認された奇形の種類は心臓中隔欠損が約半数で、残りは中枢神経系、泌尿器系、その他の器官であった。ACE阻害薬を服用していた母親は、降圧剤を使用していなかった母親に比べ平均年齢が高く、他の慢性疾患の罹患率も高かった。糖尿病に罹患していない母親の乳児に限定して観察研究が行われた。また、妊娠第1三半期以降のACE阻害薬への曝露についても研究が行われた。
 ACE阻害薬はすでに胎児の腎臓が発達する時期である妊娠第2第3三半期のリスク増加に関連していることがわかっている。しかし、アンジオテンシンII受容体は胎児発達の早期段階に存在する。アンジオテンシンII受容体の広範な発現により妊娠初期にACE阻害薬への曝露は催奇性があるとするのであれば、アンジオテンシンII受容体拮抗薬もまた催奇性をもつ可能性がある。しかし、さまざまな先天奇形が起きておりそのメカニズムははっきりわかっていない。Cooper WO, Hernandez-Diaz S, et al. N Engl J Med. 2006 June 8;354(23):2443-51.[国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)2006/06/29]
※妊娠後期におけるACE 阻害薬の胎児毒性
ACE阻害薬への妊娠第2,第3 三半期での子宮内曝露による胎児への影響は,ACE阻害薬胎児病(ACE inhibitor fetopathy)として知られている。主な症状は腎形成不全,羊水過少,頭蓋の形成不全,子宮内胎児発育遅延,動脈管開存症等である。[国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)2006/06/29]
※プロプラノロール(インデラル)
妊娠中の投与により新生児の発育遅延、血糖値低下、呼吸抑制が認められたとの報告があり、また、動物実験で胎仔に対して、母体より長時間β遮断作用を示すことが報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい。[添付文書]
※Atenolol(アテノロール)
Intrauterine growth retardation if started in 2nd trimester.[Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation]
妊娠中期からの服用により、胎児の発育遅延が認められたとの報告
※サイアザイド、関連利尿剤およびループ利尿剤
これらの薬は胎児で電解質障害を引き起こすかもしれない。サイアザイドおよび関連利尿剤で新生児に血小板減少症を引き起こしたという報告がある。おそらく、フロセミドやブメタニド等のようなループ利尿剤もこのようなリスクを伴う。妊娠後半においては、このタイプの製剤は十分な適応がある場合にかぎって、しかも最小有効量を投与すべきである。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会 Medicines in Pregnancy)]
※サイアザイド系(チアジド系)利尿剤
チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少症等を起こすことがある。また、利尿効果に基づく血漿量減少、血液濃縮、子宮・胎盤血流量減少があらわれることがある。[添付文書]
※フロセミド
蛋白尿のある症例では、それが1日1〜3g程度ではジピリダモールが用いられることがある。重症妊娠中毒症における全身性の浮腫にはフロセミドなども用いられる。[薬局 Vol.50 1999]
※ループ利尿薬(フロセミド)
妊娠中毒症の高血圧患者に、ループ利尿薬を用いてはならない/妊娠中毒症の患者血液は、濃縮傾向にあることが多く、強力な降圧利尿薬の投与は、病態をさらに増悪する。母体の血圧低下、子宮胎盤循環不全、胎児の脱水、高窒素血症、血小板減少などをまねき、胎児仮死を起こす危険性がある。[医療禁忌マニュアル]
※スピロノラクトン(アルダクトンA)
この薬は男性胎児に女性化を引き起こす可能性があり、妊娠中は避けるべきである。[妊娠中の投薬とそのリスク(オーストラリア医薬品評価委員会 Medicines in Pregnancy)]

    
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