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Top Menue 心の薬x16 精神病の薬-3

非定型抗精神病薬(SDA、MARTA、DSS、SDAM)
リスパダールインヴェガルーランロナセンセロクエルジプレキサシクレストエビリファイレキサルティ

開発が新しい非定型抗精神病薬です。従来の定型抗精神病薬との違いは、統合失調症の陰性症状(意欲低下、無感情)や認知障害(記憶・理解力低下)に有効なこと、また錐体外路症状(パーキンソン症状)などの副作用が軽減されていることです。このような利点から、統合失調症に対する第一選択薬として処方されるようになりました。非定型抗精神病薬は神経受容体結合プロファイルの違いから、SDA、MARTA、DSS、SDAMなどに細分類されることがあります(メモ参照)。

なかでもSDAのリスパダールは使用実績が豊富で、さまざまな精神症状に標準的に用いられています。特徴は、陽性症状(幻覚、妄想、混乱)に迅速かつ強力に作用する点です。リスパダールの活性代謝物を主成分とするインヴェガも、同様の優れた効果が期待できます。また、インヴェガは1日1回服用の徐放剤なので、飲むのが簡単で楽です。ルーランも同じSDAに分類されますが、リスパダールに比べ鎮静作用がゆるく過鎮静を生じにくいこと、不安や抑うつに対する効果が期待できることなど特徴的です。

セロクエルとジプレキサは、広範な神経受容体への作用を特徴とし、MARTAというカテゴリーに入ります。こちらは、急性期の陽性症状に対する効果はやや劣るものの、情動安定化作用や再発予防効果が期待できるので長期の維持療法に適します。ジプレキサについては、躁うつ病の躁症状に対する適応も取得しています。シクレストもSDAとは異なる特有の受容体結合プロファイルをもち、陽性・陰性症状にくわえ不安やうつに対する効果が期待できます。

次のエビリファイはDSSと呼ばれる第3世代抗精神病薬で、おもにドーパミン系神経の働きを調整し安定させます。過鎮静を起こしにくく、眠気や体重増加なども少ないことから、維持期の予防薬として最適です。統合失調症のほか、双極性障害やうつ病にも適用します。新薬のレキサルティは、セロトニン‐ドパミン・アクティビティ モジュレーター(SDAM)と呼ばれるように、ドパミン系とセロトニン系の両神経を調整します。陽性症状と陰性症状をふくめ、急性期から維持期にわたり広く適用可能であり、副作用のさらなる軽減が期待できそうです。

非定型抗精神病薬の副作用は少ないといっても油断はできません。飲み始めの立ちくら、眠気、食欲亢進、体重増加、高血糖などが特徴的です。旧来の抗精神病薬ほどではありませんが、体が勝手に動く、震えるといったパーキンソン病のような錐体外路症状もそれなりにあります。また、抗コリン作用にもとづく自律神経系の副作用もみられます。口の渇き、便秘、尿がスムーズに出ない、動悸などです。リスパダールは高プロラクチン血症がやや多く、セロクエルとジプレキサは高血糖に特に注意しなければなりません。

その他
クロザリル

非定型抗精神病薬の元祖、ただし他とは一線を画します。治療効果が高い反面、重篤な無顆粒球症や糖尿病の発症率が高いのです。そのため、第一選択薬とはせず、有効な治療薬が見いだせない治療抵抗性統合失調症に対し最後の切り札とします。最初は入院し、厳重な管理下で使います。


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<メモ>
  • 昔からの定型抗精神病薬は、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、混乱)によく効きますが、陰性症状(意欲低下、無感情、自閉)にはあまり効きません。また、錐体外路症状(体が勝手に動く、ふるえ)や高プロラクチン血症(生理不順、乳汁分泌)をはじめとする さまざまな副作用が問題となります。これらの弱点を、ある程度カバーできるのが新しい非定型抗精神病薬(SDA、MARTA、DSS、SDAM)の部類です。発病時あるいは急性期に対する初期治療にくわえ、再発を防ぐための維持療法にも適します。従来の定型抗精神病薬に代わり処方される機会が増えました。

  • SDA(Serotonin-Dopamine Antagonist)はセロトニン・ドーパミン アンタゴニスト(拮抗薬)と訳されます。従来の安定剤は、おもにドーパミン(D2)系神経の過剰伝達を抑えますが、SDAはドーパミンとセロトニン(5HT2A)の両方の神経を抑えます。さらに、ジプレキサでは、それらに加えアドレナリンやヒスタミン、ムスカリンなど多数の神経受容体に作用することから多受容体作動薬、略してMARTA(Multi-Acting Receptor Targeted Antipsychotics)と呼ばれています。

  • DSS(Dopamine System Stabilizer)とされるのがエビリファイです。ドパミン パーシャルアゴニスト(部分作動薬)という新しい作用機序を持つもので、ドパミンD2・D3受容体に強い親和性を示しその伝達を阻害する一方で、アゴニストとして自ら適度なドパミン神経伝達をおこないます(内活性)。そして、神経伝達が亢進していれば抑制的に、逆に低下していれば強める方向で作用するものと考えらます。

  • SDAM(Serotonin-Dopamine Activity Modulator)のレキサルティは、ドパミン系とセロトニン系の両神経を調整します。ドパミンD2受容体とセロトニン5-HT1A受容体においては、アンタゴニストとして阻害作用を示す一方で、アゴニストとしての内活性作用を併せ持ちます(パーシャルアゴニスト)。また、セロトニン5-HT2A受容体に対してはアンタゴニストとして阻害的に作用します。ドパミン系を主とするエビリファイと比べ、セロトニン系への作用が強力なこと、ドパミンD2受容体に対する刺激作用が弱く機能的アンタゴニストであること、すなわち固有活性が低いパーシャルアゴニストという点で大きく異なります。

  • 便利な製剤がいろいろと開発されています。通常の錠剤や細粒剤のほかに、水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)、口あたりのよい水薬、1日1回服用タイプの徐放性製剤、さらには2週間に1回で済む注射薬もあります。ライフスタイルや好みに応じて使い分けることが可能ですので、興味のある方は医師と相談してみるとよいでしょう。

    
    

 
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