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成分(一般名) アリピプラゾール
製品例 エビリファイ錠1mg~3mg~6mg~12mg、エビリファイOD錠3mg~6mg~12mg~24mg、エビリファイ散1%、エビリファイ内用液0.1%(1~3~6~12mL) ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(DSS)/抗精神病薬

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 心の具合を調整し、気持ちをおだやかにするお薬です。心の病気の治療に用います。
作用
気持ちの高ぶりや不安感をしずめ、また停滞した心身の活動を改善します。こうした作用から、もともとの適応症である統合失調にかぎらず、強い不安感や緊張感、興奮状態、うつ状態などさまざまな精神症状に応用されています。


【働き-1】

心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴など幻覚、妄想を生じることも多いです。

このお薬は、そのような脳内の情報伝達系の混乱を改善します。おもな作用は、ドーパミンという神経伝達物質の働きを調整することです。統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。

統合失調症はめずらしくなく、100人に1人くらいかかる一般的な病気です。特別視することはありません。この薬をはじめ、よい薬がいろいろとあります。薬物療法を中心に きちんと治療を続ければ、普通の社会生活が送れます。

【働き-2】

双極性障害いわゆる躁うつ病は、躁とうつの気分エピソードを繰り返す心の病気です。躁状態がひどくなると、落ち着きがなくなり、妙にはしゃいだり、怒りっぽくなったり、さらには判断力が低下し行動がエスカレートしてしまいます。逆に、うつ状態に入ると、気分が落ち込み、やる気がなくなり、悲観的になります。再発率が高いのもこの病気の特徴で、長期にわたる治療が必要です。

このお薬のもう一つの効能は、そのような双極性障害における躁症状の改善です。気分の高揚をしずめ、躁症状を落ち着かせるのに役立ちます。実際の臨床試験においても、重症度を示す点数(ヤング躁病評価尺度)の明らかな低下が示されています。この薬を3週間飲んでいた人達(122人)の下げ幅が平均12点(28→16)だったのに対し、プラセボ(にせ薬)を飲んでいた人達(125人)は6点(28→22)しか下がりませんでした。この薬を飲んでいたほうが下げ幅が大きく、躁症状がおさまることが確かめられたわけです。

【働き-3】

うつ病にも適用します。気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、不安、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。はじめから使うのではなく、一般的な抗うつ薬で効果不十分な場合に補助的に用います。抗うつ薬にはドパミン神経伝達の低下を改善する作用がないので、この薬で その作用を補完できるものと考えらます。

実際の臨床試験においても、うつ病の重症度を示す点数(MADRS)の低下が示されています。抗うつ薬にくわえてこの薬を6週間併用した人達(197人)の下げ幅が平均10点(25→15)だったのに対し、プラセボ(にせ薬)を併用した人達(195人)は7点(25→18)の低下にとどまりました。この薬を飲んでいたほうが下げ幅が大きく、うつ症状がより改善されることが確かめられたわけです。

【働き-4】

さらに、小児期自閉スペクトラム症(自閉症、アスペルガー症候群等)の易刺激性にも使えるようになりました。易刺激性の具体的症状として攻撃性や自傷行為があげられます。たとえば、新しい場面や急な出来事、思い通りにならないとき、悪い記憶の思い出しなどちょっとしたきっかけで機嫌を損ね、かん高い声で訴えたり、怒って物を壊したり、自分の体を強く叩いたりすることがあるのです。このお薬は、そのような易刺激性をやわらげるのにも有効です。

【薬理】

ドパミン・システムスタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)といい、おもに脳内ドパミン系神経に調整的に働きます。薬理学的にはドパミンD2・D3受容体部分作動薬またはパーシャルアゴニストと呼ばれ、アンタゴニストとしてドパミン阻害作用を示す一方で、アゴニストとしての内活性作用をあわせ持ちます。そして、脳内でドパミンが過剰に放出されているときには阻害薬として抑制的に働き、逆にドパミンが不足しているときにはきドパミン作動薬として活性化する方向で作用するのです。さらに、セロトニンに対しても、同様に調整的に作用することが示されています(セロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニスト、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト)。
特徴
  • 新しいタイプの非定型抗精神病薬です(第3世代抗精神病薬)。ドパミン系神経を正常状態に安定化させる調整薬で、ドパミン・システムスタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)と呼ばれています。その特徴的な作用にもとづき、従来からの統合失調症の効能にくわえ、双極性障害、うつ病、自閉スペクトラム症に対する効能を新たに取得しています。副作用も少ないことから、旧来の定型抗精神病薬に代わり たいへんよく処方されるようになりました。
  • 統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方に効果があります。情動安定化作用や再発予防効果が期待でき、また過鎮静を生じにくいので、長期の維持療法に適します。一方、速効的な鎮静作用は弱いので、強い不安や興奮、混乱状態などをともなう急性増悪例には不向きです。
  • 従来の抗精神病薬に比べ、錐体外路症状(ふるえ、こわばり)や高プロラクチン血症(生理不順、乳汁分泌)、眠気、過鎮静、体重増加などの副作用が比較的少ないです。一方で、錐体外路症状のうちアカシジア(じっとできない、そわそわ感)の頻度が高く、また高血糖を生じるなど特異な副作用もみられます。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 他の薬と相互作用を起こしやすい性質があります。別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に伝えておきましょう。
  • 副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、よく説明を受けておきましょう。

【注意する人】
  • 糖尿病またはその既往歴のある人、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満などで糖尿病発症リスクの高い人は、治療上の有益性を十分考慮のうえ、処方の適否を慎重に判断しなければなりません。
  • 肝臓の悪い人、心臓病、低血圧、てんかん、高齢の人、自分のいのちを絶ちたいという思いが強い人なども、慎重に使用する必要があります。
  • 寝たきり、または手術後などで長時間体を動かせない人、脱水状態の人、あるいは肥満のある人は血栓塞栓症の発現に念のため注意が必要です。
  • 認知症関連の精神症状に対する適応外使用例において、死亡率が1.6〜1.7倍高かったという研究報告があります。認知症における安易な使用は控えるべきでしょう。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

他の安定剤など脳の神経をしずめる薬と併用すると、作用が強くなりすぎるかもしれません。逆に、パーキンソン病の薬では、お互いの作用が弱まることがあります。降圧薬との併用では、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります。また、抗コリン作用のある薬と併用すると、抗コリン性の副作用がでやすくなります。

  • 飲み合わせの悪い薬..アドレナリン(ボスミン)(アナフィラキシー救急治療は除く)。
  • 飲み合わせに注意..安定剤、降圧薬、抗パーキンソン病薬(レボドパ製剤等)、抗コリン作用薬(鎮痙薬、三環系抗うつ薬等)、マクロライド系抗生物質(クラリス、クラリシッド等)、アゾール系抗真菌薬(イトリゾール等)、抗てんかん薬(フェノバール、アレビアチン、テグレトール等)、リファンピシン(リファジン)、アルコールなど。

【使用にあたり】
  • 病状により飲み方が違います。指示された用法用量どおりに正しくお飲みください。少量より開始し、効果や副作用に注意しながら段階的に増量していくこともあります。すぐに効果がでなくても、決められた期間、きちんと続けることが大切です。
  • うつ病では、他の抗うつ薬(SSRI、SNRI等)と併用します。単独ではよい効果は望めません。
  • 口腔内崩壊錠のOD錠は吸湿性があるので、使用直前に乾いた手でシートから取り出し、直ちに口中に入れてください。また、シートから取り出すさいは、裏面のシートを剥がしたあと、ゆっくりと指の腹で押し出してください(強く押し出すと割れることがあります)。
  • OD錠は、舌の上にのせて唾液により崩壊しますので、水なしでも飲めます。ただし、口の粘膜からは吸収されませんので、唾液もしくは水で確実に飲み込んでください。また、寝たままの状態では、水なしで飲まないようにしましょう。
  • のどが異常に渇き、水をガブ飲みしてしまうときは、すぐに受診してください。血糖値が高くなっているかもしれません。
  • 脱力感、けん怠感、冷や汗、ふるえ、眠気、もうろうとするなどの症状に注意してください。血糖値が下がっているかもしれません。
  • 急に飲むのを中止すると反動で具合が悪くなることがあります。自分だけの判断で、急に中止したり、飲む量を変えてはいけません。

【検査】

血糖値の測定をおこなうことがあります。

【食生活】

眠気がしたり、注意力や反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険を伴う機械の操作、高所での危険な作業は避けましょう。
効能

【効能A】

統合失調症

【効能B】

双極性障害における躁症状の改善

【効能C】

うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)

  • [注意]選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤を併用して投与すること。

    ※選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI):フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)

    ※セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI):ミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバルタ)

【効能D】

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

  • [注意]原則として6歳以上18歳未満の患者に使用すること。
用法

【効能A】

通常、成人はアリピプラゾールとして1日6〜12mg(6〜12mL)を開始用量、1日6〜24mg(6〜24mL)を維持用量とし、1回又は2回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mg(30mL)を超えないこと。

  • [注意1]本剤が定常状態に達するまでに約2週間を要するため、2週間以内に増量しないことが望ましい。
  • [注意2]本剤の服用量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。(増量による効果の増強は検証されていない。)
  • [注意3]他の抗精神病薬から本剤に変更する患者よりも、新たに統合失調症の治療を開始する患者で副作用が発現しやすいため、このような患者ではより慎重に症状を観察しながら用量を調節すること。

【効能B】

通常、成人はアリピプラゾールとして12〜24mg(12〜24mL)を1日1回経口服用する。なお、開始用量は24mg(24mL)とし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mg(30mL)を超えないこと。

  • [注意1]本剤が定常状態に達するまでに約2週間を要するため、2週間以内に増量しないことが望ましい。
  • [注意2]躁症状が改善した場合には、本剤の服用継続の要否について検討し、本剤を漫然と服用しないよう注意すること。

【効能C】

通常、成人はアリピプラゾールとして3mgを1日1回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。

  • [注意1]本剤が定常状態に達するまでに約2週間を要するため、2週間以内に増量しないことが望ましい。
  • [注意2]本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等と併用すること。(うつ病・うつ状態に対して本剤単独服用での有効性は確認されていない)

【効能D】

通常、アリピプラゾールとして1日1mgを開始用量、1日1〜15mgを維持容量とし、1日1回経口服用する。なお、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として最大3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。

  • [注意1]本剤が定常状態に達するまでに約2週間を要するため、2週間以内に増量しないことが望ましい。
  • [注意2]定期的に安全性及び有効性を評価し、漫然と長期にわたり投与しないこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、体の勝手な動き、じっとできない、手足のふるえ、こわばり、不眠または眠気、傾眠、不安感、頭痛、めまい、吐き気、便秘、体重増加などです。軽いものがほとんどですが、体重の変動は糖尿病発症のサインのこともありますので注意が必要です。そのほか、女性ではプロラクチンというホルモンが低下し、生理に影響することがあります。

重い副作用として、血糖値の変動による昏睡や意識障害の報告があります。高血糖のサインとしては、のどが異常に渇く、多飲、多尿、頻尿などがあげられます。逆に低血糖を起こすと、脱力感やけん怠感、冷や汗、ふるえ、眠気などが現れます。どちらの場合も、すぐに受診してください。もともと血糖値が高めの人や太りぎみの人は、定期的に血糖値の検査を受けましょう。

めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐに医師に連絡してください。とくに、高齢の人、体の弱っている人、薬の量を増やしたときなどに出現しやすいものです。ご家族や周囲の方も注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
  • 低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • 遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
  • 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
  • アナフィラキシー様症状..じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
  • けいれん..めまい、頭痛、ふるえ、手足のしびれ感、筋肉のぴくつき、意識低下、全身けいれん。
  • 無顆粒球症、白血球減少..発熱、のどの痛み、口内炎、咳、痰、だるい。
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。

【その他】
  • 錐体外路症状..指や手足のふるえ、体のこわばり・つっぱり、ひきつけ、体が勝手に動く、じっとできない、そわそわ感、動作がにぶい、無表情、よだれが多い、目の異常運動(正面を向かない、上転)、舌のもつれ、うまく歩けない。
  • 不眠、眠気、傾眠、神経過敏、不安、頭痛、めまい
  • 吐き気、食欲不振、食欲亢進、便秘
  • 立ちくらみ、動悸、不整脈
  • 体重増加、体重減少、プロラクチン低下、生理異変

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。