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妊娠とくすりTop / 2.妊娠とくすり概説 /(2) 薬危険度(催奇形性と胎児毒性)


(2) 薬危険度(催奇形性と胎児毒性)

薬の胎児への悪い作用は大きく2つに分かれます。奇形をつくる「催奇形性」と、発育や機能を悪くする「胎児毒性」です。とくに、催奇形性についてとても心配されるお母さまが多いようです。けれど、実際に薬が原因で奇形を生じるのはきわめてまれなことです。


催奇形性について

薬とは関係なく、いろいろな奇形が自然に発生します。わりとふつうにみられるのは、心室中隔欠損症などの心臓の異常、外奇形では口唇裂や口蓋裂が代表的です。そのほか、二分脊椎など神経系の障害もあります。このような先天奇形をぜんぶ合わせると、100人に2人ないし3人くらいの割合になります。程度にもよりますが、その多くは手術で十分治すことができます。

原因についてははっきり分からないことが多いようですが、遺伝的な要因と環境要因が考えられています。このうち薬が原因となるのは、奇形全体の1%にすぎないといわれます。ある意味、奇形を生じるのは確率的な問題で、すべての妊婦さんに共通のリスクなのです。

薬による催奇形性が認識されるようになったのは、1960年代のサリドマイド事件がきっかけです。サリドマイドの反省と教訓は、その後の医療や薬事行政にも生かされています。妊娠中に薬が必要な場合は、安全性が考慮され慎重に使用されるようになりましたし、新薬の開発にあたっては催奇形性の厳重なチェックが要求されます。ふつうの日常的な病気に用いる薬で、強い催奇形性が疑われるときは、販売することもできません。誰でも自由に買える市販薬はなおさらです。実際に使われている薬で、人での催奇形性が確認されているのは一握りの特殊な薬だけです。

危険度の高い薬としては、乾癬治療薬のエトレチナート(チガソソン)、C型肝炎治療薬のリバビリン(レベトール)、抗凝血薬のワルファリン(ワーファリン)、特殊なホルモン系の薬、放射性医薬品、抗てんかん薬、一部の抗がん剤や免疫抑制薬などがあげられます。これらの薬を妊娠初期に大量に用いると奇形の危険性が高まります。したがって、医師による厳重な管理のもとで使用されます。事前に妊娠チェックをしたり、服用中は妊娠しないようにきびしくいわれるものです。

奇形という意味で、もっとも注意が必要な時期は赤ちゃんの基本的な形が作られる妊娠初期です。とくに2ヶ月目が重要。妊娠後期になるほど危険性が低くなります。


胎児毒性について

おなかの赤ちゃんの発育や機能に悪い影響をすることを「胎児毒性」といいます。多くの薬は胎盤を通過して、胎児にも入っていきます。まだ薬に対する抵抗力が弱いので、薬の作用が強くでてしまうことがあるのです。さらに、生まれてくる赤ちゃんに薬の影響が残ることもあります。

胎児毒性については、薬の薬理作用からある程度予測ができます。たとえば、妊娠末期に睡眠薬をたくさん飲んでいると、生まれてくる赤ちゃんも眠りがちになってしまいます。また、鎮痛薬の大量連用は胎児の血管を収縮させ、新生児肺高血圧症の原因にもなりかねません。腎臓の働きを悪くして尿量を減少させ、羊水過少をまねくおそれもあります。

このような胎児毒性は、妊娠初期よりも後期から分娩に近いほど影響がでやすくなります。一概に、妊娠後期に入ったから安心とはいえないのです。


その他の影響

子宮や胎盤に働きかける薬は、間接的に胎児の成長を悪くしたり、場合によっては流産や早産の原因にもなりかねません。胃潰瘍に用いるミソプロストール(サイトテック)という薬は、子宮を収縮させて流産を起こす危険性が高いので、妊娠の可能性のある女性には禁止されています。逆に、子宮の収縮を弱めるカルシウム拮抗薬や鎮痛薬、気管支拡張薬などでは、出産を抑制したり長びかせるおそれがあります。


    
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