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妊娠とくすりTop / 1.はじめに


(1) はじめに

おなかの赤ちゃんに悪い作用をしては困りますね。妊娠中の薬については、たいへん心配なことと思います。でも、実際のところはどうなのでしょうか・・。結論から申しますと、ほとんどの薬には心配するような危険性はありません。

妊娠中に薬を飲んでいなくても、ちょっとした先天異常(奇形)は100人に2人くらいの割合でみられます。これは確率的な問題でもあり、どの人もリスクは同じです。大部分の薬は、そのような奇形の自然発生率を高めることはないのです。いいかえれば、奇形の発生率を5倍にも10倍にも高めるような危険な薬は、ごく一部の特殊な薬だけということです。そのような薬は、使用前に妊娠テストをしたり、あらかじめ使用期間中に妊娠しないように申し付けられるものです。

おなかの赤ちゃんに奇形を作る作用のことを「催奇性」とか「催奇形性」といいます。また、赤ちゃんの発育や機能に悪い影響をすることを「胎児毒性」といいます。これらについては、薬が発売される前に動物実験で厳重なチェックがおこなわれます。抗がん剤など一部の薬を除き、催奇性が強い危険な薬が発売されることもありません。誰でも買える市販薬についてはなおさらです。

ただし、人での安全性を厳密に確かめることはなかなかできません。また、より万全をきすという意味でも、不必要な薬は飲まないに越したことはありません。無用な心配もしなくてすみます。妊娠中やその可能性のあるときは、市販薬も含め、必ず医師や薬剤師の指導のもとで使用してください。妊娠をいち早く知るために、日頃から基礎体温をつけることも大切なことだと思います。

はじめにも述べたように、先天異常は妊婦さんの2%くらいに生じます。一部の特殊な薬は、その危険性を少し高めるかもしれません。もちろん五体満足のほうがいいに決まってます。けれど、奇形や障害があったとしても、そのことだけが人の幸福を左右するものではありません。体に障害があっても、普通の人以上に幸せにされている方はたくさんいらっしゃいます。

(2) 妊娠中の薬の影響度

先天異常の原因はよく分かっていませんが、その多くは遺伝的要因と環境要因の兼ね合いと考えられています。また、染色体異常(ダウン症等)は、出産年齢に比例して増加することが知られています。ある意味、確率的なことであり、すべての女性に起こりえる問題でもあるのです。100%安全な妊娠出産というのはありません。

環境要因の具体的な例としては、妊娠時の感染症(たとえば風しんやトキソプラズマ症)、病気(たとえば未治療の糖尿病やてんかん)、高温、食事(多量のレバー等)、栄養不足(極端な偏食やダイエット)、アルコール、タバコ、食品添加物、違法な農薬(プリクトラン等)、環境ホルモン(ビスフェノールA等)、環境汚染(ダイオキシン、水銀等)・・・、そして薬があげられます。薬が原因の奇形は、すべての奇形の約1%ほどと推測されています。ですから、100人に2人の割合で奇形が発生するなら、薬が原因の奇形は10000人に2人になる計算です。実際に薬の影響を受けて奇形ができる頻度は非常に少ないと推測できるのです。

(3) 妊娠に気づかずに飲んだ薬

妊娠に気づかないで薬を飲んでいたとしても、多くの場合、心配するほどのことではありません。あまり悩まないで、念のため主治医か産婦人科医に相談なさってください。日常的な病気の薬、たとえばカゼ薬、頭痛薬、胃薬などを通常の範囲で使用されていたのでしたら、まず問題ないことでしょう。市販薬にも危険性の高い薬はありません。

東京の虎の門病院では、「妊娠と薬 相談外来」を開設されています。これまでに、6000件以上の相談をおこない、そのうちの99.9%は心配のないケースだったそうです。たとえば、同病院の相談事例によると、妊娠初期に代表的な解熱鎮痛薬のアスピリンを服用した23人、エテンザミドを服用した39人、アセトアミノフェンを服用していた6人、ともに健康な赤ちゃんを出産されています。

病院の薬には妊娠中に禁止されている薬(妊婦禁忌)がたくさんあります。ただし、危険度のレベルは、薬によりまちまちです。本当に危険度の高い薬は、これらのなかでもほんの一部です。また、服用量、服用時期によっても危険度が違ってきます。たまたま妊娠中に禁止される薬を飲んでしまったからといって、必ずしも危険性が高いわけではないのです。早まって妊娠中絶などと考えてはいけません。北大病院産婦人科の調査によると、妊婦939人中、15人(1.6%)が妊娠初期に催奇性が考えられる薬を飲んでいましたが、15人とも障害のない健康な赤ちゃんを出産されたそうです。

もちろん、危険な薬はごく一部といっても、不必要な薬は飲まないに越したことはありません。妊娠の可能性のある女性で、とくに生理が遅れているときなど、薬の安易な使用は慎むべきです。妊娠をはやく知るには、やはり基礎体温をつける習慣が大切です。また、妊娠中に新たに病院にかかるときは、妊娠していることを必ず医師に伝えておいてください。

(4) 慢性疾患の治療中に妊娠を希望される場合

慢性疾患の治療中に妊娠を希望される場合は、事前に主治医とよく相談しておきましょう。妊娠してからあわてないですみますし、より影響の少ない安全な薬に変更しておくこともできます。医師の管理のもと、計画的に妊娠、出産されれば安心です。「妊娠中に使われる薬(慢性の病気)」も参考にしてください。

(5) 虎の門病院の「妊娠と薬相談外来」のご紹介

妊娠中の薬について心配のあるときは、まず、担当の医師もしくは薬剤師によく相談されてください。それでも不安や疑問が残るのでしたら、第三者に相談してみるのもよいでしょう。

東京港区の虎ノ門病院では、毎週水曜日に「妊娠と薬 相談外来」を開かれています。相談件数は、1988年からこれまでに6000件以上にもなるそうです。薬の詳しい情報を知ることができ、また胎児への影響度を総合的に判定してもらえます。完全予約制で、相談を受けるには事前に連絡をしておく必要があります。保険はききませんので1回9000円の実費負担がかかります。

そのほか、新潟大学医学部付属病院でも同様な相談外来を週1回おこなっています。

※虎ノ門病院 薬剤部医薬情報科(TEL:03-3588-1111、内線3411)..同病院案内
※新潟大学医学部付属病院(TEL:025-223-6161)

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