胃薬(胃炎1)
▼胃粘膜保護薬-1
※アルサルミン、マーズレンS、イサロン、プロマック、アルロイドGなど
荒れた胃の粘膜を保護し修復を助けるお薬です。胃の粘膜に直接働くので、食前や食間、また就寝前に飲むことがあります(指示どおりに)。アルサルミンは臨床試験の実績があり、海外でも高く評価されています。
▼胃粘膜保護薬-2
※セルベックス、ムコスタ、ガストローム、アプレース、ウルグート、ガスロンN、ソロン
胃の粘膜を丈夫にするお薬です。粘液分泌促進作用や、胃粘膜の血流を改善する作用があります。強力とはいえませんが、副作用はほとんどありません。ウルグートは妊娠中の服用が禁止されます。
▼制酸薬
※酸化マグネシウム(カマ、カマグ)、マーロックス、アルミゲル、ネオ・ユモール、キャベジンUなど
ゆっくりと胃酸を中和する制酸薬です。マーロックスには胃粘膜を保護する作用があり、胃炎や胃潰瘍の治療に広く用いられます。ネオ・ユモールとキャベジンUには、制酸薬のほか胃粘膜保護薬などが配合されています。
▼鎮けい薬(抗コリン薬)
※ブスコパン、コリオパン、チアトン、セスデン、プロ・バンサイン、ロートエキス、コランチル、メサフィリン
胃のけいれん性の痛みを止めるお薬です。胃酸をおさえる作用も少し期待できるかもしれません。コランチルとメサフィリンには、鎮けい薬(抗コリン薬)のほかに制酸薬なども配合されています。鎮けい薬は抗コリン作用にもとづく"消化管運動抑制薬"とみなすこともできます。
▼ムスカリン拮抗薬、抗ガストリン薬
※ガストロゼピン、プロミド
胃酸の分泌をおさえ、荒れた胃粘膜の治りをよくします。また、胃痛やむかつきなどの胃炎にともなう諸症状を軽減します。ガストロゼピンは、ムスカリン受容体への刺激をおさえて、胃酸の分泌を減らします。プロミドは、ガストリン細胞の刺激をおさえることで、胃酸分泌を抑制します。
▼H2受容体拮抗薬(H2RA)
※タガメット、ザンタック、ガスター、アルタット、アシノン、プロテカジン
強力な酸分泌抑制作用をもつ胃薬です。原則、胃粘膜に病変がみられる胃炎に適用しますが、気質的な病変がない慢性胃炎や機能性ディスペプシアにも応用されます。機能性ディスペプシアでは、胃痛や胸やけ、ゲップ、むかつきなどをともなう場合に用いられることがあります。詳細は「胃薬(潰瘍1)」のページも参照ください。
▼プロトンポンプ阻害薬(PPI)
※オメプラール、オメプラゾン、タケプロン、パリエット、ネキシウム、タケキャブ、(ランサップ)、(ラベキュアパック)、(ボノサップパック)、(ランピオンパック)、(ラベファインパック)、(ボノピオンパック)
PPIことプロトンポンプ阻害薬は、最強の胃酸分泌抑制薬です。胃炎は保険適用症ではありませんが、H2受容体拮抗薬で効果不十分な場合や、胃痛や胸やけ、むかつきなどの症状が強い場合に処方されることがあります。ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対しては3剤併用除菌療法(ランサップ、ラベキュア、ランピオン、ラベファイン)として保険が適用されるようになりました。詳細は「胃薬(潰瘍1)」のページを参照ください。
▼その他
※ストロカイン
胃の粘膜に麻酔的に作用し、胃の痛みをやわらげます。もたれ、胸やけ、吐き気をとる働きもあります。
<メモ>
●胃炎の病態はさまざまです。まず急性なのか慢性なのかで急性胃炎と慢性胃炎に分かれます。そして、内視鏡検査で胃粘膜に炎症や萎縮などの病変がみつかる場合と、みつからない場合があります。病変がない場合でも、従来は慢性胃炎として一様に診断名が付けられましたが、近年は機能性消化管障害のひとつ「機能性ディスペプシア」として診断されるようになりました。
●胃炎の薬には非常にたくさんの種類があります。その中から、症状に合わせて数種類の胃薬を併用することが多いです。病変がある場合には、胃粘膜保護薬やH2受容体拮抗薬をはじめとする酸分泌抑制薬が用いられます。一方、胃の働きが弱っている機能性ディスペプシアには次項の消化管運動促進薬や健胃薬の処方が適当です。
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