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▼アセトアミノフェン
アセトアミノフェンナパカロナール

アセトアミノフェンを有効成分とする古くからの鎮痛薬です。鎮痛効果は次のNSAIDsに比べやや劣りますが、比較的安全性が高く長期服用にも適します。初期の軽度から中等度の痛みに第一選択され、とくに腎臓が弱い人や胃潰瘍が心配される人、あるいは高齢の人に向きます。腰痛症や変形性関節症にはやや多めの量を用いる必要があり、この場合は肝障害に念のため注意が必要です。炎症(腫れ)をとる作用は弱いので、リウマチなど炎症をともなう強い痛みには向きません。

▼鎮痛消炎薬(NSAIDs)
ロキソニンボルタレンブルフェンモービックオステラックハイペンペオンインフリーナイキサンソレトンスルガムフルカムロルカムセレコックスなど多数。

この系統はいろいろな痛みに汎用されています。専門的に非ステロイド性抗炎症薬、略してNSAIDsと呼ばれる部類です。飲み薬のほかに坐薬もあります。日本では、炎症をともなう急性期の腰痛や関節症には、まずこの系統が処方されることが多いです。ただし、対症療法薬ですので、漫然と続けるのではなく、症状が改善したなら早めに中止するようにします。慢性疼痛で長期服用のさいは、胃潰瘍など胃腸障害、肝障害や腎障害などに注意が必要です。

▼オピオイド鎮痛薬
トラマールワントラムトラムセットノルスパン(貼り薬)

オピオイドは一般的な鎮痛薬とは効きかたが違います。適応も異なり、急性期ではなく、慢性的に長引く痛みに対してです。また、初めから使うのではなく、非オピオイド系の一般的な鎮痛薬(NSAIDs、リリカなど)で効果不十分な場合に用いられます。トラマールとワントラムはトラマドールを有効成分とする弱オピオイド鎮痛薬で、腰痛症や変形性関節症をふくめ各種の慢性疼痛に幅広く適応可能です。トラマールは1日4回服用の即放性製剤、ワントラムは1日1回服用の徐放性製剤になります。次のトラムセットは、トラマドールとアニリン系鎮痛薬のアセトアミノフェンの配合剤です。アセトアミノフェンと併用することで、作用の増強と低用量化による副作用の軽減がはかれます。一方、ノルスパンはやや強いオピオイドになりますので、処方が考慮されるのは日常動作に支障となるような激しい痛みがある場合です。オピオイド特有の副作用として吐き気や嘔吐、便秘を起こすことがあります。

▼神経痛の薬
リリカタリージェ★newノイロトロピンサインバルタトリプタノールテグレトール

神経痛(神経障害性疼痛)に有効な薬剤です。このため、神経障害に起因する腰痛症や変形性関節症に処方されることがあります。リリカとタリージェは神経障害性疼痛を適応症とする新薬、次のノイロトロピンは正式な効能としても腰痛症が認められています。さらに、サインバルタやトリプタノールに代表される抗うつ薬、抗てんかん薬のテグレトールなども応用されます。サインバルタについては慢性腰痛症と変形性関節症の効能を追加取得しました。神経痛の薬については、前項もあわせて参照ください。

▼その他
ミオナールテルネリンデパスアリナミンFノイビタメチコバールビタメジンビタノイリンノイロビタン

筋緊張緩和薬のミオナールやテルネリンは、筋肉のこわばりやつっぱりをやわらげます。安定薬としてよく知られるデパスは、筋緊張緩和作用が期待されるほか、心因性疼痛にも好都合です。アリナミンFからノイロビタンまでは、ビタミンBの仲間です。ビタミンBは筋肉や神経の働きにかかわっています。単独では弱いので、補助的に他の鎮痛薬とともに処方されることか多いです。ビタミン剤は強い作用がないかわり、副作用の心配はありません。


<メモ>
●慢性疼痛は、急性期をすぎても痛みがおさまらず、慢性的に長引く痛みです。さらに慢性疼痛は、その機序や性質により侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛に分類されます。具体的には、おもに侵害受容性疼痛の要素をもつ腰痛症や変形性関節症、また代表的な神経障害性疼痛として帯状疱疹後神経痛や糖尿病性神経障害性疼痛などがあげられます。

●腰痛や変形性関節症の痛みのメカニズムは複雑でさまざまです。侵害受容性痛のほか、炎症性痛や神経障害性痛などが混在し複合的な要素をもつことがあります。さらに、心因性痛として、心理的な要因がからむことも少なくありません。治療は、鎮痛薬などによる薬物療法が中心となりますが、場合によっては手術がおこなわれます。最近は運動療法が見直されています。ただ安静にするのではなく、できる範囲で体を動かし歩くことが大事なのです。

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