下痢の薬-1
▼下痢止め薬
※ロペミン
腸の運動を強力に抑えて下痢を止めます。効果がよく汎用されますが、細菌性の下痢や潰瘍性大腸炎には適当ではありません。予防的な長期連用も避けます。便秘になった場合は、直ちに中止するようにしましょう。
▼鎮けい薬
※ロートエキス、ブスコパン、コリオパン、チアトン、セスデン、プロ・バンサイン、トランコロン、トランコロンP
抗コリン薬の部類です。上記のロペミンと同様に、腸の運動を抑える作用があるので、下痢や腹痛に有効です。チアトンとプロ・バンサイン、トランコロンは過敏性腸症候群の適応をもちます。
▼アヘンアルカロイド
※コデイン、ジヒドロコデイン、モルヒネ
一般的ではありませんが、他の薬が無効な頑固な下痢に用いられることがあります。
▼抗菌薬
※クラビット、ホスミシン、フラジール、バンコマイシン、ダフクリア、カナマイシン、その他各種抗菌薬
細菌性の食中毒や腸炎には、抗菌薬(抗生物質)の処方が検討されます。使用の可否は病態にもよります。クロストリジウム・ディフィシル菌による感染性腸炎(偽膜性大腸炎)には、フラジール、バンコマイシンまたはダフクリアが適当です。
<メモ>
●下痢の原因は さまざまです。食べすぎ・飲みすぎ、食中毒、過敏性腸症候群など比較的よくみられるものから、潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患によるもの、さらには膵炎や消化器がんなのが隠れていることもあります。急性の下痢症では、下痢を止めることよりも、まず原因をみきわめることが大切です。
●食中毒や細菌性の下痢は、有害物質を体外に排出させようとする自然な防衛反応です。このような場合、むやみに下痢を止めればよいというものではありません。下痢止め薬や、抗菌薬は慎重に用いるべきです。
●クロストリジウム・ディフィシル菌は毒素を産生する細菌の一種です。大腸内で増殖すると、下痢や腹痛を起こし、ときに重症化します。感染要因の一つは、抗菌薬の使用です。抗菌スペクトルの広い抗菌薬を続けていると、腸内細菌のバランスが乱れ、ディフィシル菌が異常に増殖してしまうことがあるのです。大腸に小さい円形の膜‘偽膜’を生じる偽膜性大腸炎の主要原因菌としても知られています。偽膜性大腸炎を含めディフィシル菌による感染性腸炎の治療には、フラジール、バンコマイシンまたはダフクリアなど特別な抗菌薬を用いる必要があります。
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