$Eu乾癬の薬(その他)

▼PDE4阻害薬(内用)
オテズラ

乾癬の治療に用いる飲み薬です。飲み薬による全身療法は、外用剤による局所療法で効果不十分な中等症から重症例に用いられます。オテズラは、炎症を引き起こす体内物質‘炎症性サイトカイン’の産生をおさえ、過剰な炎症反応を抑制することにより、乾癬の諸症状を改善します。適応症は、尋常性乾癬と関節症性乾癬です。重い副作用は少ないですが、飲み始めに吐き気や下痢など消化器症状を起こしやすいです。これを避けるため、スターターパックを使い徐々に増量する必要があります。

▼レチノイド(内用)
チガソン

チガソンの有効成分はビタミンAに近いレチノイドの一種です。皮膚の角化をおさえ、皮膚症状を軽減します。副作用として、肝障害、脂質代謝異常、過骨症などに注意が必要です。奇形を作る作用が強いので、妊娠可能な女性には原則用いません。

▼免疫抑制薬(内用)
ネオーラルサンディミュンリウマトレックス

ネオーラルとサンディミュンの有効成分はどちらも免疫抑制薬のシクロスポリンです。リウマトレックスは免疫抑制薬とされませんが、同様の性質を持ちあわせます。炎症性サイトカインの産生をおさえるなどして皮膚や関節の炎症反応をしずめるのです。通常、軽症例には用いません。乾癬があちこちにでき、局所療法で効果不十分な中等症~重症例に適用します。よい効果が期待できる一方、感染症をはじめとする副作用の発現に十分な注意が必要です。ネオーラルは腎障害を起こしやすいため、腎臓の検査(クレアチニン値測定)が欠かせません。

▼生物製剤(注射)
※レミケード、ヒュミラ、ステラーラ、コセンティクス

乾癬の治療に用いる強力な注射薬です。乾癬の発症に深くかかわる炎症性サイトカイン(TNFα、IL-12/23、IL-17)をおさえる作用があります。適応となるのは既存療法で十分な効果が得られない場合です。すなわち、外用療法、内服療法または光線療法(紫外線療法)では不十分な重症例や難治例あるいは関節症状をともなう関節症性乾癬にかぎります。ステラーラは乾癬の専門薬として開発され、3カ月に1回の注射で症状のコントロールが可能です。新薬のコセンティクスは一段と効果が高く、寛解率(PASI90)80%を達成しています。いずれも、免疫が弱まるので、結核をはじめとするさまざまな感染症に十分な注意が必要です。


<メモ>
●乾癬は病状により、いくつかのタイプに分かれます。皮膚の紅斑と鱗屑(りんせつ)を特徴とする尋常性乾癬、皮膚症状に加え炎症性関節炎をともなう関節症性乾癬、さらには膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症や滴状乾癬なども知られています。いずれも、慢性に推移し、よくなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。
●軽い尋常性乾癬なら外用剤だけで治療可能です。外用剤で十分な効果が得られない中等症以上の尋常性乾癬や関節症性乾癬には外用療法に加え飲み薬による全身療法をおこないます。さらに難治な重症例には生物製剤による全身療法が試みられます。
●乾癬の皮膚症状はPASI点数で評価します。PASI は皮膚病変(紅斑、浸潤、落屑)の程度と範囲を点数化した評価指標で、点数が低ければ軽症、高いほど重症です。PASI 75達成率は、PASI点数が75%以上低下(改善)した人の割合で、臨床的に意義ある改善として広く受け入れられています。 ちなみに、オテズラのPASI 75達成率はおおよそ30%、チガソンは20%、シクロスポリンで30~90%程度と報告されています(異なる試験間のデータであり単純には比較できません)。

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