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成分(一般名) モルヒネ塩酸塩
製品例 パシーフカプセル30mg~60mg~120mg、オプソ内服液5mg~10mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 アヘンアルカロイド系麻薬/モルヒネ系/癌疼痛治療用内服液剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 がんの痛みを抑えるお薬です。
作用

【働き】

激しい痛みは心身を疲弊させ、平穏な日々を送るのに何よりの障害となります。このような痛みを無理にがまんする必要はありません。昔と比べ、痛みに対する理解が深まり、その治療も系統的にきちんと行われるようになりました。

このお薬には、痛みをおさえる強力な作用があります。とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい各種のがんの痛みに有効です。初めから使うのではなく、他の鎮痛薬で十分な効果が得られないがん性疼痛に限り用います。

【薬理】

中枢や末梢に広く分布するオピオイド受容体の主要な生理機能として、痛みの神経伝達経路を抑制方向に調整する働きがあげられます。つまり、オピオイド受容体が刺激を受けると、痛みを伝える神経の侵害刺激伝達が直接抑制され、また別の神経系統の下行性抑制系神経を介して間接的にも痛みが抑制されるのです。

この薬は、そのオピオイド受容体と結合することで、強力な鎮痛効果を発揮します。作用点であるオピオイド受容体にはいくつかの種類が知られていますが、鎮痛にかかわるのは、おもにμ(ミュー)受容体、次いでκ(カッパ)受容体です。この薬は、その2つを含めすべての受容体に活性を示します。専門的に、非選択的オピオイド受容体作動性の強オピオイド鎮痛薬ということができます。
特徴
  • モルヒネを有効成分とするオピオイドと呼ばれる部類の鎮痛薬です。そのなかでもとくに強力な麻薬系の強オピオイド鎮痛薬になります。有効限界がない完全作動薬とされ、用量増加とともに作用も増強します。WHO方式がん疼痛治療法で第3段階に位置づけられ、中等度から高度の疼痛に適します。モルヒネは強オピオイドの第一選択薬として推奨されています。
  • モルヒネは、ケシの実から採取されるアヘン由来の歴史ある薬剤です。強オピオイドの標準薬として、がん疼痛治療に古くから用いられています。最近は、さまざまな製剤が開発され、痛みのコントロールが楽になりました。パシーフは速放性粒と徐放性粒が充てんされた効き目の長い徐放性カプセルです。このため、持続痛をおさえるための基本薬として定時使用します。一方、効き目の早いオプソ内服液は、レスキュー薬として一時的に増強する突出痛の除痛にも便利です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 別に薬を飲んでいる場合は、その薬を医師に教えてください。
  • 具体的な使用方法や注意事項、副作用について十分説明を受けてください。その内容をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

呼吸の弱っている人は使用できないことがあります。また、心臓病、てんかん、喘息などのある人は、病状の悪化に注意するなど慎重に用います。肝臓病や腎臓病があると、薬の代謝・排泄が遅れやすいので、副作用の発現に十分な注意が必要です。細菌性下痢症のある人は原則禁止です。

  • 適さないケース..重い呼吸抑制、細菌性下痢症、重い肝臓病、けいれん状態、喘息発作中、出血性大腸炎のある人など。
  • 注意が必要なケース..心臓病、腎臓病、肝臓病、喘息、てんかん、甲状腺機能低下症、胆石、前立腺肥大症などで尿の出の悪い人、腸に閉塞や通過障害のある人、体の弱っている人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 飲酒量低減薬のナルメフェン(セリンクロ)とは併用できません。ナルメフェンによりこの薬の鎮痛作用が減弱するためです。通常、この薬を優先しますが、ナルメフェン中止後1週間以内は避けなければなりません。ナルメフェン服用中に、この薬が必要になった場合は、少なくとも1週間前にナルメフェンを中断する必要があるわけです。緊急の手術などで、内服液をやむを得ず併用する場合は、慎重に漸増します。
  • 安定剤など脳の神経をしずめる薬と併用すると、いろいろな副作用がでやすくなります。眠気やふらつき、過度の鎮静、呼吸抑制、低血圧などに注意が必要です。
  • 一部の安定剤や抗うつ薬(三環系)、胃腸薬(鎮痙薬)との併用により、便秘や排尿困難などの副作用がでやすくなります。
  • 抗凝血薬のワルファリンの作用を増強するおそれがあります。
  • 飲酒は控えてください。めまいや眠気、呼吸抑制などの副作用がでやすくなります。

【使用にあたり】
  • 痛みの程度や薬の種類で飲み方が違います。用法・用量は医師が決めますから、その指示どおりに使用してください。
  • パシーフは1日1回決められた時間に服用してください。オプソ内服液は1日6回4時間毎を基本としますが、寝る前に2回分を合わせて飲んでもかまいません。また、突出痛に頓服する場合は1日量の1/6量を目安とします。
  • ふつう、少な目で開始し、効き具合をみながらちょうどよい量に調整します。もし、痛みが残るようでしたら、遠慮なく医師に申し出てください。逆に、痛みは消失したものの、異常に強い眠気に悩まされる場合は、減量の余地があるかもしれません。
  • 痛みが治まらなくなってきた場合、適宜増量することも可能です。ただし、安易に増量するのでなく、痛みの取れる必要最少量とします。
  • 長期服用後に中止する場合は、医師の指示のもと徐々に減量するようにします。
  • 痛み止めとして他人にあげてはいけません。何らかの理由で、不用となった場合は、病院または薬局へ返却してください。
  • 子供の手の届かないところに保管しましょう。

【食生活】
  • 昼間から眠りがち、意識がぼんやり、変なことを言う、あるいは呼吸が弱いなど呼吸抑制がみられる場合は、直ちに医師に連絡してください。
  • 人によっては、眠気やめまいを起こします。車の運転など危険な操作や作業は避けましょう。

【備考】

がん疼痛治療のお手本にWHO方式があります。痛みの強さを3段階に分け、段階的に鎮痛薬を選択する方法です。軽い痛みには、まず第1段として一般的な非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン)を定時使用します。それで効果不十分な中くらいの痛みには、第2段階として弱オピオイド(コデイン、トラマドール)を追加します。さらに第3段階では、第1段階の薬剤に麻薬系の強オピオイド鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル)を追加し定時使用します。定時薬使用中の突出痛に臨時に用いるのが即放性の強オピオイドいわゆるレスキュー薬です。
効能

【パシーフ】

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛

  • 注意:本剤は持続性疼痛治療剤であり、疼痛増強時や突発性の疼痛が発現した場合の追加服用(レスキュードーズ)には使用しないこと。

【オプソ内服液】

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
用法
【パシーフ】
<用法・用量>

通常、成人はモルヒネ塩酸塩水和物として1日30〜120mgを1日1回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
<初回服用>

本剤の服用開始前のオピオイド系鎮痛薬による治療の有無を考慮して初回服用量を設定することとし、すでに治療されている場合にはその服用量及び鎮痛効果の持続を考慮して副作用の発現に注意しながら適宜服用量を調節すること。

(1)モルヒネ硫酸塩徐放剤から本剤へ変更する場合:モルヒネ硫酸塩徐放剤の1日服用量と同量を、本剤の1日服用量の目安とすること。

(2)オキシコドン塩酸塩徐放剤から本剤へ変更する場合:オキシコドン塩酸塩徐放剤1日服用量の1.5倍量を、本剤の1日服用量の目安とすること。

(3)経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合:経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から服用することを考慮すること。
<疼痛増強時>

本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちにモルヒネ速溶性製剤の追加服用(レスキュードーズ:1日服用量の6分の1量を目安とする)を行い鎮痛を図ること。
<増量>

本剤服用開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行うこととし、増量する場合は1日あたり30mg増あるいは30〜50%増とする。
<減量>

連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
<服用の中止>

本剤の服用を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。

【オプソ内服液】
<用法・用量>

通常、成人はモルヒネ塩酸塩水和物として1日30〜120mgを1日6回に分割し経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
<臨時追加服用(レスキュー・ドーズ)として使用する場合>

本剤の1回量は定時服用中のモルヒネ経口製剤の1日量の1/6量を目安として服用すること。
<定時服用時>
  • 初めてモルヒネ製剤として本剤を使用する場合:1回5〜10mgから開始し、鎮痛効果および副作用の発現状況を観察しながら、用量調節を行うこと。
  • 定時服用時の服用間隔:1日量を6分割して使用する場合には、4時間ごとの定時に経口服用すること。ただし、深夜の睡眠を妨げないように就寝前の服用は2回分を合わせて服用することもできる。
<他のオピオイド製剤から本剤へ変更する場合>

前服用薬剤の服用量および鎮痛効果の持続時間を考慮して、副作用の発現に注意しながら、適宜用量を調節すること。
<経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合>

経皮フェンタニル貼付剤はく離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、はく離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から服用することを考慮すること。
<減量>

連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
<服用の中止>

本剤の服用を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 一番多いのは便秘です。また、眠気やめまい、吐き気や嘔吐なども多いほうです。ひどいようでしたら早めに受診し医師と相談してください。眠けと吐き気は続けているうちに体が慣れて軽くなりますが、便秘は続くことが多いので下剤(通じ薬)で対処します。

異常に強い眠気がしたり、うとうと意識がもうろうとしてくる場合、薬の量が多過ぎるかもしれません。ことに高齢の人など、過量による呼吸抑制を起こしかねませんので要注意です。ご家族や周囲の方もその点に気をつけ、異変に気付いたら医師と連絡をとり指示をあおぎましょう。

長く続けていると、薬に頼りがちになることがあります。薬がないといられなくなり、このとき急に中止すると、不安、吐き気、発汗、頭痛や震えなど反発的な症状があらわれます。ただ、がん疼痛治療においては、強い依存は生じにくいとされます。心配し過ぎず、鎮痛効果が十分得られる必要最小量を用いることが大切です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 呼吸抑制..息切れ、呼吸しにくい、息苦しい、呼吸が浅く速い、呼吸が弱く少ない(10回/分未満)、不規則な呼吸、異常ないびき、意識がうすれる。
  • 依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。
  • 錯乱..混乱・もうろう状態、取り乱す、意味不明な言動
  • 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。

【その他】
  • 便秘、吐き気、吐く、食欲不振、口の渇き
  • 眠気、めまい、ぼんやり
  • 尿が出にくい
  • 発疹、かゆみ

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。