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成分(一般名) アトバコン/プログアニル塩酸塩
製品例 マラロン配合錠、マラロン小児用配合錠 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗原虫剤/配合剤/抗マラリア剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 マラリアの治療または予防に用いるお薬です。
作用

【働き】

マラリアは熱帯地方の一大感染症す。マラリア原虫を病原体とし、ハマダラカという蚊により媒介されます。熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫の4種類のタイプが知られ、共通の臨床症状として発熱や悪寒をともないます。なかでも熱帯熱マラリアは高熱が連日続き、治療をおこなわないと脳症など合併症を起こし重症化しやすいです。

このお薬は、マラリアの治療および予防に用いる抗マラリア薬です。熱帯熱マラリアをはじめ、三日熱マラリアなど非熱帯熱マラリアにも有効です。また、従来の抗マラリア薬と作用機序が違うので、他の抗マラリア薬が効きにくい耐性マラリアに対しても優れた治療効果を発揮します。日本での自然発生はありませんので、おもにマラリア流行地へ渡航のさいの予防薬として、また帰国後の輸入感染例などに用いられます。

【薬理】

アトバコンとプログアニルの2種類の有効成分が配合されています。アトバコンは、原虫ミトコンドリア内の電子伝達系を阻害することにより、原虫の核酸の複製に必要なピリミジンの生合成を阻害します。また、プログアニルはマラリア原虫の核酸合成にかかわる葉酸の働きを阻害することで、マラリア原虫の増殖を抑制します。これら2種類の異なる作用機序により、種々の薬剤耐性マラリア原虫に対する効力が相乗的に増強するのです。マラリア原虫はさまざまな虫体に変化しながら生育し続けますが、この薬は血液中の虫体に作用するほか、感染初期の肝臓内の虫体(スポロゾイト→シゾント)にも有効です。ただし、三日熱と卵形マラリア原虫の休眠体(ヒプノゾイト)には無効とされます。

【臨床試験】

熱帯熱マラリアに対する効果を従来の抗マラリア薬(ピリメタミン/スルファドキシン)と比較する試験が海外でおこなわれています。参加したのはアフリカ ザンビアで熱帯熱マラリアに感染した160人。このうち80人はこの薬を、別の80人は従来の薬を3日間服用し、1ヵ月後の治癒率を比較します。その結果、この薬を飲んでいた人達の治癒率は100%(80/80人)、従来の薬を飲んだ人達は99%(79/80人)でした。従来の薬に劣らない高い有効性が示されたわけです。
特徴
  • 世界で標準的に用いられる抗マラリア薬のひとつです。よく効き、また安全性が高いことから、薬剤耐性マラリアをふくめ各種のマラリアの治療および予防薬として第一選択されます。日本での承認は遅れていましたが、厚生労働省が主宰する「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の要請により開発されることになりました。
  • 他の抗マラリア薬とは作用機序が異なるため、別の抗マラリア薬に耐性を獲得したマラリア原虫にも有効です。また、感染初期の肝臓内の虫体(シゾント)にも作用することから、マラリア流行地から帰国後7日間の服用で予防効果が得られます。なお、他の抗マラリア薬の多くは血液中に移った虫体にだけ作用するので、帰国後1ヵ月間くらい継続する必要があります。
  • 肝臓に潜む休眠体(ヒプノゾイト)には効果がありません。このため、休眠体が形成される三日熱マラリアまたは卵形マラリアに用いる場合は、再発予防のため、休眠体に活性を示す薬剤(プリマキン)との併用治療を考慮しなければなりません。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中や、その可能性のある人は申し出てください。
  • 別の薬を使用している場合は、必ず医師に報告してください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解しておくことが大切です。

【注意する人】

腎臓が弱っている人は血中濃度が上昇しやすいので、副作用の発現に注意が必要です。重い腎臓病がある場合、使用できないことがあります。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

吐き気止めのメトクロプラミドと併用すると、この薬の血中濃度が低下し作用が弱まる可能性があります。また、抗血栓薬のワルファリンの作用や副作用を増強するおそれがあります。

  • 飲み合わせに注意..リファンピシン(リファジン)、リファブチン(ミコブティン)、テトラサイクリン(アクロマイシン)、メトクロプラミド(プリンペラン)、ワルファリン(ワーファリン)など。

【使用にあたり】
  • 治療と予防で飲み方が違います。用法・用量は医師の指示通りにしてください。
  • 治療で用いる場合、通常1日1回4錠を3日間、食後に服用します。子供は体重に応じて用量が決められます。
  • 予防に用いる場合は、現地のマラリア流行状況を勘案し、必要性を慎重に検討します。必要であれば、マラリア流行地に渡航する1〜2日前から服用を開始し、流行地を離れたあとは7日間服用を継続します。なお、予防目的の場合は保険はききません。
  • 空腹時ですと吸収量が低下します。食後または乳飲料とともに1日1回決められた時刻に飲んでください。服用1時間以内に嘔吐した場合には、1回分を再度服用してください。

【食生活】
  • 完全に予防できるわけではありません。この薬を使用していたとしても、マラリア流行地域に滞在中、あるいは流行地域を離れたあとに、原因不明の発熱があった場合には、速やかに医療機関を受診してください。
  • 流行地での予防の基本は蚊に刺されないこと。防虫スプレー、蚊帳の使用など他の予防手段をあわせて行なってください。

【備考】

抗マラリア薬の選択にあたっては、その地域で流行しているマラリア原虫のタイプや薬剤耐性、重症度などを考慮します。この薬は、熱帯熱マラリア、非熱帯熱マラリアのどのタイプにも使用可能です。そのほか、日本で承認されている抗マラリア薬として、キニーネ(塩酸キニーネ)とメフロキン(メファキン)があります。抗生物質のドキシサイクリン(ビブラマイシン)、ミノサイクリン(ミノマイシン)、クリンダマイシン(ダラシン)などもキニーネと併用されることがあります。国内未承認ですが、クロロキン、プリマキン、アーテメーター/ルメファントリンも必要に応じ取り寄せ可能です。三日熱、卵形マラリアの治療のさいは、再発予防のためにプリマキンによる根治療法を考慮する必要があります。
効能 マラリア
  • 注意1:本剤はヒプノゾイト(マラリア原虫の休眠体)には効果がないため、マラリア原虫の休眠体が形成される三日熱マラリア及び卵形マラリアの治療に用いる場合は、再発に注意し、マラリア原虫の休眠体に対する活性を示す薬剤による治療を考慮すること。
  • 注意2:重度の腎障害のある患者に治療の目的で投与する場合、本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇することで副作用が発現する危険性が高いため、他剤の投与を考慮するなど投与の可否を慎重に判断し、治療による有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ服用すること。
用法
【治療】
<成人>

通常、1日1回アトバコン/プログアニル塩酸塩として1000mg/400mgを3日間、食後に経口服用する。
<小児>

通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の服用量を1日1回3日間、食後に経口服用する。
  • 5〜8kg:125mg/50mg
  • 9〜10kg:187.5mg/75mg
  • 11〜20kg:250mg/100mg
  • 21〜30kg:500mg/200mg
  • 31〜40kg:750mg/300mg
  • >40kg:1000mg/400mg

  • 【予防】
    <成人>

    通常、1日1回アトバコン/プログアニル塩酸塩として250mg/100mgを、マラリア流行地域到着24〜48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口服用する。
    <小児>

    通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の服用量を1日1回、マラリア流行地域到着24〜48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口服用する。
  • 11〜20kg:62.5mg/25mg
  • 21〜30kg:125mg/50mg
  • 31〜40kg:187.5mg/75mg
  • >40kg:250mg/100mg

  • 【注意】
    • [注意1]服用量に応じて錠数が最も少なくなる製剤を選択すること。
    • [注意2]本剤の配合成分であるアトバコンは絶食下では吸収量が低下するため、食後又は乳飲料とともに1日1回毎日定められた時刻に服用すること。
    • [注意3]下痢又は嘔吐を来している患者ではアトバコンの吸収が低下する可能性がある。本剤の服用後1時間以内に嘔吐した場合には、再服用すること。

    ※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
    副作用 おもな副作用は、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、頭痛などです。これらはマラリアの症状とも重なりますので、気になるときは医師と相談してください。重い副作用は少なく、抗マラリア薬のなかでは安全性が高いほうです。


    【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
    • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
    • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
    • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
    • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。

    【その他】
    • 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
    • 頭痛、めまい
    • 発疹、かゆみ

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    おくすり110番

    注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
    症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。