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成分(一般名) ラニナミビル オクタン酸エステル水和物
製品例 イナビル吸入粉末剤20mg、イナビル吸入懸濁用160mgセット ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/ノイラミニダーゼ阻害剤/長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 インフルエンザウイルスの増殖を抑えるお薬です。インフルエンザの治療または予防に用います。
作用

【働き】

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。発熱、頭痛、筋肉・関節痛などの症状が急激にあらわれ、喉の痛み、鼻水・鼻づまり、咳といった症状もでてきます。通常、3〜4日熱が続いたあと回復に向かいます。

このお薬は、抗インフルエンザウイルス薬です。インフルエンザウイルスに直接作用し、ウイルスの増殖をおさえます。一般的なA型とB型ウイルスに適応するほか、2009年に流行し当時新型とされたインフルエンザ(A/H1N1)にも有効です。ただし、C型には効きません。

粉末状の吸入薬になりますので、専用の吸入器を用いて口から吸い込み、インフルエンザウイルスの増殖部位である気道に作用させます。感染初期に使用することで、症状の軽減と、治るのが1〜2日早くなると期待できます。治療に用いるほか、高齢者や持病のある人に予防薬としても処方可能です。

【薬理】

インフルエンザウイルスの増殖に欠かせないノイラミニダーゼというの酵素の働きを阻害します。これにより、人の細胞中で複製したウイルスの遊離がはばまれ、増殖が抑制されます。このような作用から、ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれています。なお、ノイラミニダーゼを持たないC型インフルエンザウイルスには無効です。

【臨床試験】

国内外で、既存薬のオセルタミビル(タミフル)を対照とした比較試験が行われています。この薬を40mg吸入した人(334人)の症状がよくなった日の平均はおおよそ3日目(73時間)でした。一方、オセルタミビルを飲んでいた人(336人)も、3日(73.6時間)ほどでよくなりました。このことから、オセルタミビルに劣らない治療効果が確認できたわけです。この薬により、インフルエンザの症状が平均して1〜2日ほど早くよくなると推測できます。
特徴
  • 国内で開発された抗インフルエンザウイルス薬です。作用的には、オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)と同じノイラミニダーゼ阻害薬になります。粉末状の吸入薬ですので、全身に及ぼす影響が少なく、副作用の発現も少ないと考えられます。
  • 従来の季節性インフルエンザに加え、鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザに対する効果が見込まれています。また、オセルタミビル(タミフル)耐性ウイルスに対しても一定の効果が期待できます。
  • 体内で変換活性化されるプロドラッグで、1回の使用で治療効果が長時間持続します。類似薬のリレンザが1日2回5日間吸入しなければならないのに対し、イナビル(この薬)は吸入1回分で終了。利便性に優れ、治療が楽です。
  • イナビル吸入粉末剤とイナビル吸入懸濁用セットの2種類の製品があります。通常、外来で処方されるのはハンディータイプのイナビル吸入粉末剤です。治療のほか、予防薬として使用されます。
  • バイアル瓶のイナビル吸入懸濁用セットは、病院内で専門の吸入機器を用いて吸入します。特徴は、添加剤に乳糖を含まず、自然呼吸で吸入可能なことです。対象となるのは、5歳未満の子ども、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などで肺機能が著しく低下している人、乳製品にアレルギーのある人、また吸入手技の理解が困難な高齢の人などです。ただし治療に限ります。予防投与は適応外です。
注意
【診察で】
  • 喘息など呼吸器に病気のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 注意事項や具体的な使用方法について十分に説明を受けてください。

【注意する人】
  • 牛乳や乳製品にアレルギーのある人は、アレルギー症状(アナフィラキシー)の発現に注意が必要です。吸入する粉末のなかに乳蛋白が含まれるためです。
  • 気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など呼吸器に病気のある人は、慎重に使用する必要があります。発作の引き金になったり、病状が悪化するおそれがあるためです。気管支拡張薬など喘息用の吸入薬を併用する場合は、喘息用の吸入薬を先に使用するとよいでしょう。

【使用にあたり】
  • 通常、ハンディー吸入容器タイプのイナビル吸入粉末剤が処方されます(バイアルの懸濁用は院内で処置されます)。10歳以上では1回分として2容器(40mg)を、10歳未満では1容器(20mg)を使用します。治療は1回分の吸入で終わりです。
  • 説明書をよく読み、正しく使用するようにしてください。きちんと吸入しないと、よい効果がでません。とくに、小さな子供の場合、保護者の指導と手助けが必要です。すわって、くつろいだ状態で吸入するとよいでしょう。
  • 1容器に左右2箇所に薬剤が充てんされています。これを順次中央にスライドさせ吸入します。吸い残しをなくすため左右2回づつ吸入しますので、1容器あたり計4回吸入することになります。10歳以上では2容器分合計8回です。
  • 吸入のポイントは、軽く息を吐いてから 吸入口をくわえ、スーッと大きく吸い込むこと。そして、2〜3秒息を止めた後、吸入口にかからないように、ゆっくりと息を吐き出してください。吸入後のうがいはとくに必要はありませんし、飲食をしてもかまいません。
  • 大事なのは早期治療。薬をもらったら、すぐに吸入してください。症状発現から48時間経過後に使用したケースにおいて、有効性を裏付けるデータは得られていません。
  • インフルエンザが重症化しやすいハイリスクの人、たとえば呼吸器や心臓に病気のある人、糖尿病や腎臓病の人、また高齢の人などに対して予防薬として用いることがあります。予防目的での処方は、病院内、または家族や施設の共同生活者などにインフルエンザ感染者がでた場合などです。感染者に接触後2日以内に開始します。

【妊娠・授乳】

動物実験で特段の催奇形性作用は認められていません。はっきりしたことは分かっていませんが、妊娠中における危険性はそれほど高くないと考えられています。そのため、治療上の有益性が上まわると判断されるのなら、妊娠中でも使用可能です。

なお、アメリカ(CDC)では、2009年流行のインフルエンザウイルス(A/H1N1)に感染した妊婦に対し 発症から48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬による治療を開始することとし、また感染者と接触した妊婦に対しては10日間の予防的投薬を勧めています。妊娠中にインフルエンザにかかった場合、普段よりも重症化するおそれがあり、またおなかの赤ちゃんにもよくないためです。

【食生活】

インフルエンザ罹患時の異常行動が報告されています。原因は不明で、抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無にかかわらず発現する可能性があります。頻度はまれなものの、とくに転落事故につながるような重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年の男性に多く、また発熱から2日間以内の発現例が多いとされます。保護者の方は、発熱から少なくとも2日間は、子供が1人にならないように配慮してください。また、就寝中を含め、例えば、以下のような具体策を講じてください。万が一の住居外への飛び出しや転落事故を防ぐためです。

  • 玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する(内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む)
  • 窓に格子のある部屋があれば、その部屋で寝かせる
  • ベランダに面していない部屋で寝かせる
  • 一戸建てなら、できる限り1階で寝かせる

【備考】
  • 対症療法的に、カゼ薬、解熱鎮痛薬、咳止め、痰切り薬なども処方されます。ただし、アスピリンやボルタレン、ポンタールなど強い解熱鎮痛薬は、子供のインフルエンザには原則禁止です(脳症との因果関係)。そのほか、肺炎など細菌による二次感染時やその予防に抗生物質も処方されます。
  • 「予防にまさる治療はない」といわれるのがインフルエンザ。やはりワクチンの予防接種が基本です。とくにお年寄りや、持病で体の弱っている人は重症化しやすいので、冬のシーズンに入る前にかかりつけの医師と相談されるとよいでしょう。
  • インフルエンザが流行してきたら、お年寄りや体の弱い人は、できるだけ人混みは避けたほうがよいでしょう。外出時のマスク、帰宅時のうがいや手洗いも忘れずに。
  • ふだん健康な若い人は、重症化することなく自然に治るものです(2009年流行のインフルエンザにおいては、ごく一部重症例が報告されています)。抗ウイルス薬の必要性が高いのはハイリスク感染者および一部の重症例であり、大半の軽症例では投与することなく治癒がみこまれます。必ずしも薬を必要としません。休養と睡眠、そして十分な水分と栄養をとることが大切です。
効能

【吸入粉末剤20mg】

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防

【懸濁用160mg】

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療(本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない)

【注意】
<効能共通>
  • 本剤はC型インフルエンザウイルス感染症には効果がない。
  • 本剤は細菌感染症には効果がない。
<治療>

抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須ではないことを踏まえ、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。
<予防>

原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である次の者を対象とする/高齢者(65歳以上)、慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者、代謝性疾患患者(糖尿病等)、腎機能障害患者
用法
【吸入粉末剤20mg:治療】
<成人、10歳以上の小児>

ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する〔40mg:2容器(計4ヵ所)〕。
<10歳未満の小児>

ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する〔20mg:1容器(2ヵ所)〕。
<注意>

本剤は、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを含有し、薬剤が2箇所に充填されているので、以下のとおり吸入投与すること。

※成人及び10歳以上の小児の治療:2容器(計4ヵ所)

※10歳未満の小児の治療:1容器(2ヵ所)

【吸入粉末剤20mg:予防】
<成人、10歳以上の小児>

ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する〔40mg:2容器(計4ヵ所)〕。また、20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる〔20mg:1容器(2ヵ所)〕。
<10歳未満の小児>

ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する〔20mg:1容器(2ヵ所)〕。
<注意>

本剤は、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを含有し、薬剤が2箇所に充填されているので、以下のとおり吸入投与すること。

※成人及び10歳以上の小児の予防:単回投与の場合は2容器(計4ヵ所)

※成人及び10歳以上の小児の予防:2日間投与の場合は1回あたり1容器(1回あたり2ヵ所)

※10歳未満の小児の予防:1容器(2ヵ所)

【懸濁用160mg:治療】

成人及び小児には、ラニナミビルオクタン酸エステルとして160mgを日本薬局方生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザを用いて単回吸入投与する。

  • 本剤を吸入する際には、ジェット式ネブライザを使用すること。添付のネブライザ吸入器を使用する際に、事前にコンプレッサーとの適合性を確認すること。

【注意】
<治療>

症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。
<予防(吸入粉末剤20mg)>
  • インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始する。接触から48時間を経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていない。
  • 本剤の服用開始から10日以降のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていない。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用はほとんどありません。喘息のある人や乳製品にアレルギーのある人は、発作の誘発やアレルギー症状の発現に念のため注意してください。万一、吸入後すぐ、ゼーゼー・ヒューヒューと息苦しくなったり、じん麻疹ができるなどいつもと違う症状があらわれたら、使用をやめて受診してください。

薬との関連性は低いと考えられますが、インフルエンザの患者さんにおいて、異常行動などの精神・神経症状が報告されています。変なことを言う、突然笑う、泣きだす、怯える、さらには 襲われるような感覚から外に飛び出し走りだす、興奮して窓から飛び降りようとする・・といった症状です。頻度はきわめてまれです。念のため注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
  • 気管支攣縮、呼吸困難..咳込む、ぜいぜいする、息をするときヒューヒュー音がする、息切れ、呼吸しにくい。
  • 異常行動..変なことを言う、突然笑う、泣き出す、興奮する、部屋の中を歩き回る、外へ出て走り出す、窓から飛び降りようとする。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。

【その他】
  • 下痢、吐き気
  • 発疹、じん麻疹

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。