概説 |
ヘルペスウイルスの増殖を抑えるお薬です。単純疱疹や帯状疱疹の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- ウイルスは、細菌とは別の微生物です。細菌より小さく、他の生物の細胞内で増殖します。このうち、ヘルペスウイルスの仲間は、‘水ぶくれ’を作るのが特徴的です。代表的なのは単純ヘルペスウイルスと水痘・帯状疱疹ウイルスによるもので、皮膚や粘膜に発赤や水ぶくれを生じ、ヒリヒリ強く痛むことがあります。
このお薬は、そのような悪さをするヘルペスウイルスに効く抗ウイルス薬です。単純疱疹(口唇・顔面ヘルペス、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペス)や帯状疱疹などヘルペスウイルスが原因の皮膚病に効果があります。ウイルスの増殖をおさえますので、ウイルスの少ない発症初期に用いると効果的です。個人差はありますが、初期治療により 病状の悪化が抑えられ、早期治癒が期待できるのです。単純疱疹では自然治癒に7日くらいかかるところ1〜2日早く治ります。

- 【薬理】

- 服用後速やかにウイルス活性をもつペンシクロビルに代謝されます。さらに、ペンシクロビルはヘルペス群ウイルス感染細胞内で特異的にリン酸化され、ペンシクロビル3リン酸となります。これが、ウイルスDNA鎖の伸長を停止させ、DNAの複製を阻害することにより、ヘルペスウイルスの増殖を抑制します。
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特徴 |
- プリン骨格をもつ核酸類似体の抗ヘルペスウイルス薬です。略号はFCV。体内で抗ウイルス作用を持つペンシクロビルに変換されてから効果を発揮します(プロドラッグ)。
- ペンシクロビルそのものよりも吸収性がよく、効率的かつ持続的に作用します。そのため、服用回数を1日5回から3回に減らせきました。再発性の単純疱疹に限っては2回投与法も認めらます。ここから
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中または妊娠している可能性のある人は申し出てください。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人や高齢の人は、薬の排泄が遅れがちです。減量や投与間隔を延長するなど慎重に用いるようにします。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 痛風の薬のプロベネシド(ベネシッド)との併用により、この薬の排泄が遅れる可能性があります。
 【使用にあたり】
- すぐに飲み始めてください。早期治療が大事です。通常、単純疱疹では1回1錠(250mg)を1日3回、帯状疱疹では1回2錠(500mg)を1日3回服用します。食後にこだわらなくてもいいです。
- 服用期間は単純疱疹の治療で原則5日間、帯状疱疹で7日間です。症状が少しもよくならないときは、医師と相談してみてください。
- 単純疱疹(口唇ヘルペスまたは性器ヘルペス)の同じ病型の再発を繰り返す場合、次回再発分を予備薬として事前に処方してもらえます。この場合の服用回数は2回。初期症状(患部の違和感、灼熱感、ヒリヒリ、かゆみ等)から6時間以内に初回4錠(1000mg)を服用、その12時間後(許容範囲6〜18時間後)に4錠(1000mg)を服用しておしまいです。高用量のため、そのとき妊娠または妊娠している可能性があるのなら、服用せず医師の診察を受けてください。予備薬はアルミ袋に入れ湿気を避けて保管してください。

- 【検査】

- 必要に応じ、腎機能検査を行ないます。

- 【食生活】

- 車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作、高所での作業のさいは十分に注意してください。多くはありませんが、まれに精神変調や意識障害を起こすことがあるためです。

- 【備考】

- 子供の水痘(水ぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。治癒後、このウイルスは、体の中に静かに潜んでいます。ところが、年齢をかさねて体の抵抗力が弱ってくると、再び増えだし帯状疱疹を引き起こすことがあります。
一方、口唇・顔面ヘルペスやカポジ水痘様発疹症、性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによるものです。口唇ヘルペスは、カゼなどで体調の悪いときによくでてきます。ごくまれですが、単純ヘルペスウイルスは角膜炎や脳炎を起こすことがあります。
治療薬には、飲み薬のほか塗り薬や注射薬があります。症状によって、それらを使い分けします。帯状疱疹や水痘、性器ヘルペスには飲み薬を、唇にできる口唇ヘルペスには軟膏もよく使われます。ヘルペス角膜炎には、専用の眼軟膏があります。ヘルペス脳炎など重症例では、点滴による治療が必要です。
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効能 |

- 【効能A】

- 単純疱疹

- 【効能B】

- 帯状疱疹
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用法 |

- 【効能A】

- 通常、成人はファムシクロビルとして1回250mgを1日3回経口服用する。また、再発性の単純疱疹の場合は、通常、成人はファムシクロビルとして1回1000mgを2回経口服用することもできる。
- 注意:単純疱疹に対して1回250mgを1日3回投与する場合..本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始すること。本剤は、原則として、5日間使用すること。改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、速やかに他の治療に切り替えること。
- 注意:再発性の単純疱疹に対して1回1000mgを2回投与する場合..単純疱疹(口唇ヘルペス又は性器ヘルペス)の同じ病型の再発を繰り返す患者(再発頻度が年間概ね3回以上)であることを臨床症状に基づき確認すること。初期症状発現後、速やかに開始することが望ましい(症状発現から6時間経過後に服用を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。また、臨床試験において、2回目の投与は、初回投与後12時間後(許容範囲として6〜18時間後)に投与された。

- 【効能B】

- 通常、成人はファムシクロビルとして1回500mgを1日3回経口服用する。
- 注意:本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始すること。なお、目安として、皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。
- 注意:本剤は、原則として、7日間使用すること。改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、速やかに他の治療に切り替えること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。あるとすれば、下痢や吐き気などの胃腸症状、むくみ、発疹などの皮膚症状、めまいや眠気、頭痛などです。
重い副作用はまずありませんが、意識障害など精神神経症状が現れる可能性がなくはありません。とくに、腎臓の働きが落ちている人、高齢の人など要注意です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重い精神神経症状..もうろう状態、幻覚、混乱・興奮、けいれん、意識がうすれる。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
 【その他】
- 下痢、軟便、吐き気、腹痛
- めまい、ふらつき、眠気、頭痛
- むくみ、発疹、かゆみ
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