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成分(一般名) オセルタミビル リン酸塩
製品例 タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3% ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/ノイラミニダーゼ阻害剤/抗インフルエンザウイルス剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 インフルエンザウイルスの増殖を抑えるお薬です。インフルエンザの治療または予防に用います。
作用

【働き】

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。発熱、頭痛、筋肉・関節痛などの症状が急激にあらわれ、喉の痛み、鼻水・鼻づまり、咳といった症状もでてきます。通常、3〜4日熱が続いたあと回復に向かいます。

このお薬は、抗インフルエンザウイルス薬です。インフルエンザウイルスに直接作用し、ウイルスの増殖をおさえます。一般的なA型とB型ウイルスに適応するほか、2009年に流行し当時新型とされたインフルエンザ(A/H1N1)にも有効です。感染初期に使用することで、症状の軽減と、治るのが1〜2日早くなると期待できます。治療に用いるほか、高齢者や持病のある人に予防薬としても処方可能です。

【薬理】

インフルエンザウイルスの増殖に欠かせないノイラミニダーゼというの酵素の働きを阻害する作用があります。

【臨床試験】

国内で、プラセボ(にせ薬)を対照とした二重盲検比較試験(252人)がおこなわれています。この薬を飲んでいた人(122人)の症状がよくなった日の平均はおおよそ3日目(70時間)でした。一方、プラセボを飲んでいた人(130人)では、平均して4日(93時間)かかりました。この薬の服用により、治りが平均で1日ほど早くなることが示されました。
特徴
  • インフルエンザウイルスに直接作用する世界初の飲み薬です。経口剤なので、安定した服薬効果が期待できます。
  • カプセルにくわえ、子供にも飲みやすいドライシロップがあります。その服薬のしやすさから、2001年の発売以来、インフルエンザの治療に広く処方されるようになりました。ちなみに、同じころ発売された別の抗インフルエンザウイルス薬として、吸入薬のリレンザがあります。
  • 2008〜2009年流行のAソ連型はタミフルに耐性で、よい効果が望めませんでした。残念ながら、医療現場でAソ連型とA香港型の判別は困難で、適確な処方ができないという現実がありました。(リレンザは有効とされましたが、吸入が上手にできない小さい子供に使いにくいのが難点です・・。)
  • 鳥インフルエンザに由来する新型インフルエンザに対する効果が見込まれ、その対策として各国で備蓄が行なわれています。また、2009年に世界的に流行し、当時新型とされた豚由来インフルエンザ(A/H1N1)にも有効とされ、重症例およびハイリスク感染者への処方がすすめられました(WHO)。
  • この薬によるものか、はっきりしたことは分かっていませんが、10代の若い人を中心に異常行動による重大な事故事例が報告されています。不確実な要素があるものの、厚労省の大規模研究においても、突然走り出すなど危険な異常行動を起こす割合が、タミフル服用時のほうが1.5倍以上と高い傾向でした。症例数が少なく明確な結論は得られなかったようですが、10代への処方は引き続き差し控えることとなりました。
注意
【診察で】
  • 腎臓の悪い人は医師に伝えておきましょう。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】
  • 腎臓の働きが悪いと薬の排泄が遅れがち、血中濃度が上昇し副作用が強まるおそれがあります。そのため、腎機能に応じて減量するなど、服用量や服用間隔に十分な配慮が必要です。
  • 10歳以上20歳未満の人には、原則として用いません。因果関係は不明ですが、異常行動による事故が、おもに10代の未成年者にみられるためです。ただし、別に病気があり重症化が心配される場合など、例外的に容認されます。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

血栓の薬のワルファリン(ワーファリン)と併用するときは、出血症状の発現に注意してください。

【使用にあたり】
  • 決められた飲み方を守ってください。ふつう、5日間飲み続けます。カプセルは噛まないで、コップ1杯ほどの水で飲んでください。子供用の細粒(ドライシロップ)は、1包分を適量の水で溶いてから飲むようにします。大きい子供は、そのままでもかまいませんが、多めの水で飲ませてください。
  • 大事なのは早期治療。薬をもらったら、すぐに飲んでください。症状の発現から2日以内に飲み始める必要があります(症状発現から40時間経過後に使用したケースにおいて、有効性を裏付けるデータは得られていません)。
  • インフルエンザが重症化しやすいハイリスクの人、たとえば呼吸器や心臓に病気のある人、糖尿病や腎臓病の人、また高齢の人などに対して予防薬として用いることがあります。予防目的での処方は、病院内、または家族や施設の共同生活者などにインフルエンザ感染者がでた場合などです。感染者に接触後2日以内に開始します。
  • とくにドライシロップは、湿気を避けて保管してください。

【妊娠・授乳】

動物実験で特段の催奇形性作用は認められていません。また、人での催奇形にかかわる報告も今のところないようです。一方で、流産などにつながる胎児毒性については少し心配な面があり、100%安全性が保証されるものではありません。

いずれにしても、全体的に危険性はそれほど高くないと考えられています。そのため、治療上の有益性が高いと判断されるのなら、妊娠中でも使用可能です。もし妊娠中に医師から服薬をすすめられたら、十分に説明を受け同意のうえで使用するようにしましょう。

なお、アメリカ(CDC)では、2009年流行のインフルエンザウイルス(A/H1N1)に感染した妊婦に対し 発症から48時間以内に服薬を開始することとし、また感染者と接触した妊婦に対しては10日間の予防的投薬を勧めています。妊娠中にインフルエンザにかかった場合、普段よりも重症化するおそれがあり、またおなかの赤ちゃんにもよくないためです。

【食生活】

インフルエンザ罹患時の異常行動が報告されています。原因は不明で、抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無にかかわらず発現する可能性があります。頻度はまれなものの、とくに転落事故につながるような重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年の男性に多く、また発熱から2日間以内の発現例が多いとされます。保護者の方は、発熱から少なくとも2日間は、子供が1人にならないように配慮してください。また、就寝中を含め、例えば、以下のような具体策を講じてください。万が一の住居外への飛び出しや転落事故を防ぐためです。

  • 玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する(内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む)
  • 窓に格子のある部屋があれば、その部屋で寝かせる
  • ベランダに面していない部屋で寝かせる
  • 一戸建てなら、できる限り1階で寝かせる

【備考】
  • 対症療法的に、カゼ薬、解熱鎮痛薬、咳止め、痰切り薬なども処方されます。ただし、アスピリンやボルタレン、ポンタールなど強い解熱鎮痛薬は、子供のインフルエンザには原則禁止です(脳症との因果関係)。そのほか、肺炎など細菌による二次感染時やその予防に抗生物質も処方されます。
  • 「予防にまさる治療はない」といわれるのがインフルエンザ。やはりワクチンの予防接種が基本です。とくにお年寄りや、持病で体の弱っている人は重症化しやすいので、冬のシーズンに入る前にかかりつけの医師と相談するとよいでしょう。
  • インフルエンザが流行してきたら、お年寄りや体の弱い人は、できるだけ人混みは避けたほうがよいでしょう。外出時のマスク、帰宅時のうがいや手洗いも忘れずに。
  • ふだん健康な若い人は、重症化することなく自然に治るものです(2009年流行のインフルエンザにおいては、ごく一部重症例が報告されています)。抗ウイルス薬の必要性が高いのはハイリスク感染者および一部の重症例であり、大半の軽症例では投与することなく治癒がみこまれます。必ずしも薬を必要としません。休養と睡眠、そして十分な水分と栄養をとることが大切です。
  • 重症化の徴候は、呼吸困難や頻呼吸・促迫呼吸(息切れ、息苦しさ、荒い呼吸)、胸の痛み、蒼白、血痰・着色痰、精神変調、3日以上続く高熱・・などです。子供の脳症では、意味不明な言動が前ぶれとなることがあり、さらに意識がうすれ、けいれんが長びきます。症状の進行が非常に早いことがありますので、このような場合は直ちに適切な治療を受ける必要があります。
効能 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
用法
【カプセル】
<治療に用いる場合>

通常、成人及び体重37.5kg以上の小児はオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間経口服用する。
<予防に用いる場合>
  • 成人..通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7〜10日間経口服用する。
  • 体重37.5kg以上の小児..通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、10日間経口服用する。

【ドライシロップ】
<治療に用いる場合>
  • 成人..通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間、用時懸濁して経口服用する。
  • 小児..通常、オセルタミビルとして以下の1回用量を1日2回、5日間、用時懸濁して経口服用する。ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。

    幼小児の場合:2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)

    新生児、乳児の場合:3mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg)
<予防に用いる場合>
  • 成人..通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7〜10日間、用時懸濁して経口服用する。
  • 小児..通常、オセルタミビルとして以下の1回用量を1日1回、10日間、用時懸濁して経口服用する。ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。

    幼小児の場合:2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 おもな副作用は、吐き気、腹痛、下痢などの胃腸症状です。重い副作用はまずありませんが、出血性大腸炎など出血症状、肝障害や皮膚障害などが報告されています。血便、吐血、不正子宮出血など出血がみられたら医師に連絡してください。

薬との関連性ははっきりしませんが、インフルエンザの患者さんにおいて、異常行動などの精神・神経症状が報告されています。変なことを言う、突然笑う、泣き出す、怯える、さらには 襲われるような感覚から外に飛び出し走り出す、興奮して窓から飛び降りようとする・・といった症状です。発熱から2日間以内に多いとされ、その間は特に注意が必要です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 急性腎障害..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 異常行動..変なことを言う、突然笑う、泣き出す、興奮する、部屋の中を歩き回る、外へ出て走り出す、窓から飛び降りようとする。
  • 出血性・虚血性大腸炎..腹痛、血液便、血性下痢

【その他】
  • 腹痛、下痢、吐き気、吐く
  • めまい、眠気
  • 血便、吐血
  • 肝機能検査値の異常

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。