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成分(一般名) ラミブジン
製品例 ゼフィックス錠100 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/逆転写酵素阻害剤(ヌ系)/抗ウイルス化学療法剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 B型肝炎ウイルスの増殖を抑えるお薬です。B型肝炎やB型肝硬変の治療に用います。
作用

【働き】

肝臓病の多くはウイルス性です。とくにB型とC型ウイルス(HBV、HCV)による慢性肝炎が問題となります。慢性肝炎になると、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、長いあいだに一部が肝硬変へと進み、さらには肝臓がんに至ります。この流れを絶つことが治療の最大の目標です。B型ではその指標としてウイルス抗原(HBs抗原)の消失をめざします。

このお薬は、B型肝炎ウイルスに有効な抗ウイルス薬です。ウイルス遺伝子の複製過程を阻害し、ウイルスの増殖をおさえます。抗ウイルス療法が適応されるのは、ウイルス量(HBV DNA量)が多く、肝機能値(ALT値)が思わしくないB型慢性肝疾患に対してです。中高年の慢性肝炎に用ることが多いですが、若い人でも進行が早く沈静化の見通しがなければ処方対象になります。治療により、ウイルスが減少し肝機能値が正常化すれば、肝硬変や肝臓がんへの進展を止めることができるのです。

【薬理】

ウイルスの遺伝子RNAをDNAに逆転写する酵素の働きを阻害します。これにより遺伝子の複製ができなくなり、ウイルスの増殖が抑制されるのです。このような作用から「逆転写酵素阻害薬」と呼ばれています。

【臨床試験】

1年間の服用で、B型肝炎ウイルスが非常に低減(検出限界以下)したケースが64%、肝機能値(ALT)の正常化65%、組織学的に改善した割合は95%でした。
特徴
  • 有効成分はラミブジン(略号LAM)。B型肝炎ウイルスに作用する抗ウイルス薬です。化学構造的に核酸系(ヌクレオシド系)になり、核酸アナログ(核酸類似物質)というカテゴリーに分類されます。ウイルス逆転写酵素を阻害する作用から、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)と呼ばれることもあります。
  • 核酸アナログが適用となるのは、インターフェロン注射による初回治療で十分な効果が得られない慢性肝炎、あるいはインターフェロンが副作用などで使いにくい場合です。一方、肝硬変に対しては初めから使われます。核酸アナログは肝炎の沈静化にたいへん有益ですが、肝細胞内のウイルスを完全に排除するのは難しいです。このため、維持療法として服用期間は長めになります。
  • もともとエイズ治療薬(エピビル錠)として承認され、その後、B型肝炎ウイルスに対する有効性からB型慢性肝疾患治療薬(ゼフィックス錠)として開発されました。ラミブジンの長期服用時の問題として、変異した耐性ウイルス(YMDD変異ウイルス)が出現しやすいということがあげられます。薬が効かない変異ウイルスの増殖により、よくなった肝炎が再び悪化してしまうのです。5年目で6割もの人に出現しますが、この場合はアデホビル(ヘプセラ)またはテノホビル(テノゼット)を追加・併用することで対処可能です。耐性ウイルスの問題から、現在は核酸アナログ製剤として第一選択されなくなりました。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。

【注意する人】
  • 腎臓の働きが落ちていると、この薬の排泄が遅れ、高い血中濃度が持続します。腎臓が悪い人は、服用量を少な目にするなど慎重に用います。
  • 非代償性肝硬変への使用実績は少ないです。また、核酸アナログによる乳酸アシドーシスの報告があるため、注意深い経過観察が必要です。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

抗菌薬のST合剤(バクタ)は、この薬の血中濃度を上昇させる可能性があります。逆に、X線造影補助薬のソルビトールは、この薬の吸収を抑制するため、血中濃度が低下するおそれがあります。

【使用にあたり】
  • ふつう、1日1回1錠を飲みます。食事の影響をほとんど受けませんので、飲み忘れのない時間に定時服用すればよいでしょう。
  • 飲み忘れた場合、気づいたときに直ちに服用してください。ただし、翌日に気づき次の服用時間が近ければ、その分は抜かし次の通常の時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 耐性ウイルスが出現し肝機能値が悪化してきた場合、別の抗ウイルス薬と併用する必要があります。
  • 治療終了時期は、医師により慎重に決められます。病状によっては生涯続けなければなりません。安易に中断すると、急激に病状が悪化するおそれがありますから、自分だけの判断でやめてはいけません。

【検査】

効果判定のため、肝機能値(ALT)やウイルス量、HBe抗原などを調べます。

【妊娠・授乳】

妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。妊娠初期は避けることが望ましいのですが、治療上の有益性がより高いと判断されれば、妊娠中でも処方されるかもしれません(FDA薬剤胎児危険度分類基準:カテゴリーC)。

【食生活】

B型肝炎ウイルスの感染力は概して弱く、ふつうの社会的な接触であれば感染することはありません。ただし、血液を介したり、性的接触により感染するおそれがあります。この薬を飲んでいたとしても、その点に留意してください。

【備考】
  • B型肝炎の治療薬は2種類に大別されます。この薬をふくむ核酸アナログ製剤とインターフェロン製剤です。どちらかを、治療歴、抗原の状態、ウイルス量、線維化進展度、年齢などを考慮し、適切に使いわけます。薬が不要になることを目指す2種併用療法(シークエンシャル療法)も試みられます。
  • 核酸アナログ製剤でB型肝炎に保険適用となるのは、ラミブジン(ゼフィックス:この薬)、アデホビル(ヘプセラ)、エンテカビル(バラクルード)、テノホビル ジソプロキシル (テノゼット)、テノホビル アラフェナミド(ベムリディ)の5製剤です。最初に発売されたラミブジンは耐性ウイルスが発現しやすいのが欠点です。薬が効かない変異ウイルス(YMDD)の増殖により、よくなった肝機能値が再び悪化してしまうのです。アデホビルは、そのような変異ウイルスにも有効で、変異ウイルスの出現時にラミブジンと併用するようにします。エンテカビルとテノホビルは、耐性ウイルスを生じにくく治療効果にも優れるため、核酸アナログ製剤として第一選択されるようになりました。
効能 B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制
用法 通常、成人はラミブジンとして1回100mgを1日1回経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、頭痛と倦怠感です。そのほかは少ないのですが、長く続けていると、この薬が効きにくい変異ウイルスが出現し、改善されていた肝機能値が再び悪化してくることがあります。

まれに、服用中止後に肝炎が急激に悪化し深刻化するケースがありますから、治療終了後もしばらくのあいだ、定期的に病状をチェックしなければなりません。そのほかの重い副作用はまずないと思いますが、体に異常を感じたら早めに受診するようにしてください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。

【その他】
  • 頭痛、倦怠感
  • 腹痛、下痢、吐き気
  • 服用中断後の肝機能値の再悪化

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。