概説 |
ヘルペスウイルスの増殖を抑えるお薬です。単純疱疹や帯状疱疹、性器ヘルペス、水痘(水ぼうそう)の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- ウイルスは、細菌とは別の微生物です。細菌より小さく、他の生物の細胞内で増殖します。このうち、ヘルペスウイルスの仲間は、皮膚や粘膜に水ぶくれを作るのが特徴的です。単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスがその代表です。単純疱疹や帯状疱疹は、そのウイルスが皮膚や粘膜で暴れたし、水ぶくれや発赤を生じ、ピリピリと痛む病気です。
このお薬は、そのような悪さをするヘルペスウイルスに効く抗ウイルス薬です。この種のウイルスが原因の単純疱疹や帯状疱疹、性器ヘルペス、水痘(水ぼうそう)などの治療に用います。ヘルペスウイルスの増殖をおさえますので、ウイルスの少ない発症初期に用いると効果的です。初期治療により 病状の悪化がおさえられ、治癒が早まります。

- 【薬理】

- ウイルス感染細胞内で活性化し、ウイルスDNA鎖の伸長を停止、ウイルスDNAの複製を阻害します。

- 【臨床試験】

- 同類薬のアシクロビルにおいて、帯状疱疹の患者さんを対象にしたプラセボ(にせ薬)との比較試験が行われています。半年後に痛みが残っている人の割合は、アシクロビルで治療していた場合、約半数に減ることが示されています。
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特徴 |
- 核酸類似体の抗ヘルペスウイルス薬です。アシクロビル(ゾビラックス)のプロドラッグで、体内で抗ウイルス作用を持つアシクロビルに変換されてから効果を発揮します。
- 吸収効率がよく、1日1〜3回の服用で済みます(アシクロビルは1日5回)。第2世代抗ウィルス薬とされます。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中または妊娠している可能性のある人は申し出てください。

- 【注意する人】

- 腎臓が悪い人や高齢の人は薬の排泄が遅れ、精神変調や意識障害を起こしやすいです。そのため、服用間隔を延ばすなど慎重に用いなければなりません。
- 注意が必要なケース..腎臓病のある人、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 薬の飲み合わせによっては、副作用がでやすくなります。痛風の薬のプロベネシド(ベネシッド)、胃の薬のシメチジン(タガメット)、免疫抑制薬のモフェチル(セルセプト)、喘息の薬のテオフィリン(テオドール)などとの併用に注意します。
 【使用にあたり】
- 診察後、すぐに服用を開始してください。早期服用により、よい効果を発揮します。
- 用法・用量は、病態や年齢で違います。また腎機能の程度により、減量したり服用間隔を延ばすことがあります。必ず医師の指示どおりにしてください。
- 5日間くらい飲んでも、症状が少しもよくならないときは、医師と相談してみましょう。
- 指示された期間続けてください。症状によっては、少し長めになります。途中でやめると、治りが遅れたり、再燃するおそれがあります。
- 性器ヘルペスの再発抑制療法では、長期の予防服用になります。この場合、パートナーへの感染抑制効果も期待できますが、完全ではありません。コンドームの使用等が推奨されています。
- とくに高齢の人は、水分を適切にとるようにしましょう。

- 【食生活】

- 車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作、高所での作業のさいは十分に注意してください。多くはありませんが、まれに精神変調や意識障害を起こすことがあるためです。とくに高齢の人や腎臓病のある人は、自動車運転の可否について医師とよく相談してください。

- 【備考】

- 子供の水痘(水ぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。治癒後、このウイルスは、体の中に静かに潜んでいます。ところが、年齢をかさねて体の抵抗力が弱ってくると、再び増えだし帯状疱疹を引き起こすことがあります。
一方、口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによるものです。口唇ヘルペスは、カゼなどで体調の悪いときによくでてきます。ごくまれですが、単純ヘルペスウイルスは角膜炎や脳炎を起こすことがあります。
治療薬には、飲み薬のほか塗り薬や注射薬があります。症状によって、それらを使い分けします。帯状疱疹や水痘、性器ヘルペスには飲み薬を、唇にできる口唇ヘルペスには軟膏が使われます。ヘルペス角膜炎には、専用の眼軟膏があります。ヘルペス脳炎など重症例では、点滴による治療が必要です。
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効能 |

- 【効能A】

- 単純疱疹

- 【効能B】

- 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
 【効能C】

- 【効能D】

- 性器ヘルペスの再発抑制
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用法 |
 【成人】- <効能A>

- 通常、成人はバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口服用する。
- <効能B>

- 通常、成人はバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口服用する。
- <効能C>

- 通常、成人はバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口服用する。
- <効能D>

- 通常、成人はバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口服用する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口服用する。
 【小児】- <効能A>

- 通常、体重40kg以上の小児はバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口服用する。
- <効能B>

- 通常、体重40kg以上の小児はバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口服用する。
- <効能C>

- 通常、体重40kg以上の小児はバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口服用する。
- <効能D>

- 通常、体重40kg以上の小児はバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口服用する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。あるとすれば、下痢や吐き気などの胃腸症状、発疹などの皮膚症状、めまいや眠気、頭痛などです。
ただし、血中濃度が必要以上に上昇すると、精神神経症状がでやすくなります。意識低下、妄想、幻覚、けいれん・・といった症状です。腎臓病のある人や腎機能が低下している高齢の人など要注意です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 急性腎障害..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
- 尿細管間質性腎炎..多尿、夜間頻尿、発熱、蕁麻疹、発疹、腰痛
- 重い精神神経症状..意識がうすれる、もうろう状態、妄想、幻視、幻覚、混乱・興奮、けいれん。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)..発疹・発赤、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 呼吸抑制..呼吸が弱い、息苦しい
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 膵炎..吐き気、吐く、持続的な激しい腹痛、上腹部または腰から背中の激痛、発熱。
 【その他】
- 下痢、軟便、吐き気、腹痛
- めまい、ふらつき、眠気、頭痛
- 発疹、かゆみ
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