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成分(一般名) アバカビル硫酸塩
製品例 ザイアジェン錠300mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/逆転写酵素阻害剤(ヌ系)/抗ウイルス化学療法剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 エイズウイルスの増殖を抑えるお薬です。エイズの治療に用います。
作用

【働き】

エイズは、エイズウイルスの感染により起こる病気です。エイズウイルスは血液や精液を介してうつります。体に入ったエイズウイルスは、免疫系の細胞(白血球の一種のCD4リンパ球)を破壊しながら、徐々に増殖していきます。そして、体の免疫力がしだいに低下し、数年から十数年後に発症します。重い感染症にかかったり、リンパ腫などの悪性腫瘍に侵されやすくなり命にかかわることもあるのです。

このお薬は、エイズウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬です。ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害薬の部類で、ウイルスの遺伝子の複製を妨げる作用があります。ウイルスが減るとともに、免疫力が回復し、病状が改善します。また、エイズの発症や進行を遅らせ、長生きにもつながります。ただし、エイズウイルスを完全に死滅させることは困難です。したがって、生涯にわたり治療を続けなければなりません。

  • ※エイズ:後天性免疫不全症候群
  • ※エイズウイルス:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

【薬理】

エイズウイルスの遺伝子RNAをDNAに逆転写する酵素の働きを阻害します。これにより遺伝子の複製ができなくなり、ウイルスの増殖が抑制されるのです。このような作用から「逆転写酵素阻害薬」と呼ばれています。
特徴
  • ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)です。略称はABC。単剤での抗ウイルス作用は強力とはいえませんが、別の薬と併用することで治療効果が高まります。難点を一つあげるなら、過敏症に対する懸念です。このため、2次治療もしくは代替薬として選択されることが多いです。
  • 単独ではやや弱いので、同系の1種類を加えて基礎薬(ベースドラッグ、バックボーン)とし、さらに別系統の主要薬(キードラッグ)を組み合わせる3剤併用療法により強力な効果が得られます。たとえば、この薬(ABC)と、同系のラミブジン(3TC)(エピビル)、それと非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬のエファビレンツ(EFV)(ストックリン)による3剤併用療法です。最近は、エプジコム錠(ABC+3TC)など利便性のよい配合剤が用いられるようになりました。非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬のかわりにプロテアーゼ阻害薬、またはインテグラーゼ阻害薬を用いることも可能です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人、また薬剤により発疹などアレルギー症状を起こしたことのある人は 医師に話してください。
  • 別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に報告してください。また、今までに抗エイズウイルス薬の服用経験がある人は、その薬の名前を教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
  • 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告してください。

【注意する人】

この薬で過敏症を起こしたことのある人は、決して再使用してはいけません。再使用による過敏反応はより急激で深刻です。肝臓の悪い人や高齢の人は、副作用の発現に注意するなど慎重に用います。

  • 適さないケース..アバカビル製剤(この薬、エプジコム配合錠またはトリーメク配合錠)で過敏症を起こしたことのある人、重い肝臓病。
  • 注意が必要なケース..肝臓病、妊娠中、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲酒は控えてください。アルコールは薬の代謝に影響します。

【使用にあたり】
  • 食事に関係なく飲めますが、決められた時間に正確に飲んでください。規則正しい服用は、薬の血中濃度を一定に保ち、ウイルスに増殖する“すき”を与えないために重要です。飲み忘れにも十分注意しましょう。抗エイズ薬の服薬率が95%を割ると、薬の効きにくい耐性ウイルスの出現が多くなるという報告があります。
  • もし飲み忘れた場合は、気が付いたときに直ちに服用してください。ただし、次に服用する時間が近い場合は、1回分は抜かし次の通常の服用時間に1回分を服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 自分だけの判断で量を変えたり、飲むのをやめてはいけません。不用意な減量や中断は、薬の効き目を悪くし、治療を困難にします。
  • 皮膚に発疹や発赤が現れた場合は、直ちに医師に連絡してください。重い過敏症の前ぶれかもしれません。

【検査】

効果判定のため、免疫細胞(CD4)の増加とウイルス量の低下を調べます。さらに、副作用をチェックするため、いろいろな検査を受けなければなりません。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。この薬を飲むことで赤ちゃんの感染リスクを減らせるかもしれません。なお、妊娠中に推奨されるのは、主要薬はプロテアーゼ阻害薬のロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)、基礎薬としてヌクレオシド系のジドブジン・ラミブジン配合剤(コンビビル)の組み合わせです。
  • 授乳は避けてください。乳汁中に薬が移行すると考えられます。また、母乳中のエイズウイルスにより赤ちゃんが感染するおそれがあります。

【食生活】
  • 過敏症の副作用に注意が必要です。過敏症を注意するカードを常に携帯してください。
  • エイズウイルスの感染力は非常に弱く、日常の社会的接触であれば感染することはありません。ただし、性的接触により感染の可能性があります。この薬を飲み始めても、その点には留意が必要です。

【備考】
  • エイズの薬は、大きく、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬の3系統に分かれます。逆転写酵素阻害薬は、さらにヌクレオシド系(この薬)と非ヌクレオシド系に分かれます。作用増強と耐性回避のため、これらを組み合わせる多剤併用療法が一般的です。現在、初回治療として推奨されるのは、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬をベースドラッグとし、これにキードラッグの非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬と低用量リトナビル、またはインテグラーゼ阻害薬のいずれかを加える3剤ないし4剤併用療法です。このような多剤併用療法によりエイズの予後はたいへん改善し、より長生きできるようになりました。
  • 免疫力が低下しエイズを発症すると、別のいろいろな感染症にかかりやすくなります。サイトメガロウイルス、カンジダ、ニューモシスチス(カリニ)・・ふつうなら感染しにくい微生物にまで侵されてしまうのです。このような2次感染症に対しては、抗菌薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬などで強力な治療をおこないます。
効能 HIV感染症
用法 通常、成人は他の抗HIV薬と併用して、アバカビルとして1日量600mgを1日1回又は2回に分けて経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜減量する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 もっとも重要なのが過敏症です。日本人ではまれとされますが、重症化しないよう 早期対応が大事です。多くは飲み始めの2カ月間に発現しています。発疹があらわれたら直ちに医師に連絡し、中止すべきか確認してください。皮膚症状にくわえ、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、疲労感、筋肉痛、息切れ、のどの痛み、咳、血圧低下といった全身症状にも注意が必要です。過敏症と分かったら、二度と服用しないでください。

ほかにも、膵炎、乳酸アシドーシス、肝腫大(脂肪肝)などを起こすおそれがあります。さらには免疫機能の回復に伴う免疫再構築炎症反応症候群など 体にさまざまな異変を生じる可能性があります。いつもと違う症状があらわれたら、どのようなことでも医師に報告してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い全身性の過敏症..発疹、発赤、じんま疹、発熱、吐き気、吐く、下痢、腹痛、眠気、けん怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛、息苦しい、息切れ、のどの痛み、咳、目の充血、血圧低下。
  • 膵炎..吐き気、吐く、持続的な激しい腹痛、上腹部または腰から背中の激痛、発熱。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 乳酸アシドーシス・肝腫大(脂肪肝)..吐き気、吐く、腹痛、下痢、けん怠感、息苦しい、息が荒い、筋肉痛、手足の震え・脱力、歩けない、動悸、急激な体重減少、意識の低下、右上腹部の張り・圧迫感。

【その他】
  • 吐き気、吐く、食欲不振、下痢
  • 疲労感、頭痛、発疹

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。