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成分(一般名) デラマニド
製品例 デルティバ錠50mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗結核剤/その他/結核化学療法剤

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概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 結核菌を殺菌するお薬です。標準的な抗結核薬が効かない多剤耐性肺結核の治療に用います。
作用

【働き】

結核は、結核菌が増殖し、体をむしばんでいく病気です。おもな病変部位は肺で、かつては肺病として恐れられました。近年は少なくなったものの、先進国の中では以前高い水準で油断はできません。さらに、標準的な抗結核薬に抵抗性をもつ多剤耐性菌の出現も心配されるところです。

このお薬は、多剤耐性肺結核の治療に用いる新しいタイプの抗結核薬です。結核菌特有のミコール酸の生合成を阻害することにより、第一選択薬のリファンピシン(RFP)とイソニアジド(INH)が効かない耐性結核菌にも強い抗菌力を発揮するのです。単独ではなく、感受性をもつ他の抗結核薬3剤以上と併用するようにします。

【臨床試験】

多剤耐性肺結核に対する有効性と安全性をプラセボ(にせ薬)と比較する国際共同試験が行われています。参加したのは日本人12人を含む多剤耐性肺結核の患者さん481人です。そして、3つのグループに分かれ、161人はこの薬100mgを1日2回、160人は200mgを1日2回、残りの160人は薬を含まないプラセボとし、全員が既存の標準治療薬と併用します。有効性をみる主要評価項目は、2ヶ月後の喀痰中の結核菌が消失した人の割合‘喀痰中菌陰性化率’です。

その結果、この薬100mgを飲んでいた人達の喀痰中菌陰性化率は45.4%(64/141人)、200mgの人達で41.9%(57/136人)、プラセボの人達で29.6%(37/125人)でした。この薬を飲んでいた人達のほうが、プラセボの人達に比べ明らかに陰性化率が高く、多剤耐性肺結核に対する有効性が証明されたわけです。安全性についても、プラセボと副作用の発現率に差はみられませんでした。ただし、注意すべき有害事象として、心電図のQT間隔が延長する傾向が認められました。
特徴
  • 新しい作用メカニズムをもつ抗結核薬です。標準薬のリファンピシン(RFP)とイソニアジド(INH)が効かない多剤耐性結核菌に有効なのが特徴です。多剤耐性結核の標準治療に6カ月以上併用することにより、長期的な治療効果が改善され、さらには死亡率の低下が期待できます。
  • 適応症は多剤耐性肺結核に限りますので、処方機会はそう多くありません。結核症の治療に十分な知識と経験を持つ医師またはその指導のもとで使用されることになります(治療アクセス計画 Responsible Access Program:RAP)。
注意
【診察で】
  • 心臓病など持病のある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中の人は医師に伝えてください。また、服用中に妊娠した場合は、すぐ医師に連絡してください。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。

【注意する人】

心臓病のある人は、心電図の異常(QT延長)に注意するなど慎重に用いるようにします。また、肝臓の働きが悪いと、薬の代謝が遅れ副作用が強まるおそれがあります。

  • 適さないケース..妊娠中。
  • 注意が必要なケース..心臓病(QT延長、徐脈、不整脈)、電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症)、肝臓病、低アルブミン血症のある人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせによっては、この薬の心臓への影響が強まる可能性があります。たとえば、ある種の抗不整脈薬やキノロン系抗菌薬、抗精神病薬などです。さらに、低カリウム血症を起こしやすいアミノグリコシド系抗菌薬や利尿薬についても同様の理由で注意が必要です。

  • 飲み合わせに注意..抗不整脈薬(アミサリン、リスモダン、ノルペース、ピメノール、アンカロン、ソタコールなど)、キノロン系抗菌薬(アベロックス、シプロキサン、クラビットなど)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、抗精神病薬(セレネース、ドグマチール、オーラップなど)、三環系抗うつ薬(トリプタノール、トフラニールなど)、降圧・利尿薬(ラシックス、フルイトランなど)

【使用にあたり】
  • 通常、1日2回朝・夕食後に1回2錠(100mg)を服用します。空腹時は吸収がよくないので、必ず食後にしてください。
  • 別の抗結核薬3剤以上と併用します。よく用いられるのは、エタンブトール(EB)、ピラジナミド(PZA)、レボフロキサシン(LVFX)、サイクロセリン(CS)、それと注射薬のストレプトマイシン(SM)またはカナマイシン(KM)などです。多剤耐性結核菌が耐性を獲得しているリファンピシン(RFP)とイソニアジド(INH)は原則用いません。
  • 指示さをれた期間続けることが大事です。一般的には6カ月間を目安としますが、場合によってはもう少し長くなります。自分だけの判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなります。

【検査】

治療に先立ち、心電図検査で脈に異常がないか調べます。服用中も定期的に心電図、電解質、血清アルブミンなどの検査をおこないます。

【備考】
  • 結核の治療は、複数の抗結核薬による併用療法をおこなうのが基本です。併用により短期治癒を可能とし、また耐性出現を防ぐことができるのです。通常、初めの2ヵ月間は第一線薬のイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトールの4剤による強化療法をおこないます。エタンブトールの代わりに注射用抗結核薬のストレプトマイシンを代用することも可能です。その後の4ヵ月間はイスコチンとリファンピシンの2剤に減らし、合計6ヵ月間で治療を終了します。
  • 高齢の人、または肝臓が悪くピラジナミドが使いにくい場合に適用される別の治療法もあります。イスコチン、リファンピシン、エタンブトール(またはSM)の3剤で2ヵ月間初期治療をおこない、その後イスコチンとリファンピシンのンの2剤による維持療法を7ヵ月間続ける方法です
  • 多剤耐性結核とは、少なくともリファンピシンとイソニアジドに耐性をもつ結核菌による結核のことです。多剤耐性結核の治療は、感受性のある複数の抗結核薬を使用しておこないます。リファンピシンとイソニアジドは原則使用できないので、第一線薬のエタンブトールとピラジナミドに、アミノ糖とニューキノロン系抗菌薬を加えた4剤による治療が標準的です。そのほか、新規リファマイシン系抗生物質のミコブティンやデルティバ(この薬)も処方候補となります。これらのいずれかが、副作用や薬剤耐性で使用できない場合は、パラアミノサリチル酸など第二線薬を代用することになります。
効能

【適応菌種】

本剤に感性の結核菌

【適応症】

多剤耐性肺結核
用法 通常、成人はデラマニドとして1回100mgを1日2回朝、夕に食後経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 この薬には、心電図の波形を変化させる性質があります。Q波開始からT波終了までの時間が長くなり、重大な不整脈につながるおそれがあるのです。多くは軽度ですが、重症化しないように定期的に心電図検査をおこなう必要があります。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 心電図QT延長..動悸、胸の痛みや違和感、脈が遅いまたは速い、脈の乱れ、めまい、ふらつき、気を失う。

【その他】
  • めまい、頭痛、眠気、不眠、幻覚
  • 吐き気、吐く、腹痛

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おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。