概説 |
血液中のアンモニアを減らすお薬です。肝性脳症における高アンモニア血症の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 肝硬変などで肝障害がひどくなると、アンモニアの代謝ができなくなり、血液中のアンモニアが増えてきます。アンモニアは脳に悪影響し、眠気や気分変調をもたらし、さらには人格変化、異常行動、ふるえなどを起こし昏睡に至ることもあります。肝性脳症です。
このお薬は、肝性脳症における高アンモニア血症の治療に用いられます。抗菌薬を有効成分とし、腸内のアンモニア産生菌を抑制することにより、アンモニアの吸収量を減らします。結果的に血中アンモニア濃度が低下し、肝性脳症の改善につながるのです。

- 【薬理】

- 食物中のタンパク質は、腸内のアンモニア産生菌により分解されアンモニアを生じます。この薬の有効成分リファキシミンは、広範な抗菌スペクトルをもつ難吸収性リファマイシン系抗菌薬です。腸管内のアンモニア産生菌を抑制し、アンモニアの産生量を減少させることにより、血中アンモニア濃度を低下させます。

- 【臨床試験】

- 肝性脳症のある患者さんを対象に、既存推奨薬のラクチトール(ポルトラック)との比較試験が行われています。効果の判定は、血中アンモニア濃度とPSE指数でおこないます。PSE指数は、血中アンモニア濃度、振戦、精神状態や昏睡度などを点数化し組み合わもので、肝性脳症の重症度を数値的に評価できる指標です。
その結果、この薬を飲んだ人達(81人)の2週間後の血中アンモニア濃度は平均120μg/dL(135→120)に減少、ラクチトールの人達(85人)は125μg/dL(136→125)に減少しました。また、PSE指数は、この薬で0.20(0.33→0.20)、ラクチトールでは0.23(0.33→0.23)に低下しました。統計学的な有意差は得られませんでしたが、総じてこの薬のほうが低値であり、ラクチトールに勝るとも劣らない有効性が示されたわけです。
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特徴 |
- 有効成分はリファマイシン系の難吸収性抗菌薬のリファキシミンです。他のリファマイシン系抗菌薬と異なり、飲んでもほとんど吸収されません。この特性から、腸管内のアンモニア産生菌を抗菌ターゲットとする高アンモニア血症治療薬として開発されました。
- 初発・再発を問わず、肝性脳症に対する新たな治療選択枝になります。作用機序が異なる合成二糖類(ラクツロース、ラクチトール)との併用も可能です。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 使用中の薬を医師に教えてください。
 【注意する人】
- 重度の肝機能障害がある人は、副作用の発現に注意するなど慎重に用います。
- 結核を合併している場合は、この薬を控え、他の治療薬を選択します。リファマイシン系抗菌薬に対する結核菌の耐性化を防ぐためです。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)と併用すると、この薬の血中濃度が上昇し副作用が増強するおそれがあります。
 【使用にあたり】
- 通常、1日3回毎食後に2錠服用します。
- 飲み忘れた場合、気づいたときに飲んでください。ただし、次に飲む時間が近ければ、1回分は抜かし次の通常の時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
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効能 |
肝性脳症における高アンモニア血症の改善 |
用法 |
通常、成人及び小児はリファキシミンとして1回400mgを1日3回食後に経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
体内にほとんど吸収されないため、副作用は少ないです。万一、ひどい腹痛や下痢が続くようでしたら、すぐに受診してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
 【その他】
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