概説 |
真菌(カビ)を殺菌するお薬です。真菌が原因の病気に用います。 |
作用 | カビの仲間を専門的に“真菌”といいます。体の抵抗力が落ちている人では、その真菌が消化管や肺など体の内部で異常増殖することがあります。内臓真菌症(深在性真菌症)です。
このお薬は抗真菌薬です。細胞膜の生合成を阻害することで真菌を殺菌します。カンジダ、クリプトコックス、アスペルギルスをはじめ、フサリウムやスケドスポリウムという真菌に有効です。これらによる消化器真菌症や呼吸器真菌症、髄膜炎など重い内臓真菌症の治療に用います。 |
特徴 |
- 広い抗菌スペクトルを持つアゾール系抗真菌薬です。
- 消化管吸収が良好で、注射と同等の高い血中濃度が得られます。
- カンジダ属に対する抗真菌活性は、フルコナゾール(ジフルカン)より強いとされます。また、侵襲性アスペルギルス症に対しては、アムホテリシンB(ファンギゾン)を上回る有効率と生存率が報告されています。
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注意 |
 【診察で】
- アレルギーを起こしやすい人は、医師に伝えておきましょう。
- 持病のある人は医師に伝えてください。
- 妊娠中、もしくはその可能性のある人は申し出てください。妊娠中は禁止です。
- 使用している薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 肝臓の悪い人は、用量を少な目にするなど慎重に使用する必要があります。妊娠中は避けてください。
- 適さないケース..妊娠中。
- 注意が必要なケース..重い肝臓病、不整脈のある人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。飲み合わせによっては、薬の作用に悪い影響をしたり、副作用がでやすくなります。服用中の薬は、忘れずに報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。
- 他の薬の代謝分解を邪魔する性質があります。そのため、併用薬の血中濃度が上昇し副作用がでやすくなります。これで禁止されるのが、安定薬のブロナンセリン(ロナセン)やルラシドン(ラツーダ)、不整脈治療薬のキニジン、心不全治療薬のイバブラジン(コララン)、片頭痛治療薬のエルゴタミン製剤(クリアミン)、子宮収縮薬のメチルエルゴメトリン(パルタンM)、睡眠薬のトリアゾラム(ハルシオン)やスボレキサント(ベルソムラ)、抗血栓薬のチカグレロル(ブリリンタ)やリバーロキサバン(イグザレルト)、肝炎治療薬のアスナプレビル(スンベプラ)、高脂血症治療薬のロミタピド(ジャクスタピッド)、肺高血圧症治療薬のリオシグアト(アデムパス)、降圧薬のアゼルニジピン(カルブロック、レザルタス)、白血病治療薬のベネトクラクス(ベネクレクスタ)(用量漸増期)、抗真菌薬のイサブコナゾニウム(クレセンバ)、慢性腎臓病治療薬のフィネレノン(ケレンディア)などです。また、禁止ではありませんが、抗凝固薬のワルファリン(ワーファリン)と併用する場合は、効きすぎによる出血に注意が必要です。ほかにも、胃潰瘍の薬のオメプラゾール(オメプラゾン)、免疫抑制薬のタクロリムス(プログラフ)やシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、安定薬のジアゼパム(セルシン)、経口避妊薬など 要注意な薬がいろいろあります。
- 他の薬の影響で、この薬の血中濃度が低下し効力が低下するおそれがあります。この理由で禁止されるのは、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)、リファブチン(ミコブティン)、抗ウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ、パキロビッドパック)、エファビレンツ(ストックリン)、抗けいれん薬のカルバマゼピン(テグレトール)やフェノバルビタール(フェノバール)などです。
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は控えてください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。
 【使用にあたり】
- 用法・用量は、年齢や体重、症状により異なります。医師の指示通りに服用してください。
- 食間(食事と食事の間)に飲んでください。食後ですと吸収が悪いです。

- 【検査】

- 必要な検査を受けて、副作用をチェックするようにしましょう。とくに肝臓や腎臓、血液の検査が重要です。心電図検査をおこなうこともあります。
 【食生活】
- 物がぼやけたり、まぶしく見えることがあります。服用しているときだけでなく、中止後もしばらく続くことがあります。十分回復するまで、車の運転など危険な作業は避けてください。
- この薬の影響で皮膚が日光に過敏になることがあります。できるだけ皮膚を日光にさらさないようにしましょう。外出時は、日傘や帽子、光線を通しにくい長袖の衣服などでガードしてください。日焼け止め効果の高いサンスクリーン(SPF50+、PA+++)を使用するのもよいでしょう。
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効能 |

- 【効能A】

- 下記の重症又は難治性真菌感染症
- 侵襲性アスペルギルス症、肺アスペルギローマ、慢性壊死性肺アスペルギルス症
- カンジダ血症、食道カンジダ症、カンジダ腹膜炎、気管支・肺カンジダ症
- クリプトコックス髄膜炎、肺クリプトコックス症
- フサリウム症
- スケドスポリウム症

- 【効能B】

- 造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
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用法 |
- 成人(体重40kg以上)..通常、ボリコナゾールとして初日は1回300mgを1日2回、2日目以降は1回150mg又は1回200mgを1日2回食間に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、又は効果不十分の場合には、増量できるが、初日投与量の上限は1回400mg1日2回、2日目以降投与量の上限は1回300mg1日2回までとする。
- 成人(体重40kg未満)..通常、ボリコナゾールとして初日は1回150mgを1日2回、2日目以降は1回100mgを1日2回食間に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、又は効果不十分の場合には2日目以降の投与量を1回150mg1日2回まで増量できる。
- 小児(2歳以上12歳未満及び12歳以上で体重50kg未満)..ボリコナゾール注射剤による投与を行った後、通常、ボリコナゾールとして1回9mg/kgを1日2回食間に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、又は効果不十分の場合には1mg/kgずつ増量し、忍容性が不十分の場合には1mg/kgずつ減量する(最大投与量として350mgを用いた場合は50mgずつ減量する)。ただし、1回350mg1日2回を上限とする。
- 小児(12歳以上で体重50kg以上)..ボリコナゾール注射剤による投与を行った後、通常、ボリコナゾールとして1回200mgを1日2回食間に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、又は効果不十分の場合には1回300mg1日2回まで増量できる。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
一番多いのは視覚の異常です。目がまぶしく見えたり、ぼやけたりします。飲むのをやめてもしばらく続くことがあるようです。そのほか、吐き気や嘔吐、食欲不振、頭痛、不眠などもみられます。
人によっては、光線過敏性反応を起こすことがあります。もし、光にあたった部分が赤くなり日焼けのようになったら、早めに受診し医師に報告してください。光線過敏症かもしれません。
重い副作用でとくに重要なのが肝障害です。予防のために、定期的に肝機能検査を受けるようにしましょう。そのほか、もともと心臓の弱い人では、心不全や不整脈の発現にも注意が必要です。動悸や息苦しさ、浮腫(むくみ)などの症状に注意してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- アナフィラキシー様症状..じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い不整脈..動悸、脈が飛ぶ、脈が1分間50以下、めまい、ふらつき、転倒、失神。
- 心不全..疲れやすい、息苦しい、息切れ、むくみ、急な体重増加、痰、ゼィゼィ、咳、頻脈。
- 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
 【副作用】
- 目がまぶしい、ぼやける、見え方がおかしい
- 吐き気、嘔吐、食欲不振
- 頭痛、不眠、ほてり、動悸
- 発疹、皮膚乾燥、かゆみ
- 光線過敏症(日光にあたった皮膚が発赤、日焼け)
- 肝機能値の異常
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