概説 |
細菌を殺菌するお薬です。細菌が原因の病気に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 感染症は、病原微生物が人の体に侵入し悪さをする病気です。腫れや発赤を生じ、ときに化膿し、痛みや発熱により苦痛をもたらします(実は、このような症状は病原微生物と戦うための体の防衛システムでもあるのです)。
病原微生物には、細菌やウイルス、真菌(カビ)などが含まれますが、このお薬が有効なのは“細菌”による感染症です。細菌のなかでは、グラム陰性菌という部類に効果が高いです。病原菌が死滅すれば、腫れや発赤がおさまり、痛みがとれ、熱があれば解熱します。

- 【薬理】

- 細菌の細胞壁の合成を抑えることで、殺菌的に作用します。
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特徴 |
- ホスホマイシン系の抗生物質です。他の抗生物質が効きにくいグラム陰性桿菌の緑膿菌や変形菌(プロテウス)、セラチアに有効です。
- 飲み薬は呼吸器感染症の適応をもたないので、処方される機会は多くありません。細菌による食中毒や病原大腸菌O-157の治療に使用されることがあります。
- アレルギーを起こすことが少なく、安全な抗生物質です。
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注意 |

- 【診察で】

- 肝臓病など持病のある人は、医師に伝えておきましょう。

- 【注意する人】

- 肝臓の悪い人は、慎重に用います。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方を守ってください。症状、年齢、製剤によって用法用量が異なります。症状が重いときは、多めになることがあります。
- 時間毎(6時間毎等)のほか、食事に合わせて食後に飲むことも多いです。
- 錠剤は、コップ1杯ほどの十分な水で飲んでください。子供用の細粒(ドライシロップ)は、ふつう、1包を適量の水で溶いてから飲みます。大きい子供は、そのままでもかまいませんが、多めの水で飲ませてください。
- 指示された期間きちんと続けましょう。症状によっては、少し長めになるかもしれません。自分だけの判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなるおそれがあります。
- ふつう、3〜4日も飲めば治ってきます。もし、効果がなかったり、かえって悪化する場合は、早めに受診してください。薬が合っていないかもしれません。

- 【備考】

- 抗生物質の効きにくい細菌が増えています。ある調査によると、中耳炎を起こす肺炎球菌の7割が抵抗力を持っていたそうです。このような耐性菌を増やさないため、欧米では抗生物質の安易な使用は慎まれています。
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効能 |

- 【適応菌種】

- ホスホマイシンに感性のブドウ球菌属、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、緑膿菌、カンピロバクター属
 【適応症】
- 深在性皮膚感染症
- 膀胱炎、腎盂腎炎
- 感染性腸炎
- 涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎
- 中耳炎、副鼻腔炎
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用法 |

- 【錠】

- 通常、成人はホスホマイシンとして1日量2〜3g(力価)を3〜4回に分け、小児はホスホマイシンとして1日量40〜120mg(力価)/kgを3〜4回に分け、それぞれ経口服用する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。

- 【シロップ】

- 通常、小児はホスホマイシンとして1日量40〜120mg(力価)/kgを3〜4回に分け経口服用する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。ときに、軟便や下痢、吐き気などの胃腸症状があらわれます。軽ければたいてい心配ないですが、ひどい下痢や腹痛が続くときは早めに受診してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 大腸炎..激しい腹痛、頻回な下痢、発熱、血液便、下血。
 【その他】
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