概説 |
細菌を殺菌するお薬です。腸内の殺菌に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 他の抗生物質が効きにくいメチシリン耐性黄色ブドウ球菌‘MRSA’やクロストリジウム・ディフィシルという細菌に有効です。MRSAやディフィシル菌による感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)のほか、骨髄移植時の消化管内殺菌に適用します。そのほか、適応外ですが、肝性脳症の原因となる腸内のアンモニア産生菌を抑えるのに応用されることがあります。

- 【薬理】

- 細菌の細胞壁の合成を阻害し殺菌的に作用します。
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特徴 |
- ペプチド系の抗生物質です。MRSAやクロストリジウム・ディフィシルに強い抗菌力をもつ数少ない抗生物質の一つです。
- 腸管内で作用します。消化管からの吸収はわずかと考えられ、全身作用なほとんどありません。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、医師に伝えてください。

- 【注意する人】

- 腎臓病のある人は慎重に用います。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- コレステロール低下薬のコレスチラミン(クエストラン)と同時に飲むと、この薬の効果が減弱するかもしれません。4〜6時間間隔をあければ、大丈夫です。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方を守ってください。症状、年齢、製剤によって用法用量が異なります。
- 水溶液に調製したものを飲みます。溶解後すぐに飲んでください。
- 骨髄移植時に用いる場合、口内殺菌のために薬剤溶液で十分に含嗽したあとに飲んでください。
- 指示された期間きちんと続けましょう。症状によっては、少し長めになるかもしれません。自分だけの判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなるおそれがあります。偽膜性大腸炎では、2週間くらい続ける必要があります。

- 【備考】

- 抗生物質の効きにくい細菌が増えています。ある調査によると、中耳炎を起こす肺炎球菌の7割が抵抗力を持っていたそうです。このような耐性菌を増やさないため、欧米では抗生物質の安易な使用は慎まれています。
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効能 |
 【効能A】- <適応菌種>

- バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、クロストリジウム・ディフィシル
- <適応症>

- 感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)

- 【効能B】

- 骨髄移植時の消化管内殺菌
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用法 |

- 【効能A】

- 用時溶解し、通常、成人1回0.125〜0.5g(力価)を1日4回経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

- 【効能B】

- 用時溶解し、通常、成人1回0.5g(力価)を非吸収性の抗菌剤及び抗真菌剤と併用して1日4〜6回経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
骨髄移植時に用いる場合、下痢や吐き気を催すことが多いです。これは、ある程度やむおえないのですが、ひどいときは、医師に相談してください。体内にほとんど吸収されないので、そのほかの副作用は少ないです。まれに、発疹や発熱、口内炎などがあらわれます。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック..気持ち悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、耳鳴り、息苦しい、胸苦しさ、めまい、脈が速い・弱い、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
 【その他】
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