概説 |
湿疹をよくする漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 治頭瘡一方(チヅソウイッポウ)という方剤です。ジュクジュク、ただれ、かさぶた、カユミなどをやわらげ、湿疹の治りをよくします。分泌物の多い湿疹、とくに子供の顔や頭にできるものに適します。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。治頭瘡一方の構成生薬は下記のとおりです。“防風”と“荊芥”、“連翹”は発散性の代表的な生薬で、皮膚病の病因を発散して治します。“連翹”には、炎症をさまし排膿をうながす作用もあるといわれます。また、燥性の“蒼朮”は、皮膚の湿潤を乾燥させる役目をします。さらに、“川きゅう”と“紅花”は患部の血行をよくして湿疹の治りを助けます。そのほか、解毒作用のある“忍冬”、収斂作用の“大黄”、緩和作用のある“甘草”などが含まれます。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
- 防風(ボウフウ)
- 荊芥(ケイガイ)
- 連翹(レンギョウ)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 川きゅう(センキュウ)
- 紅花(コウカ)
- 忍冬(ニンドウ)
- 大黄(ダイオウ)
- 甘草(カンゾウ)
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特徴 |
- どちらかというと子供向けですが、大人の湿疹に用いることもあります。
- 適応証(体質)は、実〜中間証(体力中くらい以上)となります。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中の人は医師に申し出てください。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。
 【注意する人】
- 体がひどく弱っている「著しい虚証」の人は、慎重に用いる必要があります。
- 胃腸が弱く、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい人は慎重に用いるようにします。
- 軟便や下痢をしている人は、控えたほうがよいでしょう。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 他の漢方薬と併用する場合は、大黄の重複に注意します。また、芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。
- 飲み合わせに注意..大黄含有製剤、甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)など。
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。

- 【妊娠・授乳】

- 配合生薬の大黄には、子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血作用が認められています。そのため、流早産の原因にもなりかねません。大量でなければまず心配ないのですが、妊娠中の服用については医師とよく相談してください。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、治頭瘡一方をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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効能 |
湿疹、くさ、乳幼児の湿疹。 |
用法 |
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、胃の不快感、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢などおこします。腹痛や下痢がひどいときは、早めに受診してください。
重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
 【その他】
- 胃の不快感、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢
- 発疹、発赤、かゆみ
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