概説 |
関節リウマチや関節痛、痛風などに用いる漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 大防風湯(ダイボウフウトウ)という方剤です。体をあたため、痛みを発散して治します。病気が長びいて体力が低下し、冷えをともなうときに向く処方です。具体的には、関節リウマチ、慢性関節炎、痛風などに適応します。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。大防風湯は、発散・鎮痛作用のある“防風”を中心に、下記のようなたくさんの生薬からなります。痛みをとるもの、体力を補うもの、体をあたためるもの、あるいは血行をよくする生薬などが含まれます。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
- 防風(ボウフウ)
- 黄耆(オウギ)
- 当帰(トウキ)
- 川きゅう(センキュウ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 地黄(ジオウ)
- 附子(ブシ)
- 人参(ニンジン)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 杜仲(トチュウ)
- 牛膝(ゴシツ)
- きょう活(キョウカツ)
- 乾姜(カンキョウ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
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特徴 |
- 防風の“風”は体の表側から侵す病因をあらわし、この“風”を防ぐという意味があります。“大”は効き目が大きいということです。宋時代の「和剤局方」という古典書で紹介されている処方です。
- 適応証(体質)は、虚証(虚弱)、寒証(冷え)となります。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 虚弱で冷えをともなう「寒・虚証」向けの方剤です。したがって、体力が充実し、暑がりで、のぼせのある人には不向きです。また、胃腸が弱く、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい人は慎重に用いるようにします。
- 注意が必要なケース..実証・熱証(体力充実・のぼせ)、胃腸の弱い人

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 附子や甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、それらの重複に注意が必要です。
- 飲み合わせに注意..附子含有製剤、甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)など。
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、大防風湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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効能 |
関節がはれて痛み、麻痺、強直して屈伸しがたいものの次の諸症。
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用法 |
通常、成人1日10.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。また、動悸やのぼせ、舌のしびれ感などもみられます。症状の強いときは、早めに受診してください。
重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
 【その他】
- 胃の不快感、食欲不振、吐き気、吐く、下痢
- 動悸、のぼせ、舌のしびれ
- 発疹、発赤、かゆみ
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