概説 |
頭痛や嘔吐に用いる漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 呉茱萸湯(ゴシュユトウ)という方剤です。体をあたため、頭痛や嘔吐をしずめる作用があります。頭痛持ちで、手足の冷えやすい人に用います。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。呉茱萸湯は、主薬の“呉茱萸”をはじめ、下記の4種類の生薬からなります。呉茱萸には、上昇する痛み、つまり上半身で生じる頭痛や肩こり、あるいは嘔吐をおさえる作用があるといわれます。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
- 呉茱萸(ゴシュユ)
- 人參( ニンジン)
- 大棗(タイソウ)
- 生姜(ショウキョウ)
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特徴 |
- 漢時代の「傷寒論」および「金匱要略」という古典書で紹介されている処方です。
- 適応証(体質)は、虚証(虚弱)、寒証(冷え)、湿証(水分停滞)、升症(頭痛・嘔吐)となります。
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注意 |
 【診察で】
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、呉茱萸湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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効能 |

- 【ツムラ】

- 手足の冷えやすい中等度以下の体力のものの次の諸症

- 【コタロー】

- 頭痛を伴った冷え症で、胃部圧重感があり、悪心または嘔吐するもの

- 【太虎堂・他】

- みぞおちが膨満して手足が冷えるものの次の諸症
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用法 |
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。
- 胃の不快感、食欲不振、軽い吐き気
- 発疹、発赤、かゆみ
- 肝機能の異常
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