PR 人気の薬系書籍ベスト30 「くすり本NAVI 」 おくすり 110番

成分(一般名) 温経湯
製品例 ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)、コタロー温経湯エキス細粒 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 漢方/漢方/漢方製剤

スポンサード リンク 投げ銭コ-ナ-
概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用

概説 血行をよくして、体をあたためる漢方薬です。
作用

【働き】

漢方では、血流の異常を”お血”(おけつ)および“血虚”(けっきょ)という概念でとらえます。”お血”は血流停滞、“血虚”は血流不足とみなせます。女性の月経トラブルを含め、いやゆる“血の道症”には、そのような血流異常を改善する方剤が使われます。

その一つが温経湯(ウンケイトウ)です。血液循環をよくして手先のほてりをとる一方、体全体をあたためる作用があります。また、乾燥した皮膚を潤したり、ホルモンのバランスを整える効果も期待できます。

どちらかというと女性向けで、冷え性で体力があまりなく、皮膚や唇がかさつく人に向きます。具体的には、生理不順や生理痛、更年期障害、頭痛、足腰の冷えや痛み、冷えのぼせ、しもやけ、指掌角皮症(主婦湿疹)などに適応します。また、不妊治療に補助的に用いることもあります。

【組成】

漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。温経湯には、血流をよくして体をあたためるもの、水分を保持するもの、あるいは滋養作用をもつ生薬などがいろいろと配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。

  • 麦門冬(バクモンドウ)
  • 半夏(ハンゲ)
  • 当帰( トウキ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 川きゅう(センキュウ)
  • 人参(ニンジン)
  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 呉茱萸(ゴシュユ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 阿膠(アキョウ)
特徴
  • 月経トラブルあるいは“血の道症”など、女性特有のさまざまな症状に用いられています。温経湯の“経”は血液や水分の経路のことで、その経路を温めて循環をよくするという意味合いがあります。漢時代の「金匱要略」という古典書で紹介されている処方です。
  • 適応証(体質)は、虚証(虚弱)、寒証(冷え)、燥証(乾燥)、血虚(血流不足・貧血症状)となります。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

【注意する人】

食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢など、胃腸の弱っている人は慎重に用いる必要があります。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。

  • 飲み合わせに注意..甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)など。

【使用にあたり】
  • ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
  • もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
  • 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。

【備考】
  • 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
  • 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
  • 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、温経湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
効能

【ツムラ・他】

手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症。

  • 月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ。

【コタロー】

冷え症で手掌がほてり、口唇が乾燥しやすいつぎの諸症に用いる。

  • 指掌角皮症、更年期神経症、月経不順、月経過多、月経痛、頭痛、腰痛、帯下。
用法 通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(以上ツムラ、その他の製品は省略)。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。

重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。

【その他】
  • 胃の不快感、食欲不振、吐き気、下痢
  • 発疹、発赤、かゆみ

概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
スポンサード リンク 投げ銭してネ !
おくすり110番

注意! すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。